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#05 元本割れしない投資信託はありますか?

公開日

ポイント

  • 投資信託を買うと一度は元本割れの憂き目にあうことになるはず

  • 元本割れの嫌な期間を我慢できる人だけが「将来ニンマリできる」ーーこれが投資信託の大原則です

元本割れは必ず起こる?

「長期・分散・積立でリスクは減ります」「リスク=ブレ。上に行くのもリスクです」「リスクを逆から読むとクスリ。適度な量ならお金を増やすために必要な処方箋なのです」――全部、意味不明ですね。でも結構、投資セミナーなどでは耳にします。

まず知っておいてほしいのが、投資信託を買えば、必ず一度は元本割れを経験すると思っていた方がいいということです。

したがって、「元本割れ自体がリスク」「元本割れに耐えられない」という方は、投資信託を買うべきではありません。買ったその日が歴史的な大底だった!という「奇跡の人」以外は、買った翌日か1年後かは別として、一度は買値を下回る日が来ます。投信の値段である基準価額が毎日変動するのだから当たり前です。

しかも、申込手数料がかかる場合は、その分だけ最初から元本割れしています。

申込手数料って?

申込手数料(購入時手数料、販売手数料と言うことも)とは、買うときに1回だけ払う手数料のことです。100%販売会社に行き、日興アセットのような運用会社には行きません。つまり説明を受けたり、買った後に情報提供してもらったりする「コンサルティング料」としての意味合いが強いコストです。

商品と販売会社によりますが、1%から3%の中に収まることがほとんど。つまり100万円分を買いに行くと、2%の申込手数料だったら98万円に元本割れしたところから運用が始まるわけです(消費税などは考慮せず)。

ネット証券で買う場合は、この申込手数料がゼロの商品がほとんど。手数料のことを英語でロードと言うため、このタイプを「ノーロード」と呼びます。買う時に手数料を払わないので自分で意思決定をしなければなりませんし、買った後に下がって心配でも相談する相手はいませんから、自分をしっかり持った人に向いています(このコラムを読んでいるような人なら、たぶん大丈夫)。

「長期・分散・積立でリスクは減ります」――意味不明ですね。あ、いえいえ、いけなくはありません。でも本質的な意味を説明せず、曖昧に安心感を喧伝するのは違うな、と、日興アセットとしては思っているだけです。

「元本割れの深さ」と「ゴールの高さ」を考える

まず…

長期投資に魔法のような力はありません。単に過去、長期的には上がった株式が多く、したがってそれをまとめた株価指数も右肩上がりだった。振り返れば、長期保有で「結果オーライ」となるケースが多かった。――これ以上の意味はありません。「複利効果が!」と言う話もありますが、日々変動していく商品には、そもそも複利効果は無関係。買った日から売る日までの差がリターン、以上。なのです。

分散投資ももちろん大事ですが、もし投信を10本揃えて「分散されたアセットアロケーションだ。カンペキ!」と言う人がいたとしたら、「少し違うのでは?」と思います。10本の値動きを合成して計算されたリスクリターンの値は確かに効率的かもしれませんが、普通の人は、買った瞬間からそれぞれの投信の基準価額が、それぞれ別々に気になるだけのはず。そしてそれぞれは、それぞれの元本割れをどこかで一度は起こしてしまうのです。

身もフタもないことを言うようですが、投信はきっと一度は元本割れします。ただ、その割れ方の「深さ」は投信の中身と設計によって異なります。ここが大事です。「深さ」を事前に調べて覚悟をキメる。「深さ」の可能性と自分のお金の性質とが合っているかどうか。そして何より、元本割れの嫌な思いをしてでも成し遂げたい「ゴールの高さ」。を考えることが大事なのです。

ゴールが高いからこそ、元本割れのこの深さまでは我慢できる――。その順番で物事を考えることが、最も重要なことだと日興アセットは考えるのです。

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