当レポートは、英語による2020年3月19日発行「DEEPENING MARKET AND ECONOMIC IMPACT OF COVID-19」の日本語訳であり、3月中旬時点の情報に基づく内容です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。

はじめに

新型コロナウイルス感染症「Covid-19」の流行はパンデミック(世界的流行)となった。株式市場は下落相場に陥り、ヒトとモノの移動が世界規模で制限され、政府と中央銀行は大規模な財政出動と金融緩和を通じてそれぞれの国の経済を支援するという困難な任務を背負うこととなった。一部の国では感染拡大ペースが鈍化してきているものの、その他の国々ではウイルスが大惨事をもたらしている最中であり、世界的な景気悪化はもはや現実味を帯びてきている。

今回のウイルス流行とその経済および市場への潜在的影響に対する見方を幅広く捉えるべく、日興アセットマネジメントでは、主要資産クラスおよび地理的地域の多くを代表する以下の運用チームの見解を取りまとめた。

  • マルチアセット・チーム(マルチアセット)
  • アンドレ・セベリノ/グローバル債券運用チームヘッド、スティーブ・ウィリアムズ/コア・マーケット・ヘッド・ポートフォリオ・マネジャー(ともにグローバル債券)
  • 小林 敏紀/リサーチ・アクティブ運用ポートフォリオ・マネジャー、高山 純一/インベストメント・ディレクター(ともに日本株式)
  • ロバート・マン/アジア株式運用チームヘッド(アジア株式)
  • トゥルーマン・ドゥ/シニア・ポートフォリオ・マネジャー(中国株式)
  • ケネス・タン/シニア・ポートフォリオ・マネジャー(アセアン株式)
  • アジア債券チーム(アジア債券)
  • ファーガス・マクドナルド/ニュージーランド債券・カレンシー運用チームヘッド、スチュアート・ウイリアムズ/ニュージーランド株式運用チームヘッド

このような幅広い見解を提供することで、読者の方々がグローバル金融市場の荒波を乗り切っていく一助となれば幸いである。

マルチアセット:今回の健康危機における3つの主要要素に注目

マルチアセット・チーム

概観
1月に世界的に深刻な問題となっていったウイルスの流行は明らかに金融市場を揺るがし、公衆衛生上の甚大な難題をもたらした。投資家は日々大量放出されるニュースをふるいにかけながら先を争って疫学について学ぼうとしているが、当社では、急速な展開を見せている今回の健康危機において、3つの主要な要素に焦点を当てた。

第1の要素は、当然のことだが、ウイルス自体である。Covid-19はどのようにして人から人へと感染するのか。そのような市中感染はどれくらいのスピードで起こるのか。ウイルスが感染者に及ぼす影響はどのようなものか。これらはすべて重要な検討因子だ。

注視していくべき第2の要素は、ウイルス流行に対する政府や中央銀行のアクションとそれが経済にもたらす潜在的影響である。医療の専門家がこの特定のウイルスについて知るところが増えるにつれ、その発見は様々な国々の流行対策に反映されていくものと想定される。例えば、中国は初期の数週間において、非常に厳しい隔離措置を講じ人々の移動を制限した。経済の混乱は中国が最も著しくなるかもしれないが、他の国々においてはおそらく中国ほどとはならないだろう。これが示唆しているのは、中国では厳しい封じ込め策が講じられたことから経済への影響がよりV字に近い形になるであろうが、バランスに配慮した封じ込め・軽減戦略をとった他の国々ではよりU字に近い(そして底がより浅い)形になるであろうということだ。

残りの要素は、上述の2つの要素に対する金融市場の反応である。これまでのところ、市場の反応はかなり厳しい。市場は不透明材料の不意打ちに弱く、ボラティリティが急上昇している。短期的には、ウイルス関連の不穏なニュース・フローが続く可能性が高く、リスク資産の底なしの下落を防ぐサーキット・ブレーカー的対策を提供する重荷は中央銀行にかかると予想される。「金融環境」のタイト化(つまりは株価の下落)という名目の下に、米FRB(連邦準備制度理事会)は政策金利の引き下げプロセスを開始し、他の中央銀行もそれに続いている。リスク資産は金利の低下と世界的な流動性緩和を好感すると思われるが、実体経済については政府による財政面での対策が求められるだろう。当社では、この金融および財政政策の強力な組み合わせにより、今回のウイルスのパンデミックが収束した際の世界的な経済回復が促されるものと見ている。

グローバル株式
2月の米国株式は、ウイルス流行の影響がまだ見られていない一方で、FRBが予防的利下げを行うとの期待を上昇材料としていた。しかし、そのシナリオは突然覆された。韓国やイタリアなどの国々でCovid-19の新規感染者数が急増し、中国だけでなく世界的規模の問題であることが急速に明白となったからだ。

中国は、減税や利下げ、引き締められている銀行貸出を開放させるための潤沢な流動性供給など、主に民間セクターに向けた比較的強力な一連の景気刺激策を推進している。まだ述べるには時期尚早ではあるが、景気回復の兆候が見え始めるかもしれない。

一方で、中国以外の国々は、新たな問題に取り組み始めたばかりだ。国境通過がたやすく旅行者が複数の場所からウイルスを持ち込むことを可能としてしまったことを考えると、封じ込めは選択肢ですらないかもしれない。多くの場所で検査キットが不足しているとともに他の様々な政府対応が不十分であったことも相まって、ウイルス流行の先行き不透明感の度合いは当然ながら強い。

そのような不透明感によって警戒感が否応なく広がっている。食料品店は、買いだめによって棚が空になるなか、一時的に売上げが伸びているかもしれないが、人々は中期的に習慣を変えていくと予想され、自宅外での消費は抑制されるだろう。サプライチェーンと需要サイドの両方へのショックは評価するのが困難だ。

しばらくの間は、株式に対して慎重なスタンスをとるのが得策だろう。しかし、すでに多くの景気刺激策が講じられており経済活動が幾分改善し始めている様相の中国のような市場を選好するのは、理に適っていると見る。米国をはじめ世界の他の国々はまだ有効なウイルス対策を模索している最中だが、一方バリュエーションから見た投資機会は浮上しつつあると考える。

グローバル債券
ウイルスに関するニュースが市場を左右する状況が続き、投資家が世界経済にとって最悪の結果となる可能性を不安視するなか、「安全な避難先」へは強い需要の継続が見込まれる。このサイクルが打ち破られるには、おそらくいくつかの事象が始まる必要がある。1つ目はたぶん明白だが、中国以外での感染拡大に関するニュースがそれほど警戒を要さない内容となり、新規感染者数が世界的にピークを打てば、もちろん投資家を安堵させる材料となるだろう。2つ目は、米国および世界の第1四半期の経済指標において、大幅に下方修正され始めた予想を上回るケースが出てくることだ。ウイルスに対する不安から、投資家は今後発表される経済指標について最悪ケースを予想するようになっており、したがって経済が予想されたよりも持ちこたえていることが示唆されれば、やはり不安を落ち着かせるのに一役買うだろう。最後に、FRBの金融政策アクションが十分な決定打としてリスク資産市場の最終的な回復に必要なサポートと流動性を提供できると投資家が確信し始めれば、「安全な避難先」への需要は後退するものと思われる。

コモディティ
Covid-19の流行が中国で概ね封じ込められたと思った途端、それからの世界でのウイルス感染拡大スピードには誰もが不意を突かれ、市場はすぐに大混乱に陥った。状況は依然として非常に流動的だが、当社では、需給バランスの変化から原油に対する見方を弱気に変更した。

原油については、Covid-19の流行がパンデミックとなり感染の広がっている国々に対する渡航制限措置が増えるにつれ、需要の壊滅的減少が明らかに深刻度を増している。サウジアラビアは、原油価格を支えるべく、世界的な供給管理を行うため2016年に構築された協調体制に参加してきたロシアとともに、一段の減産を実施する意向を示していた。当社では以前、ロシアも交渉の席に着くことを検討する可能性があると述べた。しかし、3月6日にロシアが減産を断り今後の減産負担は米国のシェールオイル生産企業が担うべきだと主張したことによって、地政学的な覇権争いが急転した。ロシアは、財政収支の赤字・黒字分岐点となる原油価格水準がかなり低くなっており、財政・経常収支がともに黒字であることから、相対的に痛手をはるかに受けにくい状態にあるようだ。産油国会合の後、サウジアラビアの国有石油会社アラムコがただちにアジア・北米の顧客向けの価格を引き下げたことにより、価格戦争が勃発した。当社では、原油市場が底打ちするまで先行き不透明感が広がるものと見ている。

グローバル債券:2つの外因性ショックによって引き起こされた異例の危機

アンドレ・セベリノ/グローバル債券運用チームヘッド、スティーブ・ウィリアムズ/コア・マーケット・ヘッド・ポートフォリオ・マネジャー

システムを揺るがすCovid-19、原油価格ショック
市場が経験しているのが、システムへの2つの外因性ショック、つまり新型コロナウイルスと原油価格の展開によって引き起こされた異例の危機であることは明らかだ。投資家にとって難しいのは、この危機の原因が信用の不均衡といったような要因ではなく、むしろ、ウイルス感染者数がいつピークを打って減少し始めるかといった、非常に予想困難な事態の把握に努めなければならないという点である。例えば、イタリアやスペインから米国に至るまでの状況展開を推定しようとすると、考慮しなければならないであろう可能性はあらゆる範囲にわたる。今回の危機の結果として、多くの国の経済がテクニカル・リセッション(2四半期連続でのマイナス成長)に陥ると思われるが、当社のベストケース・シナリオでは、2四半期はウイルス流行が大きな悪影響を及ぼすものの、年後半には経済が急速に回復すると想定している。

これまでに中央銀行がとったアクションは、非常に素晴らしいと言える。3月中旬現在、米FRB(連邦準備制度理事会)は1.50%の利下げを行うとともに、バランスシートを拡大させてシステムに資金流動性を投入した。クレジット市場で見られている流動性起因の圧力は、モーゲージ証券市場(特にジニーメイ債のスプレッドは世界金融危機以来の水準にまで拡大した)を含め幅広い領域にわたっており、米国債にすら及んでいる。しかし、FRBはかなり積極的な対応を見せ、流動性支援の役割を懸命に果たした。今後数ヵ月における当社の主な懸念は、英国や米国といった国々で流行曲線(新規感染者数を時系列的に表したもの)の加速的拡大局面がピークを迎えるなか、不安とパニックが売り圧力を招くことだ。しかし、そのような下落相場は、比較的短命に終わると見ている。

世界金融危機において明らかとなった金融市場の構造的非効率性の不在を考えると、かなり劇的なV字回復が起きるのではないかと考える。市場実績の観点からは、比較対象として最も近いケースは2001年9月11日のテロ攻撃だろう。マーク・トウェインが言ったように「歴史は繰り返さないが往々にして韻を踏む」ものであり、市場が現在晒されている極端なショックは9.11(米国同時多発テロ)後の状況により似ている。したがって、当社では、中国ですでに見られているように新規感染者数が安定化すれば、市場は下落したのと同様のスピードで回復するものと考える。

日本株式:短期的にはボラティリティの高い相場が続くもバリュエーションは過去最低水準

小林 敏紀/リサーチ・アクティブ運用ポートフォリオ・マネジャー、高山 純一/インベストメント・ディレクター

PBRはアベノミクス以前の水準へ低下
2月末以降、Covid-19の世界的な感染拡大に端を発した相場の乱高下と市場全体の急落により、日本株式のバリュエーションは過去最低水準へと低下している。株価が純資産を割り込み、PBR(株価純資産倍率)は0.87倍と、2012年12月に安倍晋三氏が首相に選出されアベノミクスに乗り出す直前以来の低水準となっている。2013年1月以降のPBRの過去平均は1.23倍であり、足元の水準は大幅なディスカウントであるように見受けられる。過去10年の最低水準としては、世界金融危機の際の2008年10月に付けた0.83倍(その後2009年6月までに1,20倍に回復)や2011年3月の東日本大震災後に付けた0.91倍などが挙げられる。

2月のCovid-19の世界的流行が懸念されるようになって以来、日本株式は大幅に下落している。これまでに報告されている経済活動も低迷を示しており、当面は経済指標においてネガティブな内容が続くと予想される。

市場の見通し
Covid-19については依然未知の部分が多く、今回の流行がどれくらい続くかを正確に予想するのは困難だ。しかし、専門家の多くの意見やSARS(重症急性呼吸器症候群)など過去の感染症流行の経験、そして3月中旬現在、中国で感染者増加率がすでにかなり鈍化してきているという事実を考慮すると、日本も4月か5月に封じ込めに向かう可能性はある。

一方、米国や欧州では感染者数が増大しており、世界レベルの封じ込めは6月か7月までかかる可能性がある。この想定に基づいて見通しを立てるとすれば、日本は10月~12月期に続いて1月~3月期もマイナス成長になる可能性が高いと考える。しかし、SARS後の中国や自然災害後の日本での過去の経験を踏まえると、そのようなイベント後に消費者心理が回復するのには長くはかからず、早ければ5月か6月にも内需回復の兆しが見え始めるかもしれない。外需は中国の生産および消費支出が徐々に加速することによって下支えされると予想するが、米国や欧州の状況が依然として封じ込めからはほど遠いことから考えて、経済成長の底打ちは7月~9月期になると見ている。

企業収益については、1月~3月期に大きく落ち込むことは避けられず、来年度の業績ガイダンスも極めて保守的なものとなる可能性が高いと考える。しかし、企業収益は、10月~12月期までそのような保守的な四半期見通しをやや上回ることが見込まれる。年内の見通しが保守的になることによって通年の収益成長目標のハードルが低くなり、また10月~12月期の頃には景気の回復基調も明らかになっているはずだ。

短期的には、新型コロナウイルスが引き続き世界的な感染拡大を見せるなか、市場ではボラティリティの高い相場が続くものと予想する。米国での感染拡大が加速すれば、市場がここから一段と下落する可能性は十分にある。とは言え、日本での最近の市場下落は、新型コロナウイルスの一段の感染拡大と急激な景気悪化をある程度織り込んでいるように思われる。加えて、PBRが1倍を大きく割り込み配当利回りが3%を超えているなど、バリュエーション指標が以前の市場危機で見られた水準にあることから、日本株式のさらなる下方リスクは限定的であると考える。当社では、4月末から5月中旬辺りに投資家が企業の保守的な収益見通しを織り込むことにより、市場の下落が減速すると見ている。その後は、米国や欧州での感染者数の減少に加えて予想を上回る企業の決算発表に投資家の注目が集まるなか、市場は徐々に持続的な上昇基調に戻ると予想する。

アジア株式:今こそポジションの積み増しを始める好機

ロバート・マン/株式運用チームヘッド

アジア諸国は財政状況が良好、大規模な財政出動と一段の金融緩和が予想される
Covid-19の世界的流行に対する不安の広がりやリセッション(景気後退)懸念、原油価格の急落によって引き起こされた最近の金融市場の大暴落は、未曽有というほかない。新型の伝染病に対して不安感を持つのは無理もないが、人類が常にウイルスや感染症とともに生きてきたことは指摘しておきたい。多くの細菌感染症が命に関わる病気であったのはそれほど遠い昔の話ではないが、人類の生活は続いてきた。我々は、適応種として、不安が後退し正常な状態が回復するとすぐに新たな環境になじんできた。このことから、当社ではウイルスを原因とする世界金融の混乱が長期化するとは考えていない。

世界中の多くの国々では、政府がこの新型コロナウイルスを一時的なものと考え、経済を動かし続けるつながりが有効に機能し続けるよう担保するだろう。2020年後半までには株式市場は2021年の展望を描けるようになると思われるが、その2021年の企業利益は、ベースとなるのが2020年の低い水準だとしても、強い伸びを示す可能性がある。株式はその将来利益を非常に低い率で現在価値に割り引くことになると想定されるため、アジア市場が先導する形で世界は今回の危機を脱することになるのかもしれない。当社では、今がポジションを積み増し始める好機であると考えており、大規模な財政出動と一段の金融政策緩和が行われる可能性が高いと見ている。

アジア地域では、大半の国々(具体的には中国、香港、韓国、台湾およびシンガポール)がウイルスの封じ込めにおいて欧州や米国よりも成果を上げている。また、アジアの国々は概して財政状況が非常に良好であるため、Covid-19の影響を踏まえた大規模な財政出動を実施しやすい立場にある。加えて、アジア諸国は金利が欧米に比べて全般的に高いことから、利下げの余地も依然残っている。

しかし、アジアは対先進国で純輸出地域であるため、向こう数ヵ月に予想される輸出の鈍化はマイナス材料である。2020年前半はどの国においてもGDP成長が低迷するのは明らかで、2020年のEPS(1株当たり利益)はアジアだけでなく世界中で大幅に下方修正されるだろう。セクター別では、欧州および米国のサービス業がかなり低迷すると見られるが、アジアはそのようなセクターの占める割合があまり高くない。もちろん、観光や娯楽、外食産業が非常に大きな打撃を受けるのは明らかだが、これらのセクターがアジア株式市場に占める割合は極めて小さい。エネルギー・セクターも痛手が大きいと想定されるが、これも同様に株式市場に占める割合が大きくはない。

ストレス局面では、過剰債務の水準が懸念材料となりやすい。多くの人々が中国について心配しているが、人民元は安定的に推移しており、中国の債券も最近では価格が上昇している。企業の財務危機については、中国政府が困難に直面している重要企業を救済するものと見込まれる。インドを除けば、アジア諸国の銀行セクターは欧州の状況と異なり依然として堅固である。確定給付年金基金はアジアでは稀であるため、現在のところ西側諸国の場合のようなリスク要因とはならない。

結論として、市場に広がったCovid-19のパンデミックをめぐる不安はやがて薄れるであろうことから、現在の下落相場は、アジアを中心にクオリティーの高い企業の株式を割安なバリュエーションで購入しポジションを積み増す好機であると考える。

中国株式:中国におけるCovid-19の流行は最悪期を過ぎた可能性がある

トゥルーマン・ドゥ/シニア・ポートフォリオ・マネジャー

経済活動は向こう数ヵ月にわたって徐々に回復すると予想される
中国がCovid-19の流行を当社が当初考えていたよりも早くかつ効果的に封じ込める能力を示したことから、当社では直近、中国株式に対するスタンスを「ネガティブ」から「中立」へと変更した。ここ数週間は新規感染者数が減少してきており、中国はCovid-19の全国的な流行を回避できたように見受けられる。

中国企業の大半は業務を再開していると想定され、当社では経済活動が向こう数ヵ月にわたって徐々に回復し、5月~6月頃には通常の状態に戻ると予想している。中国政府はインフラ建設と消費刺激策を通じて経済を押し上げる金融・財政政策を引き続き投入する、というのが当社の見方だ。

そうは言っても、Covid-19の世界中での流行は中国の経済成長に新たなリスクをもたらす可能性がある。中国の製品・サービスに対する外需は、今後数ヵ月中に先延ばしされたり中断されたりすることが考えられる。したがって、中国政府は、外需減少へのヘッジとして国内消費の押し上げを図ると予想される。

結論として、中国におけるCovid-19の流行は最悪期を過ぎた可能性があり、当社では同国経済が今後数ヵ月のうちに回復すると見ている。ファンダメンタルズの改善と潤沢な資金流動性が中国株式の追い風となるだろう。中国は5G(第5世代移動通信システム)やスマートグリッド(電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し最適化する次世代送電網)などを含む「新しいインフラ」の建設加速を計画していることから、景気刺激策と「非接触型」サービス(タッチ決済など)への強い需要の恩恵を最も受けるテクノロジー株が当面アウトパフォームし続けると見ている。

さらなる景気刺激策が実施され中国政府が建設プロジェクトを通じて雇用の押し上げを図ると考えていることから、当社では当面、伝統的なインフラ建設に関わる銘柄のポートフォリオへの組み入れを増やす可能性もあり、建設資材や機械、大型トラックのメーカーに注目している。一方、「新しいインフラ」建設と「非接触型」サービスの恩恵を主に享受するであろうテクノロジー株も、引き続き有望視している。電気自動車、メディアおよびヘルスケア株にも注目しており、市場の調整局面でそのような銘柄の購入を検討する可能性がある。

アセアン株式:アグレッシブな対策は当面の急激な景気悪化を示唆するも、ウイルス封じ込め効果が期待される

ケネス・タン/シニア・ポートフォリオ・マネジャー

概要
相違点はあるものの、Covid-19の世界的流行は2003年のSARS流行時の経験が最も妥当な参考事例になると言える。2003年には、入国旅行者数を含め、ほとんどの主要経済指標が1、2四半期にわたって急落し、流行ピーク後の1、2四半期で通常の水準へと回復した。影響が及んだ国の経済成長への悪影響は1四半期のみにとどまった。当社では、今回のウイルス流行についても同様のパターンになるとの期待を持っているが、2つの疾患間に違いがあるのに加え、2020年は2003年に比べて中国とのつながりや中国経済の重要性の水準が相対的に高まっていることから、考慮して注視を続けていく。特に、2020年には前回よりも大幅にアグレッシブな対策が講じられたことから、短期的には景気悪化の度合いがより急激になるかもしれないものの、ウイルスの封じ込めにはより奏功すると期待される。しかし、中国国外で感染者数が急増しており、現在では、新型ウイルスの影響が長期化するリスクが高まっている。したがって、世界の経済成長への影響は拡大する可能性がある。米国やユーロ圏など経済規模が大きい地域において新型ウイルスの流行が長引く場合には、その可能性が特に高まるだろう。また、影響が及ぶ期間についても2020年第2四半期、さらには第3四半期まで長引く可能性がある。

新型ウイルスの影響を受けて、アセアン諸国の様々な政府は経済見通しを下方修正している。新型ウイルスの影響は短期間かつ急激としていた当社の当初の予想では、経済成長率が政府予想レンジの中央付近になるとみていた。しかし、新型ウイルスの世界的な感染拡大を受けて、GDP予想は依然流動的となっており、下方リスクが一段と高まる可能性もある。当社では、シンガポール金融通貨庁(MAS)が4月に控える次回政策決定会合で、金融政策を再び緩和する可能性は非常に高いとの見方を維持しており、そうなればシンガポール経済は一段と下支えされると見られる。タイについては、国内経済鈍化の見通しや観光業の減速による外的な影響の両方に直面しており、経済成長率予想が1~2%に近い水準へと下方修正された。フィリピンとインドネシアについては、経済に占める内需の割合が相対的に大きいことから、シンガポールやタイに比べて経済が影響を受けにくいと見られる。当社では、慎重な見方を維持しつつ、両国とも4~5%以上の経済成長を維持できる可能性があると考えている。また、マレーシアについては、2020年の経済成長率が2~3%へと鈍化する可能性がある。

新型ウイルスの流行が広がるなか、運輸や一般消費財・サービス/ホスピタリティ関連セクターが最も深刻な打撃を受ける見通しであり、アセアン株式においては、新型ウイルスの世界的流行の影響を特に受けやすいセクターについて慎重な見方を強めている。当社では、経済への影響の深刻化や長期化を警戒しており、そうしたシナリオ下ではよりディフェンシブな投資姿勢が必要となる可能性がある。一方、アセアン株式市場のバリュエーションが十分に魅力的な水準にあることにも引き続き注目している。特に、シンガポール株式市場のPERは、SARS流行時よりも低く、2011年のユーロ圏危機や2015~2016年の景気減速時の低水準に迫る水準にある。

見通しおよび投資姿勢
当面は、新型コロナウイルスによる世界経済成長見通しへの影響をめぐる懸念に引き続き注目が集まると考えている。世界の景気見通しや企業収益は下方修正されると予想する。アセアン市場も下方修正を免れないだろうが、そうした経済環境を乗り切れる優位性のある市場やセクターも存在すると見ている。より長期的には、消費や投資といった新しい成長分野をはじめとして、アセアン諸国の成長見通しについて相対的にポジティブな見方を維持している。また、アセアン諸国のなかでは、バリュエーションや配当利回り(4%強)が相対的に魅力的であるほか、足元の景気状況に置かれていても企業収益がより底堅く、よりディフェンシブさを発揮しているシンガポール株式について、相対的に強気な見方をしている。先日発表された予算案では、財政赤字が109億シンガポールドル(対GDP比2.1%)にのぼる見通しが示されるなど、強力な財政緩和が盛り込まれており、新型ウイルスが現地企業やシンガポール全体に及ぼす経済的打撃の緩和に効果を発揮する可能性があると見ている。シンガポールドルは、同国経済が底堅く推移していることから、安定的に推移すると考えている。

シンガポール以外のアセアン諸国に目を向けると、経済成長が相対的に軟調に推移していることから、フィリピン、インドネシア、マレーシアなどの国について慎重な見方を維持している。タイでは、足元の環境が相対的に有利に働くと見られる消費関連や資本財・サービス関連銘柄を有望視している。

当社では、足元の環境下において優れたディフェンシブ・グロース特性を発揮すると考える資本財・サービスや消費関連セクターの銘柄、そしてテクノロジーセクターの一部銘柄を選好している。下方リスクが相対的に大きい金融やエネルギーセクターに対しては慎重な見方をしている。現在の環境下では、底堅さやクオリティーの高い成長がカギになると考えている。当社では、引き続き、不透明感が増す局面において成長を遂げると見られる分野を相対的に有望視している。

アジアの債券とクレジット:市場のボラティリティが極度に高まり、信用スプレッドは大幅拡大

アジア債券チーム

概要
新型コロナウイルス(Covid-19)はパンデミック(世界的流行)化している。韓国や中国での流行は落ち着いた感があるものの、今では欧州が新たな感染拡大の中心地となっており、米国の新規感染者数も急増を避けられない模様である。さらにOPEC(石油輸出機構)加盟国と非加盟の主要産油国からなるOPECプラスによる減産協議が決裂したことを受けて、サウジアラビアや他の中東の産油国が原油価格を引き下げるために増産に動くなか、原油価格は急落した。

米FRB(連邦準備制度理事会)は、金融市場の混乱や景気減速見通しへの対応として、政策金利を合計1.50%引き下げるとともに、総額7,000億米ドルの国債およびMBS(住宅ローン担保証券)購入を打ち出した(3月中旬現在)。それに加え、FRBは、レポオペによる大規模な資金流動性の注入も発表した。ECB(欧州中央銀行)は、利下げを行わなかったが、一時的に量的緩和を拡大するなど、資金流動性や信用を下支えする複数の措置を導入した。また、世界各国の政府が政策対応を講じて大幅に拡張的な財政政策を発表し、そうした財政拡大が以前はタブー視されていたドイツもその動きに加わった。

こうした状況下、金融市場では、米国債を含む資産クラス全般にわたってボラティリティが極度に高まっている。2月末以降、世界的に信用スプレッドが大幅に拡大しており、アジアの信用スプレッドも同じ傾向を辿っている。また、クレジットカーブにおいては、短期ゾーンのスプレッドも拡大しており、その拡大幅がより長期ゾーンのスプレッドを上回るときもあるなど、かなり異常な状況も見られている。さらに、ファンド勢が投資家からの解約に対応するために最も流動性の高い資産を売却しようとするなか、米国債利回りも上昇した。

アジアのクレジット市場
当面のアジアのクレジット市場は、他の資産クラスと同様にボラティリティの高い状況が続く見通しである。欧州や米国での新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、中国や韓国で感染拡大の第2波が生じない状況で、かつ、原油価格がより低い水準で安定化するか、OPECプラスによる交渉が再開される状況となるまで、信用スプレッドの拡大が続く可能性がある。

そうしたなか、政策対応を受けた上方リスクについても警戒する必要がある。特に足元の金融緩和の波を受けて、利下げなどの伝統的金融政策の余地は限定的だ。しかし、各国政府はようやく財政政策や信用緩和策を実施しつつある。すでに、アジアでは、シンガポールや香港などで財政赤字額が記録的水準にのぼる予算案が発表され、欧州では、前例のない規模の拡張的財政政策が発表されている。クレジット市場にとってより重要な点として、中小企業だけでなく、当面の資金ニーズへの対処が必要な大企業も対象とした信用支援策などが発表されつつある。

総じて、どの資産クラスのリターンにとっても非常に厳しい局面となっているが、バリュエーションの振れ幅が大きいことから、ひとたび新型ウイルス流行が収束し、金利やクレジット市場の異常事態が元に戻れば、大幅に上昇してアウトパフォームする可能性もあると見ている。世界経済の回復は、2月末時点に予想したよりも後ずれすると見られるが、当社では、金融政策、財政政策、信用支援策の合わせ技が追い風となり、年後半には力強い反発に転じるとの見方を維持している。当面においては、足元の市場に悪影響を及ぼしている流動性低下が、債務返済難につながるとは考えていない。もちろん、これは新型ウイルスの流行がどれだけの期間続くかに左右される。この点において、世界中の中央銀行は2008年の世界金融危機以後見られなかった強力な政策を打ち出し、金融市場を落ち着かせようと試みている。

シンガポールのクレジット市場
市場のストレスがより幅広い資産に影響を及ぼし始めている。最初に売られ始めたのは最も投機色の強い金融商品で、売りの勢いが加速し続けるなか、こうした市場のストレスはシンガポール国債(SGS)を含めより安全とされる資産クラスへと広がった。足元では、「質への逃避」の緊急性が大幅に高まっており、その逃避先となっているのが流動性と安全性が最も高いごく一部の資産、つまり短期の米国債と米ドルである。

それを受けて、米国債を含むあらゆる債券のイールドカーブは、投資家がリスク(デュレーションリスクを含む)の回避に動くなかでスティープ化した。SGSのイールドカーブについても、投資資金が新興国市場から米ドルへと殺到する流れの影響を免れなかった。シンガポールドルは、域内においては安全な逃避先通貨とされているが、現在目の当たりにしている全面的なリスクオフの動きの影響を完全には免れない。SGSイールドカーブの再スティープ化は、売りのサインである一方、値固めのために必要な前提条件であるとも当社では考えている。

この先、SGSの見通しは不安定である。過去4週間は上下両方向に極端な値動きが見られ、通常の取引レンジを大きく超える展開となった。そうした動きの大部分は、市場の流動性が薄いなかで世界のリスクセンチメント(および米国債)の動きに連動して生じた。株式市場が2月19日にピークを付けて以降、市場は急激に下落しており、ボラティリティが極度に高まっている。SGSは、3月9日までイールドカーブ全体にわたって利回りが低下したのち、スティープ化傾向が定着した。そうした売りの動きの主な原動力となってきたのは、新型コロナウイルスや原油価格急落に関連するニュースの見出しである。市場では、小売分野の需要や原油以外のコモディティに対する様々な波及効果といったより幅広い材料を織り込もうとする動きが見られている。

シンガポールドル建てクレジットのなかで、最初に悪影響を受ける可能性が高いのは、旅行・ホスピタリティ関連サブセクターやコモディティセクターである。続いて打撃を受けるのは小売りセクター(小売店舗用不動産賃貸業を含む)になると見られる。また、銀行セクターについては概して今回の危機に突入する前の経営状態は良好であったが、プライベートバンクにおいてマージンコールを受けた劣後債の投げ売りが見られている。これは、プライシング/バリュエーションの問題であり、3月中旬現在、ファンダメンタルズ面において信用不安が生じているわけではない。当社では、大幅に深刻な影響を及ぼすことになる信用収縮または流動性収縮によるシステミックリスクの精査を続けているが、これは現時点において当社の基本シナリオではない。

中国の金利および為替
中国の金利および為替市場は相対的に落ち着いている。中国は、新型コロナウイルスの流行当初において感染拡大の中心地となっていたが、現在では流行曲線の次のフェーズに入っており、国内での感染動向よりも海外からの感染者の入国の方がより懸念される状況にある様子だ。

そうしたなか、中国の金利市場はグローバル債券市場と同様の推移を示してきているが、その相関性は他に比べると低水準にとどまっている。この一因には、中国の債券市場は外国人投資家比率が依然として非常に低いことが挙げられる。翌日物や7日物リバースレポ金利は引き続き低水準にとどまっており、中国国内の投資家は流動性に関する問題には直面していない。

中国の1月と2月の経済指標は悲惨な内容となったが、市場はそうした悪い数字を織り込み済みであり、市場の動きは限定的となっている。新型ウイルス流行の影響によって負債の借り換えが困難な状況にある中小企業をはじめとする企業を支援するために、緩和策や的を絞った施策が導入されたことなどを受けて、中国本土のクレジット市場は相対的に堅調なパフォーマンスを示した。

人民元については、対米ドルでは6.9~7.05元のレンジで非常に安定的に推移しているとともに、対通貨バスケットでは上昇している。当社では、通貨安は資本フローに悪影響を及ぼすとともに、市場を不安定化させる可能性もあることから、政策当局が人民元の安定維持に努めると引き続き予想している。

中国においては、特に輸出の伸びに打撃が及んで経済成長の重石となり、延いては製造業の設備投資に悪影響を及ぼすと見られることから、内需の回復の強さを見極めることがカギとなる。今のところ雇用には影響が及んでおらず、これによって、ひとたび経済活動が上向けば消費が後押しされるというのが当社の見方である。今後の経済指標が力強い景気回復を示さない場合などには、財政および金融政策による追加措置が講じられる可能性がある。

アジアの金利および為替
当社では、新型コロナウイルスがアジアのファンダメンタルズに及ぼしている影響を考慮し、シンガポールや韓国など輸出主導型で経済の対外開放度が高い国や、タイなど観光業への依存度が高い国が最も大きな打撃を受けると予想している。また、現在のところ中国を除くと感染者数がアジアで最も多い韓国では、国内の経済活動鈍化による経済成長への打撃も深刻化すると見られる。対照的に、インドネシアやフィリピンは経済に占める内需の割合が相対的に高く、報告されている感染者数も比較的少ないことから、経済が若干ながらより底堅く推移するかもしれない。

マレーシアは、原油関連収益への依存度が高いことから、OPECプラスが招いた原油価格競争を受けた急激な原油安から最も大きな悪影響を受けると予想される。一方、アジア諸国の大部分は、価格低下が経常収支に好影響を及ぼすとともにインフレを抑制すると見られることなどから、実は原油安の恩恵を享受する見通しである。特にインドについては、原油価格が低水準にとどまれば経常赤字が改善し、インフレが減速すると予想している。

以上に述べた好材料があるにもかかわらず、世界的に市場センチメントが急激に悪化したことを受けて、投資家は新興国資産から資金を引き揚げている。このことが、アジア全体のイールドカーブの大幅なスティープ化や通貨の下落を招いた。昨年から投資家によるポジションが大きく積み上がっていたインドネシア市場についても、最終的に海外勢による売りに見舞われた。

アジア諸国の中央銀行や政府は、金融政策と財政政策の両方を通じて自国経済の下支えに乗り出している。アジア各国のほぼすべての政府は、新型ウイルスによる影響を緩和するために財政政策による何らかの景気対策を発表している。それに加え、マレーシア、韓国、タイ、フィリピン、インドネシアの中央銀行はすでに政策金利を引き下げている。また、インドによる早期利下げやシンガポールによる為替政策の緩和も予想される。当社では、アジアの中央銀行には必要に応じて追加利下げを実施する余地があると見ている。

さらに、大半のアジア諸国は、新型ウイルス感染を封じ込めるために渡航制限を課している。直近では、マレーシアが、人の移動を抑制して感染拡大を阻止するために入国と出国の両方を制限する措置を発表した。この先、新型ウイルスの世界的大流行が落ち着くか、ワクチンが開発されるまではボラティリティが高止まりすると見られる。そうしたなか、世界各国の中央銀行や政府は、それぞれの経済や市場を下支えするために流動性供給と財政出動を確約し続ける必要があるだろう。

ニュージーランド債券および株式:ニュージーランド準備銀行は政策金利を過去最低水準へ引き下げ

ファーガス・マクドナルド/ニュージーランド債券・通貨運用チームヘッド、スチュアート・ウイリアムズ/ニュージーランド株式運用チームヘッド

ニュージーランド準備銀行は利下げを実施するとともに銀行に対する新資本規制の適用を延期
3月16日、ニュージーランドでは海外からのすべての入国者に対し強制的自主隔離措置が導入されたが、これに続き、ニュージーランド準備銀行は臨時声明で政策金利を0.75%引き下げ過去最低の0.25%とし、また、向こう12ヵ月にわたってその水準に据え置くと述べた。加えて、導入が予定されていた銀行に対する新資本規制が延期され、これによって同国の銀行の貸出枠に470億ニュージーランドドルの余裕が追加された。その後、同国政府は、新型コロナウイルスによる経済への副次的影響を軽減すべく、121億ニュージーランドドル(GDPの約4%に相当)の景気支援策を発表した。

政策金利は引き下げられたものの、国債は新規発行の増加予想から利回りが上昇し価格が下落した。クレジット市場では取引がほとんどないにもかかわらず信用スプレッドが拡大したが、国内市場では企業への深刻なストレスは見られていない。しかし、航空会社や空港運営会社など一部のセクターは圧力に晒されている。

当社では、石油、航空、観光、ホテル、林業、水産業など、コロナウイルスの影響を最も受けるだろうと考えるセクターに対し、自らの判断により、あるいは投資できるクオリティーの高い銘柄がないことにより、慎重なスタンスをとっている。

国内株式については、ウイルスの流行はすべての銘柄に下方圧力をもたらしているが、それが特に顕著なのは旅行・観光関連セクターだ。また、中国およびそれ以外の国々でのウイルス感染拡大は、ニュージーランドのコモディティ輸出にも逆風となる。

国内市場が現在直面しているもう1つの主要リスクは、Rio Tintoがニュージーランド南島のティワイ・ポイントで運営しているアルミニウム製錬事業を見直していることで、撤退・縮小となれば公益事業セクターにマイナスの影響が波及する可能性がある。

Covid-19は経済活動に対する現実のリスクであり、その結果として今年は世界的なリセッションが想定される。しかし、当社ではその影響はやがて過ぎ去ると見ており、また、足元の局面で高まっているボラティリティは、長期スタンスの投資家にとってその戦略に忠実であることに報いる好機をもたらす可能性が高い。

*当レポートは、英語による2020年3月19日発行「DEEPENING MARKET AND ECONOMIC IMPACT OF COVID-19」の日本語訳であり、3月中旬時点の情報に基づく内容です。

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