今、何が起こっているのか?

昨年終盤からの、「株が大幅下落」「一転急上昇」といった慌ただしいマーケットとその解説コメントに、少し嫌気がさしている人がいるかもしれません。それでもずっと投信目線でマーケットを見てきた日興アセットがお伝えしたいことはシンプル。それは、こういう時にもマーケットに居続ける“胆力” こそが、成功のカギを握るということです。

急に「投資すべき時期」では
なくなってしまったのか?

マーケットは昨年末から急に変調をきたしたように見えます。しかし、なじみのある日経平均でこの10年以上を振り返ってみても、月間5%~10%の下落は意外と頻繁にあったことが分かります。そして上下動を繰り返しながら、この期間で47%も上昇していたことにも気付きます。

目先の値動きとその「解説」ばかりに気を取られがちな私たちですが、時には少しだけ引いて見る態度が必要なのかもしれません。

[図]日経平均株価の推移と月間騰落率


月間5%以上も下落したその当時、盛んに「解説」されていた理由を、意外とすぐには思い出せないもの。

右に挙げたような、「マーケットの世界」だけに留まらない大きな出来事もありましたが、その他の多くは、後から思い出せない程度の「プロのマーケットプレイ」のための解説に過ぎなかったのかもしれません。

[図]2

プロたちの「心配ごとリスト」
は確かに多い

投信を使って長期の資産形成をしようとする私たちは、“政治経済を語って”日々売買する人と同じ目線でいる必要はありません。とはいえ、今マーケット参加者が気をもむ「政治経済の心配ごとリスト」は、ある程度理解しておきたいものです。

[図]2018年10月以降の混乱の背景にあった2つの懸念

~では、どう考えるべきか?~
冷静に「モノサシ」を当ててみる

PERとPBRという
株価の「モノサシ」を知っておこう

今後、米中の貿易摩擦や英国のEU離脱交渉の行方次第では、また株価の乱高下があるかもしれません。しかし、そうした「政治経済のホットトピック」とは別に、株価というものは、未来も含めた企業の価値が反映されているものである点を忘れてはなりません。

ただ難しいのは、日々の株価はその企業価値と、その時々で変わるマーケットの「ムード」との掛け算である点。ムードが良いときは掛け算の結果である株価は上がり、企業が何も変わらなくても、ムードが悪化すれば株価は下がってしまいます。

今こそ押さえたい2つの「モノサシ」

今の株価を「モノサシ」ではかって
分かること

下図のようにマーケットを支配する「ムード」は常に上下に変化してきました。政治経済のホットトピックから個別企業の不祥事まで、「ムード」を変える材料は日々事欠きません。そして、それを材料に日々勝負する投資家やコンピュータ取引が多数存在します。

では、私たちはどうすべきでしょうか。ひとつの考え方は、プロたちが悲観にくれて「ムード」が最悪になった時は、彼らと逆のスタンスを取ること。

具体的には、以前から保有している人なら「前を向いて踏ん張る(継続保有)」ことであり、より前向きに行動できるなら「買い増し」も検討できるかもしれません。


株式ばかりとか安定型ばかりといった偏りがある人は、この機に全体のバランス調整も考えたいところ。そして今まで踏み出せなかった人は、こういう時こそが行動を起こす時かもしれません。

世界株式指数のPERとPBRの推移

年が明けて2019年1月下旬以降、さすがに「ムード」は改善傾向にあります。でも、だからといって「買い時を逃した。もう遅い」などと考えるのも違うはず。急な下落で一気に冷めたり、短期の反発狙いで色めき立ったりするのではなく、常に個人ならではの「投信目線」でマーケットと付き合い、必要な時には行動を起こすという冷静で前向きなスタンスが何より大切なのです。

割安な時には「やめる」のでなく
「はじめる」のが、やはり賢い

過去20年以上のデータを用いて、PERやPBRが割安とされる時に始めた投資と、そうでない時に始めた投資の結果を検証してみたのが下図。留意すべき条件は多くあり、単純に「PERが特定の数値未満からなら安心」などと考えるのは正しくありませんが、一定のメッセージを感じる分析結果といえます。

皆が「買いたい、買いたい」と思う時は「ムード」が良い時。つまりPERもPBRも高い時です。しかしそうした、PERが20倍や30倍、PBRが3倍台などから始めた投資が、あまり良い結果にならなかったのは概ね事実のようです。

だからこそ私たちは「その逆」を、前を向いて臨んでいきたいのです。

過去のPER/PBRレンジによる、その後のリターン分析

(ご参考)プラン1 今こそ“本気の積立”を、できれば株式でスタートする

このグラフにはいつも驚かされます。なぜなら4万円近い日経平均の最高値から始めて、まだ約半分の2万円位にしか戻っていないにも関わらず、ずっと続けてきた積立は約4割もの利益が出ているのですから。下がった時により多くの口数を買うことで、その後の上昇時に大きなパワーを発揮する--いわば「下がっても嬉しい」と前向きに続けるべきなのが投信積立です。

日経平均の史上最高値からの、
毎月5万円の積立シミュレーション

(ご参考)プラン2 下がったからこそのアクション-「買い増し」を検討する

既に保有している投信が(プロたちの気迷いなどを背景に)下落した場合には、その投信に投資した当初の長期的な期待が引き続き有効と考えられるのなら、買い増しのチャンスと前向きに捉えることができます。

同額を買い増した場合の「平均取得価額」

原点に立ち返る

「サイクル」と「ノイズ」は
無視しよう

私たち個人の資産運用は、大きな経済の「トレンド」と、その背景にある“経済は右肩上がり”という「信念」を支えに行なうもの。ところが多くの人は、ニュースで売買するのが投資だと思っています。

実は逆が正解。そうした景気循環の「サイクル」や「ノイズ」をいかに無視するかが、成功のカギを握っているのです。

「サイクル」と「ノイズ」

立ち返るべき原点は
「世界経済は右肩上がり」への信念

最も太い「トレンド」は、「世界経済は本質的に右肩上がり」の一点に尽きます。なぜなら、私たち人間に「欲」がある限り、食事をして家に住んでモノを買う限り、企業はその「欲」に応えようと活動し、成長していくはずだから。

下図のように、世界経済の拡大と株価とはリンクしてきました。短期的には上にも下にも行き過ぎることはあるものの、長期で見ると面白いように経済の拡大に寄り添って株価は上昇しています。

国際通貨基金(IMF)が予想するように(そして私たちの欲がなくならない限り)、今後も経済は拡大するはず。だからこそ、プロたちとは違った目線で長期投資を行ないたいのです。

世界の名目GDPと株価の推移

(ご参考)

GDPという大きな話でなく、よりミクロの企業業績で見てみても同じ傾向が見て取れます。例えば米国企業の株価は企業の1株当たり利益の推移とリンクしてきました。そして今、米企業は全体として今後の増益が見込まれているのも心強いポイントです。

米企業(S&P500指数)の1株当たり利益と株価推移

今こそ「全体設計」

「土台を固めて柱を立てる」
今こそ全体設計をしたい

「ムード」が良すぎた2017年から2018年10月頃までから一転、その反動もあってか急に変動が大きくなったことに驚いた方は多いでしょう。しかし、“政治経済を語って”相場を張りたいわけではない私たちにとって、プロと一緒に動揺して売却したり、投資を完全にシャットアウトしたりするのは避けるべきだと日興アセットは考えます。

資産設計は家づくりと同じように~お金の建築設計~

(ご参考)既にお持ちの方は・・・

お持ちの株式ファンドが下がっている場合は、長期目線で同じファンドを買い増すのもひとつの選択肢(「冷静に「モノサシ」を当ててみる」ご参考プラン2参照。)。あるいはこの機に、預貯金も含めた金融資産の全体設計を考えてみたいもの。

いくら長期成長テーマであっても、株式ファン ドしか保有していないのでは「土台」もなしに家の「柱」を立てたようなもの。やはり先に「ぶれない土台」としてのバランスファンドが必要でしょう。逆に、守りの「土台」ばかりで上に伸びる「柱」を立てていなければ、いくら長期で臨んでも立派な家は建ちません。ぜひ「ムード」が冷めた時期にこそ、自ら「大黒柱」と納得できる株式ファンドを選んで欲しいものです。

「土台」は2層で考える

「土台」に適したバランスファンドは、2層に分けて考えると選びやすくなります。ひとつはより預貯金に近い「守りバランス」とでも呼べるもの。リスクを低くすることに重きを置いた設計のファンドです。

もうひとつは株式比率が高めの「前向きバランス」。分散投資をしながらも、マーケットのムードが良い時は「それなりに上がって欲しい」という期待に応えやすいファンドです。

土台は2層で考える

「柱」はインデックスかコンセプトかで考える

株式ファンドの選び方について、昔から「インデックス型(指数連動型)vs.アクティブ型」という考え方があります。しかし指数連動型以外をすべて「アクティブ」とひと括りに良し悪しを議論するのは、もはや正しくないかもしれません。

株価指数を意識して銘柄に強弱をつける伝統的なアクティブ型に対して、全業種をあまねくカバーする株価指数(インデックス)などまったく気にせず、成長産業と目するエリアを定め、その中で銘柄選定をするタイプは、新たに「コンセプト型」とでも呼ぶべきもの。

自分が同意できる「長期成長コンセプト」のファンドがあるなら、短期的な「ムード」の悪化などおかまいなしに、骨太の長期投資ができそうです。

株式の柱