米国政府との貿易戦争が激化するなか、中国は個人消費計画の概要を示すなど国内消費の押し上げを 2025年の最優先課題として重視しており、好ましい方向に進んでいる。米国の政策の不確実性がもたらす世界的な景気減速の悪影響を抑制するには、各国が国内で景気刺激策を実施していくことができるかどうかが重要になる。
我々はこの1週間、ホーチミン市で企業やアナリスト、政府関係者と対話したが、投資家のあいだでは慎重ながらも楽観的なムードが漂っていた。ベトナムは、輸出の低迷や債券市場の危機、重大な政変から持ち直して1年が経過し、転機を迎えている。目先の見通しは際立ったものには見えないかもしれないが、現在進められているより深い構造的シフトが、ベトナムを持続的かつ長期的な成長へと導く可能性がある。
DeepSeekが中国市場に活気をもたらしており、中国のITセクターは、規制当局による大々的な取り締まりが始まって5年ほど経つなか、2025年に入ってから復活劇をみせている。さらに、追い風となる政策環境が続き、消費主導型経済への構造改革を促進する政策が今後もさらに実施されていくとみられるなか、中国の景気回復と成長が進む可能性は十分にある。
1月はDeepSeekが世界で話題となった。この低コストAI(人工知能)モデルの登場を受けて、設備投資を見直す動きが広がる可能性がある。さらにDeepSeekの登場によって、よりコスト効率や拡張性の高い、アクセスしやすいAI環境へのシフトもみられ始めている。また、AIプロジェクトのネックとなっていた多額の設備投資を行うことなく、最先端のテクノロジーを取り入れることができる中国企業が増えていく機会がもたらされている。
トランプ次期大統領が新興国市場に与える影響について懸念はあるものの、過去のデータによると中国、韓国、台湾は最も貿易感応度の高い市場であるにもかかわらず、トランプ大統領の第1期の期間にS&P500種指数をアウトパフォームした。ここで得た教訓は、先入観を持たないこと、そしてトランプ氏の大言壮語よりも、大幅なファンダメンタルズの変化が起こり得るということだ。
ドナルド・トランプ氏が米国大統領として復帰し2期目を迎えることになり、中国は圧力を感じている。しかし、トランプ前大統領の1期目に、中国株式は米国株式(S&P500指数)をアウトパフォームしており、外部圧力よりも国内政策が重要であることが示されている。
トランプ大統領の1期目の任期中において、中国株式市場は米国株式市場(S&P500)だけでなく、チャイナ・プラス・ワンの恩恵を受けたとみられるいずれの国・地域の株式市場もアウトパフォームした。歴史が繰り返されることはないかもしれないが、トランプ氏の2期目の大統領任期中に、中国の国内政策や市場環境が大きな要素となることは明らかである。
グローバル株式チームが日興アセットマネジメントに加わり、日興AMグローバル株式戦略を立ち上げてから10年が経つが、その間に世界は大きく変わった。2014年当時、気候変動に関するパリ協定は署名されておらず、グローバリゼーションは台頭し、ドナルド・トランプ氏と言えばテレビ番組で人気が出た有名人として主に知られていた。
市場では、米FRB(連邦準備制度理事会)による追加利下げが予想されており、これがアジアの各中央銀行に利下げ余地をもたらし、国内の経済成長にとって大きな下支えとなる。また、中国のさらなる景気刺激策が見込まれるなか、国内外から中国株式への資産配分ペースが加速して、市場全体が押し上げられると予想する。
中国本土の経済は低迷している。若年層の失業率上昇を受けて国内消費が冷え込んでいる一方、家計資産は大部分が不動産に投資されており、不動産価格の下落に伴って大きく目減りしている。コロナ後は、マクロ経済の回復の遅れや欧米との間で続く貿易摩擦が原因となって企業収益が落ち込み、国内株式市場は劣勢に立たされている。
当社では、アジア市場の中期的なファンダメンタルズの最大の変化は金利環境のシフトだとみている。労働市場の指標低迷やインフレ指標の沈静化が続くなか、FRBは間もなく利下げを開始すると予想されており、これがアジアに大きな影響をもたらすとみている。
2024年11月の米国大統領選挙が近づくなか、ドナルド・トランプ氏が2期目を確保した場合に生じ得る不確実性と機会に焦点を当てながら、アジア株式の観点からみた世界の貿易、経済、地政学的な影響を探る。
インドは、アジアにおいて引き続き長期的な成長ストーリーがあり、新たな投資資金を引き付け続けている。一方、中国は投資家心理が好転するポジティブな材料を待っている状態であり、バリュエーションは割安な水準にある。
世界の美容業界をより規模の小さい韓国企業が席巻するようになったのは周知の通りだ。1990年代に始まった「韓流」の波は、韓国の文化やエンタテイメントの世界的人気に火をつけた。今日、これには美容トレンドも含まれ、「Kビューティ」と呼ばれるスキンケア製品や化粧品で世界の美容トレンドを切り開いている。例えば「グラス・スキン」という言葉は美容意識の高い人々の間で世界的に定着しており、潤いと輝きに満ちた肌にするための10ステップのスキンケア法も広まっている。
中国については、ファンダメンタルズのポジティブな変化が実際に確認されてから選好度を引き上げる方針であり、非常に選別的なアプローチを維持している。アジア株式市場は、AI(人工知能)をめぐる熱狂状態やポジティブな構造改革などが相俟って、台湾、韓国、インドを中心に上昇した。
欧米は景気サイクル後期にあり、バリュエーションが割高であるのに対して、アジアはサイクルの初期にあり、バリュエーションが割安となっている。このことは、世界の投資家に優れた分散の選択肢をもたらすだろう。
2024年のインド総選挙では、出口調査予測や市場予想に反して、ナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党(BJP)が239議席しか確保できず、単独過半数に必要な272議席に届かなかった。前回の2019年選挙ではBJPが303議席を獲得していたことから、大幅に議席を減らしたことになる。
市場環境はここ1ヵ月で大きく変化した。話題は米国の利下げから利上げの可能性へと変わり、中国株式市場は魅力的なバリュエーションと実効性のある政策実施期待が相まって大幅に上昇している。
アジア全体の重大な焦点となっているのは、引き続き中国の経済および株式市場だ。中国の不動産セクターは、依然として脆弱である。しかし中国株式は、財政および資本市場の両方における追加支援策や市場期待の修正を受けて、2023年末から今年1月にかけて見られたパニック売りから回復している。
中国株式は、バリュエーションが過度に売られすぎの領域にあることから、ある程度短期的な反発があるかもしれない。しかし、当社では中国の主な住宅分野の問題を解決し得る供給サイドの措置など、相場の上昇をより持続可能なものにする幾つかのドライバーについてモニタリングしている。