本稿は、2020年5月20日発行の英語レポート「E-gaming: The opportunity is real, and we've just pressed play」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。

マッツ・スティーンという人物について聞いたことがある読者はおそらくいないだろう。 彼のオンラインのキャラクター名である「Lord Ibelin Redmoore」や「Jerome Walker」であれば、聞いたことのある人がわずかながらいるかもしれない。ノルウェー人のマッツは、2004年にリリースされ世界で数百万のファン層を誇るオンライン・ロールプレイングゲーム「World of Warcraft(WoW)」の熱心なプレイヤーだった。マッツの父であるロバート・スティーン氏は、「ゲームそのものに夢中になっているだけだと思っていました。勝ちたくて競争しているのだと思っていたんです。人生の最後の10年間、マッツは15,000から20,000時間をゲームに費やしました。これは、フルタイムの仕事なら10年超の勤務に相当する時間です。」 と話した。

車椅子の生活であったマッツは、両親と住む家の地下の部屋で多くの時間をゲームをプレイして過ごしたが、両親は彼が孤立した人生を送ったのだと思っていた。しかし、マッツが「WoW」で参加していたグループのリーダーは、彼の葬儀でこう語った。「私たちが今日ここに集っているあいだに、オランダの学校の教室やアイルランドのコールセンター、スウェーデンの図書館ではマッツを想ってキャンドルが灯され、またフィンランドの小さな美容院やデンマークの市役所、イギリスの多くの場所では彼に追悼が捧げられています。私がマッツと出会った世界は、キーボードの向こう側にいる人が何者であるか、どのような体をしているか、現実での見た目がどのようなものかということは少しも関係のないところなのです1。」

この言葉は、電子ゲーム(eゲーム)に関するあらゆる注目点、そしてeゲームが極めて大きな成長の転換点にある理由を様々な意味で総括しているが、まずは最初から振り返ってみることにしよう。

1 出所:https://www.bbc.com/news/disability-47064773


AtariからEpic Gamesへ

ビデオゲームは1950年代半ばからあるが、時に、ユーザー・エクスペリエンスを再定義する大きな変容を遂げてきた。

米国の発明家兼エンジニアで現在ではビデオゲームの父として広く知られるラルフ・ヘンリー・ベア氏は、テレビが娯楽を単に一方的に提供するのではなくインタラクティブ(双方向的)な媒体になり得ることを、早くも1960年代に確信していた。1970年までに、テクノロジーはトランジスタが破裂しやすい不格好な真空管に取って代わる段階にきていた。そして、1972年にベア氏は、初となる(かつ非常にベーシックなものではあることは認めざるを得ないが)家庭用ビデオゲーム機 をわずか2,500米ドルで開発した。これは、Atari社の「ポン」やタイトーの「スペース・インベーダー」といったアーケードゲーム(ゲームセンターなどに設置されている業務用ゲーム機)の代表作の礎となった。アーケードゲームが大ヒットして一時代を築くなか、消費者は家でビデオゲームができるようになるのを待ち望んでいた。テクノロジーの進歩によって、電話ボックスのサイズだったアーケードゲーム機を小型化することができ、新たな「家庭用ゲーム機」はリビングで使用するのに十分に小さいサイズとなった。こうしてなんと、家庭用ビデオゲームの時代が始まったのである。Atari、セガ、任天堂などアーケードゲーム時代をけん引した主要企業は、自社のビデオゲームのヒット作を家庭用ゲーム機向けに展開することに成功した。1970年代終盤の別のイノベーションであるパソコンの普及が進むにつれて、Commodore、IBM、Amstradのような企業が、当時の家庭用ゲーム機では複雑すぎて扱えない難解なゲームを発売し、消費者の注目を集めようと奮闘した。ゲーム人気は高まり続け、多くの新たなゲーム開発・販売企業が誕生した。

1990年代にインターネットが普及すると、ゲームの世界にそれまで欠けていた要素であるコネクティビティ(他のデバイスやシステムなどとの接続性)が取り入れられ、これによって2つの大きな進展がもたらされた。1つ目は、インターネット接続があればゲーマー(ゲームのプレイヤー)がどこにいる他のプレイヤーともオンラインでプレイすることが可能となったこと、2つ目は、ゲーム会社がユーザーにオンラインでパッチを送信することによってゲームの「アップグレード」が可能となり、ゲームをデプロイ(利用できる状態にすること)するためのリードタイムが大幅に短縮されたことである。こうして現在に至るわけだが、足元では、新型コロナウイルスの流行によって世界の多くの地域でソーシャル・ディスタンシング(社会的距離を確保すること)が規範となり人々が外出を制限されるなか、より多くの人たちがより多くの時間をビデオゲームに費やしている。当社ではゲーム業界が何かしらの非常に画期的な転換点にあると見ているが、これが可能となったのは複数の要素がついに時を同じくして起きているからだ。以下、その各要素について簡単に説明する。

  1. テクノロジーの発展

    ビデオゲームは常にテクノロジーを頼りにしてきたが、実際、ゲームの進化のストーリーはテクノロジーのイノベーション(革新)のストーリーでもある。今では、ゲーム業界は拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、複合現実(MR)、人工知能(AI)、クラウド、携帯電話通信(スマートフォンおよび4G/5G)、少額決済、そして新しいビジネスモデルを自由に活用することができ、利用および収益化ポテンシャルの両面で極めて大きな成長が見込まれる。

    テクノロジーのイノベーションは、過去10年にわたり著しい進展を遂げてきた。

    • 画面表示が大幅に向上し、携帯電話の画面がフルHDテレビの画面と同等かそれを上回る解像度となった
    • 4G(および現在では5G)電話通信によって、データ送信の速度と効率性が大幅に向上した
    • ユーザーがゲームのエコシステム内で少額取引を完結させることができるようになった

    結果的に、これらの要素によって、ユーザーがモバイルゲームを楽しめる度合いが大いに増した。ゲームおよびeスポーツ(ビデオゲームでの対戦をスポーツ競技として捉えた名称)に関する分析を提供しているNewzooのデータによると、モバイルゲーム市場は2018年から2022年にかけて約60%成長すると予想されている。

    チャート1:世界のゲーム市場の見通し
    チャート1:世界のゲーム市場の見通し

    出所: Newzoo
    2019年12月時点

    AR・VR技術の成熟度の高まりによって、ゲーム体験の豊かさや精巧さが向上しつつある。ARは、現実世界の物体が視覚データとコンピューター生成データの両方によって拡張されるという、現実世界の環境でのインタラクティブな体験を提供される。ヒットしたARゲームの最も有名な例は、2016年にNianticが任天堂と共同でリリースした「ポケモンGO」だ。また、VRはARの兄的なもので、ARよりもずっと以前からある。事実、最初のVRヘッドセットは、1960年代終盤に作られた。VRはARをさらに発展させ、フル・シミュレーションの視覚・聴覚・身体的体験をユーザーに提供する。将来的には価格の手頃さ、使いやすさ、精巧さが大きく向上する見込みであり、より豊かなゲーム体験の可能性は実現間近だ。実際、ハリウッドのスタジオでは現在、映画でハイパーリアリスティック(超現実的)なCGI(コンピューター生成画像)のセットを描写するのにゲームエンジンを使用している。

    写真提供元:Shutterstock

    テクノロジー(クラウド、高度で専用の帯域制御など)によって可能となったゲーム業界のもう1つの新たなトレンドが、ストリーミングだ。現在のゲーマーたちは、ゲームのプレイ状況をインターネットで観戦しているオーディエンスにリアルタイムで配信することができる。アジアでは、中国の虎牙(Huya)や闘魚(Douyu)、韓国のAfreecaTVなど、熱心なオーディエンス向けのゲームのライブ配信に特化する企業が出てきている。

    これら3社は、アジアにおけるストリーミングの成長から恩恵を受けてきた。チャート2は、3社の売上げ成長について直近4年間の実績と今後の見通しを示している。チャート3が示す通り、世界のeスポーツ・オーディエンスは大幅な伸びを見せており、それをけん引しているのがアジア太平洋地域だ。

    チャート2:売上げ成長の実績と見通し
    チャート2:売上げ成長の実績と見通し

    出所:企業の決算報告書、日興アセットマネジメントによる予測
    2020年時点

    チャート3:高まりつつあるeスポーツの人気、アジア太平洋地域がけん引
    チャート3:高まりつつあるeスポーツの人気、アジア太平洋地域がけん引

    出所: Newzoo
    2019年12月時点

  2. 娯楽メディアを先導

    世界で最も人気のある動画サイトはYouTubeだが、そのなかで最も見られているコンテンツの一部がビデオゲームのクリップだ。多様な形態の娯楽が人々の関心を集めようと競合する環境においても、eゲームはテレビのような従来型の娯楽からシェアを獲得し続けている。

    人々は、自分たちが空想の世界の一部であることを見て触って感じることにより、その虚構性を忘れて「現実」世界の制約から解放されたいと思っている。だからこそ、ディズニーランドやユニバーサルスタジオのようなテーマパークの人気がずっと続いているのだ。この点がテクノロジーの急速な発展によって可能となったゲームは、テレビよりもはるかに勢いのある娯楽メディアだと言える。その証拠として、ライブストリーミング・プラットフォームTwitchの視聴時間は数十億分に上る。ゲームの勢いは、世界各国の政府が中毒リスクを注視したりゲームによる近視の増加を懸念したりしていることにも表れている。

    また、ゲームはこれまで熱心なゲーム愛好家を念頭に置いて開発されており、大規模な潜在的オーディエンスが考慮されていなかった。しかし、(「キャンディークラッシュ」や「アングリーバード」のように)気軽に楽しめるゲームが出てきたことで、通勤で地下鉄に乗っているあいだ、またはカフェで友達を待っているあいだの15~20分にゲームができれば満足するような、はるかに多くの割合の人口を取り込めるようになってきている。

    世界では約17億の家庭がテレビを観ており、1日当たりの平均視聴時間は2.5時間を超え2、これを価値に換算すると2500億米ドル超となる3。ゲーム業界が捉えているのは(概して)その関心のわずか一部だが、それでも約1500億米ドルの収益を上げている。娯楽メディアへの関心におけるシェアが3分の1に拡大するだけでも、収益機会は非常に大きいと言える。

    Netflixのリード・ハスティングスCEO(最高経営責任者)は株主宛ての書簡で、「当社の競争相手はHBOというよりもむしろ「フォートナイト」だ(そして負けている)。」と記した。「フォートナイト」は、Epic Gamesが2017年にリリースしたオンライン・ビデオ・ゲームで、現在プレイヤー数は2.5億人超にまで増加している4が、これに対してNetflixの加入者数は1.67億人にとどまっている5

    2 出所:https://www.statista.com/statistics/730428/tv-time-spent-worldwide/
    3 出所:https://www.broadbandtvnews.com/2018/10/22/global-tv-revenues-grow-to-265-billion/
    4 出所:https://www.businessofapps.com/data/fortnite-statistics/、データは2019年3月時点
    5 出所:Netflixの2019年第4四半期の決算報告書

  3. コンテンツ・フォーマットとしての比類なき多用途性

    マッツ・スティーンは自身のブログで、「これ(彼のコンピューター・スクリーン)はスクリーンじゃない、これは自分の心が行きたいと望む場所への入り口なんだ」と書いた。eゲームの世界では、ユーザー生成コンテンツを作るのに使用可能なツールが、他の娯楽の選択肢にはないダイナミックさをもたらしている。

    もしテレビでシチュエーション・コメディ番組「フレンズ」の再放送を観るとしたら、それは初放送の時と全く同じ内容となる。リアルタイム・ゲームの場合は、ユーザーがそのゲームをプレイするたびに異なる経験ができる。真の柔軟性がユーザーに与えられていること、そして各ユーザーが自身の経験を設計・決定できることは、マインドシェア(企業やブランドが消費者の心の中で占める割合)の獲得機会が実質無限であることを意味する。ゲーマーは、自身のゲーム・バリアント(変異バージョン)やゲーム内の世界・キャラクターを創造し、それを収益源化することができる。例を挙げると、「ロブロックス」と「マインクラフト」はそれぞれ毎月10億時間を超えるユーザー・アクティビティを誇っている。

    ライブストリーミングとVoD(ビデオ・オン・デマンド、視聴者が観たい時に様々な映像コンテンツを視聴することができるサービス)が、コンテンツを一層豊富にしている。例えば、世界のトップDJの1人であるDJマシュメロは、2月に「フォートナイト」内でバーチャル・コンサートを開催した。このコンサートには1,100万人のユーザーが参加し、なかには自身のゲーム・キャラクターとして参加した人もいたが、より多くはYouTubeやTwitchを通じて参加した。現実と非現実の境はあやふやになりつつあり、そのためゲーム業界(およびゲーマー)はより豊かになっているというのが当社の見方だ。

  4. 知的財産の復元力および変換可能性

    Disneyはおそらく、知的財産(記念品、映画、ゲーム、テーマパークなど)の収益化における代表格と言えるだろう。ゲーム業界はこの成功を再現しやすい状況にある。

    「ポケットモンスター(ポケモン)」は誕生してから24年続いている。実際、「ポケモン」は今や、「マーベル・シネマティック・ユニバース」や「スターウォーズ」、「ミッキーマウス」を含む他のどんなメディア・フランチャイズよりも多くの売上げを上げており、テレビ放送が連続1,000話を超え映画も2ダースを上回る。2019年の映画「名探偵ピカチュウ」(「ポケモン」シリーズを原作とする実写化映画)は、公開された週末に5,000万米ドル超の興行収入を記録し、総額で4億米ドル超をもたらすヒットとなった。2020年の序盤に公開された「ソニック・ザ・ムービー」(セガグループのゲーム「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の実写化映画)は、米国で公開された週末に6,000万米ドル近くの興行収入をもたらした。Netflixの「ウィッチャー」は、小説シリーズに基づくビデオゲームをドラマ化したものだが、2019年終盤に放送が開始されるとNetflix史上最大のオリジナルTVシリーズとなった。これらの例は、「モータルコンバット」や「ドゥーム」(ともに1990年代に人気を博したゲーム)の映画化という以前の忘れがちな試みとは大違いである。

    興行成績の成功は、ゲームの知的財産が今やユーザー基盤を遠ざけることなく異なるメディアにまたがって展開できることの証だ。過去には、ゲームの映画化は「身売り」とみなされるリスクを伴い、映画が不発に終わると他の同様の試みをしりごみさせた。現在はそのような恐れは技術の高度化に伴って解消されており、むしろ全く逆の状況で、ゲームは、必ずしもそのゲームをプレイしたことがない人も含め、はるかに幅広いオーディエンスへとリーチすることが可能となっている。

  5. ゲームはポップ・カルチャー

    ゲームは夢中になれるエンターテイメントというだけではない。今では井戸端会議の話題となっている。つまり、「イケてる」のだ。ゲームを「オタクっぽい」活動から「イケてる」ものへと飛躍させたのは、eゲームを競争形式にしたeスポーツの台頭である。実際、eスポーツでは、視聴者がサッカーのワールドカップ最終予選をテレビで観るのと概ね同じように、プレイしているゲーマーをライブまたは録画で、インターネットまたは従来のテレビ・チャンネルを通じて観ることができる。

    ジャンルとしてのeスポーツは、コンテンツ、経験、種類、普及率の点で人気が高まってきており、ゲームと同じだけの「加入者」がいると考え得る。視聴者の多くは自身がプレイヤーでもあり、関わるゲームを理解・評価している。また、ゲームの開発会社やスポンサー企業がともに出資している賞金プールが増えていることも、急速な人気の高まりを促している。2019年だけでも、2.11億ドルがeスポーツのトーナメントの賞金として支払われた6。「Dota 2」(5対5の2チーム対戦ゲーム)の2019年の優勝トーナメントは、3,400万米ドルとeスポーツ史上最高額の賞金が出た。2019年のフォートナイト・ワールドカップ選手権(「フォートナイト」に基づく年次eスポーツ・トーナメント)では、16歳のカイル・ギーアスドルフ氏が300万米ドルの優勝賞金を獲得したが、これはテニスのスターであるノバク・ジョコビッチ氏が同年にウィンブルドン選手権で優勝して得た賞金を僅かながら上回っている。ジョコビッチ氏は誰もが知っている有名人だが、ギーアスドルフ氏がそうなるのも遠くはないかもしれない。

    6 https://win.gg/news/3387/these-are-all-of-the-biggest-esports-prize-pools-from-2019

    写真提供元:Shutterstock

    eスポーツの視聴者数は着実に増えており、今では米国の野球のメジャー・リーグやプロバスケットボール・リーグの視聴者数を上回っている。

    しかし、eスポーツは現在、ゲームのエコシステムに何らかの形で既に投資しているのと概ね同じオーディエンスが対象となっている。そのスポーツを必ずしもプレイしない人でもテレビでのスポーツ観戦を楽しむように、今後数年にかけては、eスポーツの進化によって、必ずしもゲームをプレイしない人々がゲーマーの戦いぶりを観るようになるだろう。したがって、eスポーツの興行収入は伝統的なスポーツに比べて依然かなり低いものの、視聴者数が急速に伸びるにしたがって、世界中の広告代理店がeスポーツへの進出を図るようになることはほぼ間違いないと思われる。

    チャート4:2019年における様々なスポーツの優勝決定戦の視聴者数
    チャート4:2019年における様々なスポーツの優勝決定戦の視聴者数

    出所:信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントアジアリミテッドが作成
    2020年3月時点

成長機会は巨大でアジアはそのすべての中心にある

アジアは、日本の任天堂をはじめゲームのパイオニアが多く、豊かなゲーム遺産を受け継いでいる。騰訊(Tencent)は紹介するまでもなく、網易(NetEase)も同様だ。中国、韓国、そしてアセアン諸国には多くのゲーム開発企業が存在し、その数はますます増加している。さらに、世界の人口の60%はアジアに住んでおり、その大半が一足飛びにスマートフォン時代に入った世代だ。アジア諸国の多くは高速データ通信ネットワークがまだ活用されていないにもかかわらず、モバイルゲーマーの数は中国だけでも7億人に上る。

ゲームのエコシステムが拡大している状況のなか、台湾や日本、韓国は世界に名だたる半導体産業を誇る。アジアで開発された新手のゲーム収益化モデルは、「先進国」市場へと輸出されつつある。北京の「鳥の巣」スタジアムがMOBA(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ、複数のプレイヤーが敵味方に分かれて自身のキャラクターをリアルタイムに操作し戦うジャンル)ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の決勝戦で満員の観客を集めたと発表したことからも明らかなように、eスポーツの拡大は世界のどの地域よりもアジアで勢いを増している。

すべてのエンターテイメント・メディアのなかで、ゲームは、ハードウェアからソフトウェア、ゲーム内データ収集・分析、アドテック(広告技術)に至るまで、テクノロジーによる具現化の範囲が最も広い。アジアでテクノロジーの採用が急速に拡大しており、分野によっては世界の他の地域をしのいでいることから、ゲームもアジアでより高い成長を遂げるだろうと考えるのは理に適っている。

チャート5:中国のモバイルゲーム市場
チャート5:中国のモバイルゲーム市場

出所:Niko Partners
2019年時点

序章(終章ではない)

2006年、ラルフ・ベア氏はついにその功績を評価され、当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領から国家技術賞を受賞した。同氏がこの賞を受賞したのが近年になってからであったのは、おそらく適切と言えるだろう。これは、ゲームが産業として、また娯楽経済の重要な一部として近い将来受けることになる評価の前触れである。

「マリオブラザーズ」や「ゼルダの伝説」といったシリーズの生みの親として知られる任天堂の宮本茂代表取締役フェローは、こう語っている。「ビデオゲームは人に悪い影響を与えるって?それ、ロックンロールも同じように言われてましたよね。」

著者について
チューは、1988年に任天堂のゲーム機を初めて手にしてからの熱心なゲーマー。以来、eゲーム業界の動向を綿密に追いかけている。

アシュウィンは携帯電話に数多くのゲームをインストールしている。その大半は自身でプレイしたことはないが、彼の子供たちがプレイしているとのこと。

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