本レポートは、2021年5月13日発行の英語版「Net zero carbon: Is it all just hot air?」の日本語訳です。
内容については英語の原本が日本語版に優先します。

「近頃の人はあらゆるものの価格を知っているが、何の価値も知らない」、というオスカー・ワイルドの名言がある。

進歩の代償ということについて言えば、彼の言葉はそれほど事実から離れていない。産業革命以降、確かに人類は相当な進歩を遂げてきた。しかし、これによって犠牲となってきたのが環境である。工業化による経済発展や富の創造は、エネルギー消費量の急増や、それに伴う温室効果ガス排出量の増加をもたらした。こうした温室効果ガス(炭素)の排出は、世界の気温が着実に上昇する一因となってきた。

チャート1

ここで岐路に関してあまりにも定番となっている表現を、米国の詩人ロバート・フロストの「選ばれざる道(原題:The Road Not Taken)」から引用してみよう。

「黄色に色づく森で道が二手に分かれていた、
残念ながら両方を行くことはできない
1人で旅する身、長く立ち止まった
一方の先に目をやると見えたのは
下草の茂みの中にある曲がり角までだった」

1つの道、つまり現状維持の道は、我々が望む以上に暑い地球へとつながる。現状では、これまで排出されてきたすべての温室効果ガスの合計量からすると、地球気温の1.5℃上昇はほぼ避けられない。

地球温暖化の悪影響は気温上昇に伴って深刻化することが科学的に示されており、残念ながらその関係は直線的なものではない。端的に言えば、暑さ、寒さ、降雨、乾燥がいずれも深刻化するのだ。一方で、人間は金銭的に捉えることしかしていない様子であり、科学雑誌「Nature」では、「1.5℃目標の達成にかかるコストは急激に上昇しており、対応なしの場合は2010年時点で年間1.3兆ドルだったが、それが2020年時点では年間5兆ドルを超えるまでに増加している」と記述されていた。1

それでも依然として気候変動否定派は存在し、残念なことに教養のある人々の中にもいる。そのため、以下にいくつかチャートを示すが、近年において異常気象の発生率は大幅に増加しており、その被害額や修復費用は着実に増加傾向を辿っている。

チャート2

チャート3

このように、「下草の茂みの中にある曲がり角まで」を見ながら現在の道を進み続けるなら、曲がり角を過ぎて事態は深刻化の一途を辿るだろう。

別の道の考察:ネットゼロカーボンが意味すること

もう一方の道は、被害を抑制して適応していく道であり、これまでの悪影響を元に戻していく方法の発見が期待される道である。ここ数年間において、人為的な温室効果ガス排出を減らして可能な限りゼロに近づけると同時に、大気中の炭素を吸収する方法を見つけ、正味の結果として炭素排出ゼロ、いわゆる「ネットゼロカーボン」を達成しようとする世界的な取り組みが見られている。

チャート4

現在では様々なセクターの企業がアクションを呼びかけている。

  • Apple:リサ・ジャクソン 環境・政策・社会イニシアティブ担当バイスプレジデント
    「健全な地球と効果的なビジネス戦略の二者択一は、例外なく間違った選択となってきた。100%クリーンエネルギーで事業を運営しており、サプライチェーンにおいても同じく100%クリーンエネルギーへの移行を進めるなど、当社はそれを証明している。Appleでは、2030年までに当社製品の100%カーボンニュートラル化、サプライチェーンのカーボンニュートラル化を達成するために取り組むなか、温室効果ガスの排出を減らし、未来の世代のために地球を守るために求められる強力な目標が世界的に導入されるように引き続き呼びかけていく」2
  • British Petroleum(BP):バーナード・ルーニー CEO
    「世界のカーボン・バジェットは有限であり、急速に枯渇しつつある。ネットゼロへの早急な移行が必要だ。エネルギーは、信頼性が高く、価格が手頃であるだけではもはや十分でなく、よりクリーンでなければならない。その実現には、世界のエネルギー・システムの再構築に数兆ドルの投資を行う必要がある。まさにエネルギーに対する認識の再構築が求められる。これは確かに難題であろうが、同時に巨大なチャンスともなる。私、そして当社のステークホルダーにとっても明らかなことは、BPが役割や目的を果たしていくためには、変革が必要ということだ。そして、私たちは変革を望んでいる。これは世界とBPにとって正しいことだ」3
  • Siemens AG:ジョー・ケーザー CEO
    「気候変動は、現代の人類が直面している最大の課題の1つである。企業は、脱炭素化の加速に向けた取り組みをリードしていく必要がある。2015年9月、Simensはグローバルな製造業企業として初めて、2030年までにグローバル事業全体でカーボンニュートラルを達成することにコミットした。現在、この目標の達成に向けた取り組みに改めて注力しており、「気候変動対策に関する誓約」の署名企業と協力して世界的な取り組みの加速に貢献していけることを楽しみにしている」4

各国もそうした動きに加わり、それぞれ環境対策に取り組んできている。気候変動の抑制に取り組むパリ協定が発効してから5年が経つなか、2050年までに正味ゼロの炭素排出量を達成することを約束している国は100を超え、中国も2060年までの達成にコミットしている。

チャート5

ブータンとスリナムの2ヵ国は、実際すでにカーボンニュートラルを達成している。16ヵ国(そして増加中)はネットゼロ達成目標を法制化しているか、近いうちにそうする予定である。また、その他の17~20ヵ国は、ネットゼロ達成の約束に関する何らかの政策文書案を示している。こうした脱炭素化の取り組みは、炭素の保全と隔離に焦点を当てている。

炭素保全

炭素保全とは、つまるところ環境中に排出される炭素の量を削減することである。

排出される炭素の量を最小化する上で当然ながら出発点となるのは、主な炭素排出源が何であるかを理解することだ。特に大きな排出源となっているのは、発電、産業活動、農業、建物および輸送である。

チャート6

より詳細に分類してみると、これらの各部門において取り組む必要のある主要分野がわかる。

  1. 発電

    1. より長期的には、完全に「クリーン」な再生可能エネルギー(水力、太陽光、風力、水素発電)へと切り替える。これは、人間のほぼすべての活動が電力に依存していることから、極めて重要な第一歩となる。

    2. 原料として「ダーティー(汚染度の高い)」な石炭から、中間の解決策としてより「ダーティー」でないガスへと切り替え、そのうち石炭火力発電所を段階的に廃止する。

    3. そのためには、余剰な「クリーン」エネルギーを活用できるようにする有効なエネルギー貯蔵ソリューションが必要となる。

  2. 産業活動

    1. 金属の製造・加工の大半は、高温燃焼を伴う。新しい生産方法によって「ダーティー」な熱源から「クリーン」な熱源へと切り替え、可能な場合は代替となる生産方法を用いる(鋼鉄の生産を高炉から電気炉へと切り替えるなど)。

    2. 産業プロセスの効率性を改善する。

    3. 「クリーン」な水素を原料(石油化学品などで)およびエネルギー源の両方として用いる。

  3. 農業

    1. 土地管理の効率化(土地の使い方、地下水位管理、森林火災など)。

    2. 家畜管理の改善。

  4. 建物

    1. ビルの冷暖房に(「ダーティー」な電力の代りに)水素や再生可能エネルギーを用いる。

    2. 設計の改善、エネルギー効率の高い設備への取り換え、断熱効果の強化、エネルギー使用の最適化を通じてビルの効率性を高める。

  5. 輸送

    1. 乗用車を中心とする短距離輸送を電気自動車へとシフト。

    2. 長距離の商業輸送には水素自動車を活用する。

    3. 海上輸送においては液化天然ガスや水素などのよりクリーンな燃料を使用する。IMO2020規制の実施を受けて、この分野である程度の前進が見られている。

    4. 航空輸送においては、より燃料効率の高い設計やよりサステナブルな燃料の使用を通じて効率性を改善する。ただし、航空分野は脱炭素化が最も困難なセクターの1つである。

これらの炭素保全ソリューションはみな、「クリーン」なエネルギーに依存しており、その「クリーン」なエネルギーを可能な限り広範に適用できるかにかかっている。資源には限りがあることから、「クリーン」な電力(=再生可能電力)、エネルギー貯蔵ソリューション(=電池)、「クリーン」な水素がカギを握る3つの重点分野となっている。これらの詳細については、年内に随時取り上げていく予定である。

炭素隔離

炭素隔離とは、大気中の二酸化炭素を回収し貯留するプロセスである。炭素隔離が解決策の重要な一部である理由には主に以下の2つが挙げられる。

  1. 世界各国によって設定された野心的な目標が達成されたとしても、2050年までに炭素の年間排出量がゼロにはならず、それは2060年まででも同様。
  2. 人間は、明確でなくその場に存在していない脅威をそれほど真剣に受け止めない傾向にある5。海面水位上昇などの問題は、大部分の人にとって他人事なのである。そのため、世界中の政府が善意の公約を掲げても、実際の炭素排出削減量は予測を下回る可能性が高い。

したがって、世界には「過剰」な炭素を吸い取る解決策が必要なのである。最も直感的に分かりやすい炭素隔離の例は木だろう。木は、大気中の二酸化炭素を吸収・処理して酸素を放出する天然の炭素吸収源である。しかし、土地は有限であり、植林によって問題を軽減できる度合いは限られているため、より「人為」的な解決策が必要となる。

炭素回収・有効活用・貯蔵(CCUS:Carbon Capture Utilization & Storage)技術とは、大気へ排出される前に二酸化炭素を回収して貯留する方法である。これらの技術は、鉄鋼、セメント、肥料など、該当する産業によって様々な形態のものがある。

地球の脱炭素化を進める第3の手段は、炭素直接空気回収・貯留(DACCS:Direct Air Capture and Carbon Storage)と呼ばれる大気中の炭素を抽出する技術である。DACCSの試験実施は一部の国で進められており、もし成功すれば、炭素の排出源を問わない脱炭素化という無限の可能性をもたらすと期待される。

コスト面の検討

これまで概説した炭素保全・隔離の取り組みはみな、細かいレベルでの多数の解決策につながっている。これらを集めて、それぞれの解決策にかかるコストと、炭素排出量の削減推定値に基づいた分析を行うことにより、「コスト曲線」が導出される。明らかなことながら、この分析では、現在の技術の状況に基づいて将来の影響と将来のコストを推計する必要がある。注目すべき点として、テクノロジーは常により良いものへと進化しており、また、イノベーションは、コストの劇的な低下とともにインパクトの増大をもたらす可能性がある。以下に示すのは、Goldman Sachsが推計したコスト曲線である。これは当社が把握しているなかで最も包括的なデータの1つである。

チャート7

ある程度の誤差はあるとしても、このコスト曲線は、2050年までにネットゼロ目標の80%達成を実現するのでさえも多額の投資が必要であることを痛感させるものとなっている。EUの二酸化炭素排出枠の現物価格(EU排出量取引制度に基づく)は、足元で1トン=45ユーロ程度である。この炭素価格を世界中に適用した場合、それによって促される投資額は年間3,000億~3,500億ユーロにとどまることになる。これがもたらすCO2削減相当量は約23ギガトンとなるが、年間排出量の削減目標は約53ギガトンであり、その44%にしか達さないことになる。コスト曲線は右側に向かうにつれて急上昇していることから、2050年までに炭素排出量の(ネットゼロ達成ではなく)85%削減に必要な投資額は、20兆米ドル規模にのぼると試算される。残る15%の排出量を削減するのに必要な投資額は、それを大幅に上回るとみられる。国や企業が選択する投資ペースによって、年間コストが決まってくることになる。

相当な規模を要する取り組み

2050年までに炭素排出量を正味ゼロにするというパリ協定の目標を達成するためには、インフラへの大規模な投資が必要とされる。これらの投資は、大半の民間企業に通常と同様の収益性をもたらす可能性は低い。そのため、政府はより低コストで期間の長い融資や、税制、規制を組み合わせるなどし、そうした投資の奨励に大きな役割を果たしていく必要があり、また、官民パートナーシップや商業的なテイク・オア・ペイ方式の取り決めを通じて、政府単独または共同で投資を行っていく必要があるだろう。商業面について考慮する以外にも、こうしたアクションのすべて(もちろんそれが可能な国での話だが)が有権者を喜ばせるとは限らないことから、政治的な影響も出てくる。一方、巨額な投資を迫られるのは政府だけではなく、一部の企業も行動を正す必要がある。民間資本を呼び込む上で、政府は、「ダーティー」な企業とは対照的に「クリーン」な企業が追加収益源を得られるように排出枠価格が上昇するよう確保するとともに、無理難題と言える世界各国の間での「同等の炭素価格」を確保する必要もあるだろう。富裕国(したがって「クリーン」な可能性が高い国)と貧困国(「ダーティー」な国)の間におけるこうした「課税」の格差からは国際的な貿易紛争が生じかねず、それを回避するには前例のないレベルでの国際協力が必要とされる。

そこで、次のような疑問が出てくる。パリ協定の公約を守る能力や、その意欲はあるのだろうか。この質問に答えるための第1歩は、特に炭素排出量が多い国の特定、続いて、2050年ネットゼロ目標を達成する上で当該国に必要な投資額の分析評価、そして、それを当該国のガバナンスおよび経済生産を踏まえて精査することとなる。

世界の炭素排出量上位5ヵ国は、中国、米国、インド、ロシア、日本である。脱炭素化を進めてネットゼロ目標を達成するために必要な投資額が当該国の炭素排出量に比例すると仮定した場合、これらの排出量上位5ヵ国は今後10年間で約10兆米ドルの投資が必要になるとみられる。これによると、向こう10年間において投資額が毎年GDP比1.0~5.7%ずつ増加することになる。中国、米国、日本はその投資資金があるかもしれないが、インドとロシアは政府財政状況を考えるとその支払いに苦しむとみられる。

チャート8

チャート9

能力面の問題については取り上げたので、意欲面に話を移そう。世界の排出量の約4%を占める日本を除き、他の炭素排出大国4ヵ国はネットゼロ達成へのコミットメントを法制化していない。残念ながら、コミットメントを法制化したからと言って、錬金術式に2050年までのネットゼロ排出実現が確実となるわけではない。実際、菅義偉首相は、有識者の意見を聞くことなく日本の「2050年までに80%削減」という目標を100%に引き上げたとの報道もある。すでに示したように、80%から100%への道のりは、困難さとコストの両方が指数関数的に増すのである。

中国の第14次5ヵ年計画では、エネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの割合を2025年までに20%に引き上げること、経済生産量当たりの炭素排出量を2020年から2025年までに18%削減すること、同国経済のエネルギー集約度を13.5%引き下げることが目標として掲げられている。しかし、中国の炭素排出量ネットゼロ目標達成の期限は、すでにパリ協定よりも10年遅れる2060年とされているが、これらの計画は、2060年目標すら達成できない可能性が高いことを示唆している。ただし、言うまでもなく、こうしたペースでは駄目なことを政治権力の中枢が突然認識した結果、取り組みが大幅に加速している。中国では、共産党の意のままに国家を運営可能であることが再度証明された形だ。この点において、中国が今年の初めに世界最大級の排出量取引制度(ETS)を導入したことは注目に値する。ETSでは、電力セクターの約2,200社が規制対象となっており、カバーされる排出量は4ギガトンにのぼる。

米国は、ジョー・バイデン大統領の下でパリ協定に復帰したが、これは不可欠な一歩ながら十分なものではない。2兆米ドル規模にのぼるインフラ投資法案もポジティブな動きではあるものの、その投資の大部分は国内の古いインフラの改修に向けられ、カーボン・フットプリント(二酸化炭素排出量)の削減に焦点が置かれているわけではない。さらに、こうした支出の財源の一部は増税によって賄われる予定だが、それは共和党や納税者の間で好まれる動きではなく、また、共和党が政権を奪取した場合には巻き戻される可能性もある。

一方、インドでは、つい最近の2021年3月時点においても炭素排出量の正式な目標を定める是非について依然議論していた。さらに、中国は成長段階の終わりに近づいていると言える一方、インドはまだ初期にあることから、同国の排出量は大幅な増加が見込まれており、安定化や減少の兆しがみられるのはその後になるとみられる。ロシアでは、炭素排出量のなんと30%が、フレアリング(原油・ガス生産時に発生する余剰分の焼却処理)、漏えい、不十分な廃棄に起因する「漏えい排出」に分類されている。同国はエネルギーおよびコモディティ輸出に依存しているため、こうした「漏えい排出」の抑制は困難だろう。3月下旬に行政当局に提出されたロシアの経済開発と排出削減のための長期戦略案では、実際のところ2050年には排出量が現在よりも増加すると予想されており、「低排出」の意味が再定義されている。

したがって、意欲にはむらがある様子であり、意欲がある場合であっても、今のところは行動よりも言葉先行であるように見受けられる。

現状点検

  1. 気候変動の悪化を防ぐために何らかの行動が必要ということは世界的に認識されており、炭素排出量ネットゼロの達成期限が2050/2060年に設定されている。
  2. それを達成するための主要なテクノロジー・ソリューションとして、「クリーン」な電力(=太陽光、風力、水力、水素)、この「クリーン」な電力を貯蔵するための電池、輸送の電気化または「水素化」に依存している。
  3. これらのターゲットを現実的なものとしていくためには、多額の投資が必要となる。
  4. 炭素排出大国の一部は必要な投資を実行する能力を備えているが、大部分はそうでない。
  5. 一方、その意欲については別問題であり、今のところ大半の国はスタートラインに立ったところである様子。したがって、2050/2060年の達成期限は野心的と見受けられる。

 

より楽観される点としては、最近になって良心が芽生えた様子の金融資本が貢献を果たしている。ESG(環境・社会・ガバナンス)に関連する投資戦略は、実際の内容が伴っていないものであっても、多額の資金流入という恩恵を受けており、また、プライドを持った投資の専門家たちは企業やコンサルタント、投資運用会社とのミーティングでESG問題を取り上げている。「グリーン」なプロジェクトの資本コストは、実際のところ「グリーン」でないプロジェクトよりも大幅に低い。こうしたトレンドは今後も続く見通しである。したがって、上場株式の投資家は単なるリップサービスではなく、真に自らの投資プロセスにESGを組み込んでいく必要がある。また、前述の分野における投資機会に注目する以外にも、セメント、鉄鋼、海運など「ダーティー」な業界でも、一部の企業は事業のクリーン化に本当に尽力しており、多くの投資機会が存在している。

「私はため息をついてこう語るだろう
今からずっと先のいつの日かに:
森で道が二手に分かれていて、私は
あまり人の行かない方を選んだ、
そして、それが大きな違いをもたらした」

ロバート・フロストの詩の最後の一節は、2通りの解釈が可能だ。1つ目の解釈は、フロスト自身の言葉によるもので「たとえどちらの道を選んでも、必ず別の方を選んでいたらとため息をつくだろう」というものだ。もう1つはより希望の持てるもので、「正しい」道を選んだことに満足した「ため息」という解釈である。その正しい道とは「クリーン」な道だ。

つまるところ、よく言われるように「地球はチョコレートが存在する唯一の惑星!」なのである。

注釈:

  1. “Assessing the costs of historical inaction on climate change”, Benjamin M. Sanderson & Brian C. O’Neill, Nature magazine, June 2020
  2. 2020年9月、様々な業界のビジネスリーダーらが、欧州連合(EU)に対して2030年の排出目標を採用するよう求めて出した公開書簡より抜粋。
  3. 2020年2月、BPが2050年までにネットゼロカーボンを達成するという目標を発表した際の発言。
  4. 2020年9月、Siemensが「気候変動対策に関する誓約(Climate Pledge)」に署名した際の発言。「気候変動対策に関する誓約」は、Amazonと環境保護団体Global Optimismが共同設立したもので、署名する企業等に対して、パリ協定の目標である2050年よりも10年前倒しでネットゼロカーボンを達成するよう要求している。
  5. ハーバード大学のダニエル・ギルバート心理学教授が2006年にLos Angeles Timesへ寄稿した論評コラム。

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