緊急事態宣言が解除されてから数週間が過ぎ、徐々に日常生活が戻りつつあります。今年の株式市場は、3月中旬にかけて「コロナショック」といわれるほどの急落となりましたが、その後は各国の中央銀行が積極的な金融緩和策を実施したことや、新規感染者数のピークアウトに伴なって主要国の経済活動の再開が期待されたことなどから上昇基調となり、日経平均株価は、一時は年初来の高値水準に近づく動きとなりました。

前回のメッセージ(2020年3月31日付)では、「日本株は中期的なボトム圏にあり、慎重な業績見通しが織り込まれる4月下旬から5月前半には下げ止まり、徐々に上昇基調に回帰する」との見通しを示させていただきました。概ね想定した通りの展開となりましたが、株価の上昇ペースは私が想定していたよりもかなり速く、短期間で経済の正常化と企業業績の回復をある程度織り込んでしまった印象があります。企業業績は最悪期を越えつつあることや、金融緩和が継続することから、大幅な株価調整の可能性は低いと考えていますが、新型コロナウイルスの第2波に対する懸念が残ることや、企業業績の回復が確認できるにはもう少し時間がかかることから、上値は重く、当面はボックス圏での推移になると考えています。

<ジパングのパフォーマンス>2017年1月4日~2020年6月15日
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 基準価額(税引前分配金再投資ベース)およびTOPIXは、グラフ起点の基準価額(税引前分配金控除後)をもとに指数化しています。
  • 基準価額(税引前分配金再投資ベース)とは、税引前分配金を再投資したとして計算した理論上のものである点にご留意ください。
  • 基準価額は、信託報酬控除後の1万口当たりの値です。信託報酬の詳細につきましては、目論見書の「手数料等の概要」をご覧ください。
  • グラフ・データは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

ただし、年末から来年初めにかけては、企業業績の回復傾向が鮮明になり、来年度の業績に対する期待感も強まることなどから、徐々に上値を切り上げる展開となることを想定しています。

ジパングでは、「コロナショック」による株価下落局面を、優良株を割安な水準で買い付けることが出来るチャンスと捉え、積極的な投資を続けてきました。特にこの間注目したのは、新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまでも大きなトレンドであったデジタル化の流れが加速し、コロナ後の世界でもこの動きがさらに強まる可能性が高まったことです。在宅勤務が一般的に行なわれるようになり、業務のデジタル化を進める必要性が高まったことで、これまで他の先進国と比べて遅れているといわれてきた企業のIT投資が一気に加速すると判断し、大規模システムの構築を得意とする大手企業から特定の分野に強みを持つ中堅、新興企業までITサービス関連企業に幅広く投資を行ないました。また、在宅勤務のみならず、リモート教育、遠隔医療など様々な分野でデジタル化が進むことで、データ通信量の大幅な増加やデータセンターの需要拡大が想定されることに加えて、5G(第5世代移動通信システム)のサービスが開始されることから、構造的な需要拡大傾向が続くと考えられる、半導体、電子部品、電子材料や、ネットワーク構築、通信工事などの関連企業についても保有比率を高めています。

このような投資行動の結果、ジパングのパフォーマンスは順調に推移しています。年初から3月にかけては、ベンチマークとするTOPIX(東証株価指数)とほぼ同程度の値下がりとなりましたが、この間にコロナ後も見据えた積極的な銘柄選別を行なったことで、4月以降の上昇局面では同指数を大きく上回る上昇となりました。今後の株式市場では、コロナ禍を経て企業間の格差が大きく広がり、強い企業がより強くなる傾向が明確になることが想定されます。このような中で、徹底した個別企業の調査によって高い競争力を持つ企業に選別投資するジパングの優位性が高まり、良好なパフォーマンスを維持できるものと考えています。