本稿は2024年12月5日発行の英語レポート「Asian equity outlook 2025」の日本語訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。
アジアで進んでいる変化:今後1年間の大まかな展望
また1年が過ぎようとしているなか、再認識させられていることがある。それは、変化が進んでいることこそが唯一変わらない点であるということだ。それを受けて、ファンダメンタルズの変化、持続的なリターン、魅力的なバリュエーションが融合した最も有望な特徴を示す企業を特定する、という当社アジア株式チームの投資哲学への確信を一層強めている。
世界各国の中央銀行は、3年間にわたる金融政策の引き締めを経て金融緩和に転じている。我々はマクロ経済予測の専門家ではないが、世界的な金融政策サイクルの変化が持続すれば、当社アジア株式戦略の投資ユニバース内の様々な分野にとって歓迎すべき追い風になるとみられる。米FRB(連邦準備制度理事会)の利下げ決定を受けて、アジア諸国の多くの中央銀行も追随することができている。なお、今回の緩和サイクルは浅いものになる可能性が高い。こうした環境は、インドやアセアン諸国の一部など、財政収支と経常収支の両方が赤字で、世界の金利動向の影響をより受けやすい「双子の赤字」国にとって最もプラスに働く傾向がある。また、株式時価総額が小さい小型株など市場のなかでも相対的に流動性の低い分野や、リート(不動産投資信託)のように金利感応度の高いものなどにも有利に働く。その詳細な分析については本レポートの別のセクションで取り上げるとともに、関連する当社レポートへのリンクも掲載している。
上記のような好影響が期待される一方、非常に予測のつきにくい米国のトランプ政権2期目の動きがややマイナスに働く可能性がある。トランプ氏の選挙キャンペーンは再び「アメリカ・ファースト」の保護主義や移民政策に焦点を当てたものとなっていたことから、世界の市場全般においてボラティリティが高まる見込みだ。トランプ次期政権による次の動きを予測しようとしても徒労に終わる可能性が高いが、いくつかのファンダメンタルズ面の変化がアジア市場全般の企業収益やリターンに影響を与えていくことは濃厚であるように見受けられる。米国が再び内向き志向になるなか、最も強い影響を受ける可能性があるのはエネルギー、貿易および国防分野だろう(チャート1参照)。米国のほとんどの同盟国にとって、米国による無条件の支援はもはや約束されたものではなくなっている(当社レポート「もしもトランプ氏が勝利したら:アジア株式の観点からみた不確実性と機会」参照)。
ただし、「トランプ2.0」が新興国市場やアジア市場に正味でマイナスの影響を与えるかどうかは定かではないことも強調しておきたい。第一次トランプ政権(2017年1月~2021年1月)の間、中国株式市場は米国、そして「チャイナ・プラス・ワン」(生産拠点を中国以外の国・地域へも分散させる動き)の恩恵を受けるとみられたアセアン諸国、インド、メキシコのいずれの株式市場もアウトパフォームした(チャート2参照)。

ここで重要なポイントは、ファンダメンタルズの変化を促すカタリストとなり得るのがトランプ政権だけではないということだ。中国の場合であれば、国内の政策動向が最も最重になるとみられる。第一次トランプ政権時とは異なり、すでに中国株式は貿易の混乱に備えたより高いリスク・プレミアムを織り込み済みだと考えている(後述する中国の見通しに関するセクションを参照)。
最も有能な経営陣、先行きを見据えた事業戦略、変化への適応力を持つ企業に投資することが、リスクを軽減し、新たな投資機会を捉えることにつながると考えている。トランプ政権第1期目に貿易戦争が始まって以来、当社アジア株式戦略における複数の組入銘柄がこの点において優れた効果をもたらしてきた。その顕著な例がSamsung Biologics、Tencent、TSMCなどである。
中国においては、自給自足が推進されている分野や、再編が進んだ業界に引き続き投資機会が存在しているとみられる。また、有機的な事業拡大、配当支払い、継続的な自社株買いを支えることができる強力なキャッシュフロー創出力を備えた中国企業においても投資機会を見出している。その他にも、サプライチェーンを分散させる動き、特にアジアのなかでも対米貿易収支の黒字幅がまだごくわずかで、生産拠点として中国に代わる明確な選択肢を提供する地域での動向に注目している(チャート3参照)。特にインドは、アセアン諸国の一部と同様、さらなる好機を捉えることができる優位な立場にあると見受けられる。
インド:不安要素もあるが経済成長が続く見込み
我々がよく言うように、インドは持続的なリターンとファンダメンタルズの変化の両方が見込まれる銘柄が最も豊富な市場の1つである。しかし、難題となるのは、そうした投資機会でありながら株価も魅力的な水準にある銘柄の発掘である。幸いなことに辛抱強い投資家にとっては、そのチャンスが現れつつあるかもしれない。2024年は米国の選挙に注目が集まったが、世界最大の民主主義国家であるインドでも選挙が行われた。
その結果、ナレンドラ・モディ首相が政権3期目入りを果たしたが、与党が単独で過半数議席を確保できず連立政権を組む形となったことは注目に値する(当社レポート「インド総選挙の結果と同国株式市場への影響」参照)。このため、モディ首相がより大々的な構造改革を実施していく能力は制限される可能性が高い。
他のアジア諸国とは対照的に、インド準備銀行(RBI)とインド証券取引委員会(SEBI)はそれぞれ監督下の市場の規制を積極的に進めてきており、一部の分野では成長が抑制される可能性がある。さらに、経済のデジタル化が進むなか、こうしたファンダメンタルズの変化は長年定着していた従来の販売チャネルやブランドの参入障壁、つまり何十年も一部の企業に利益をもたらしてきた要素に大きな影響を与えつつある。
出だしからバリュエーションが高水準にあることから、インド株式市場のある程度の調整局面入りは歓迎すべきものとなるだろう。当社アジア株式チームでは、有望視している高クオリティ銘柄の買いに動く好機になるとみている。短期的な不安要素はあるものの、インドがアジアで最も魅力的な長期投資機会を提供する市場の1つであることに変わりはないと考えている。インド市場において見過ごされがちだが、投資家の関心が集まる可能性のある分野としては、ITサービス・セクターが挙げられる。
AI開発は次なる段階へと移りつつあるのか?
生成AI開発への驚異的水準の設備投資が進められているなか、当然のことながら、巨大IT企業による投資が期待通りの利益を生み出すのか、そして重要な点として、それをいつ生み出すのか、について市場で疑問視され始めている。だが、巨大IT企業による設備投資額を営業キャッシュフローに照らしてみてみると、まだ持続不可能な水準には達していない(チャート4参照)。

さらに、AIによってテクノロジー大手が互いの領域を侵食し合っており、各社間の競争を激化させているように見受けられる。これは負けられない競争であり、各社による投資額は現在のキャッシュの創出額や保有残高に不釣り合いな水準ではない。このことは、AIに不可欠な部品などを提供するアジアの企業にとってプラスに働く見込みであり、実際にしばらくその恩恵を享受してきている(当社レポート「AIは根本的変化を遂げるか」参照)。しかし、ここから先のファンダメンタルズのより大きな変化は、そうした技術的進歩を最大限に活かすことができるアプリケーション、新しいツール、ビジネスという形で現れる可能性が高い。
アジアにおいて、AIがファンダメンタルズの変化をもたらす可能性が最も高いのはどの分野だろうか。当社アジア株式チームでは、ハードウェア・テクノロジーの他にもeゲーム、ソフトウェア、ITサービスといった分野にますます注目している。最近のガートナー社の調査によると、AIがビジネスに影響を与えると考えている米国の最高経営責任者(CEO)の割合は、2023年の21%から2024年には75%に急増している(「CEO Stance on AI: How Your CEO Is Thinking About AI」参照)。アジアではTata Consultancy Services、Infosys、Tech Mahindra、Wiproといった複数の企業がこうした需要の高まりを捉えようと取り組んでおり、Nvidiaの業界特化型AIエージェント開発プログラムのパートナー企業に指名されている(「Consulting Giants Team With NVIDIA to Transform India Into Front Office for AI Era | NVIDIA Blog」参照)。これらの企業は合わせて50万人のスタッフを対象としてNemoやGPTといった生成AIモデルの研修を実施している。
エネルギー市場の変化
過去にみられてきた技術の「飛躍的進歩」の事例と異なり、AIの影響は経済のより多くの分野、特に電力需要において感じられている。当社アジア株式チームによる2024年の見通しでは、生成AIがどれほど資源集約度の高いものになっているかという点を強調した。エネルギー安全保障やエネルギー転換による需要の高まりも合わさり、エネルギー業界全体や関連する設備投資全般において多数のひずみやボトルネックが現れている。しかし、巨大IT企業は何もしないで問題が解決されるのを待つつもりはないようだ。ここ数ヵ月間で目にしてきたように原子力発電への需要が再び高まっている。Google、Amazon、Microsoftなどの巨大IT企業は小型モジュール式原子炉(SMR)の研究を拡大しているほか、稼働停止していた原子力発電所を復活させようとしている。アジアでは、エネルギー安全保障をめぐる懸念や電力需要の高い業種によるニーズを受けて、複数の国の政府が原子力発電に対する方針の見直しを進めている。
当社アジア株式チームが拠点とするシンガポールの近くでも、こうしたエネルギー市場における力学の変化を受けて、シンガポールとマレーシアのジョホール州を結ぶ橋の対岸で大きな動きがみられている。マレーシア政府が外資に門戸を開いたことで、ジョホール州は急速にアセアン地域のグローバル・データセンター・ハブになりつつあり、米国や中国のクラウド・コンピューティング/サービス・プロバイダーが集まってきている。一方で、そうした急成長は電力や資源の消費という特有の課題ももたらしている。我々は、エネルギーセクター全体においてファンダメンタルズの著しい変化が引き続きみられているなか、より高い持続的なリターンを生み出していくことができる優位な立場にある個別銘柄が存在するいくつかのサブセクターに注目している。
アジアの小型株:世界の主な成長トレンドの恩恵を受ける見込み
アジアの小型株については、その主な特性のおかげで足元の経済情勢下における底堅い推移や成長のポテンシャルが浮彫となっていることから、良好な見通しを持っている。
アジアの小型株の多くは、景気変動や地政学的リスクを乗り切ることができるとみられる。これらの企業の重要な競争優位性はその事業規模にあり、大企業と比較して、経営陣がより迅速にトレンドの変化に対応することができる。さらに、多くのアジアの小型株は、大手企業よりも高い収益成長率を示している(当社レポート「美容製品から自転車に至るまで前途有望なアジア小型株」参照)。
また、AIの台頭、MZ世代(ミレニアル世代とZ世代)人口の拡大、エネルギー転換、世界的な貿易摩擦の継続を背景として生産拠点を最終消費地の近くに移転させるニアショアリングの動きなど、世界的なファンダメンタルズの大きな変化もアジアの小型株の追い風となっている。例えば、韓国や台湾の経済は従来からテクノロジー分野にフォーカスしてきた。韓国や台湾の企業は、テクノロジー業界のグローバル・サプライチェーンに密接に組み込まれており、AIアプリケーションやツールの普及の恩恵を享受することができる有利な立場にある。
世界的にみても、日本を除くアジア地域は小型株における投資機会の中心地となり続けている。過去5年間において新規上場企業の割合が最も高い地域となっており、持続的なリターンをもたらすと期待される長期投資機会が存在することを示している(チャート5参照)。ただし、アジアの小型株がマクロ経済の先行き不透明感や市場センチメントの低迷などの短期的な逆風に直面していることには注意しておくべきだろう。

アジアの小型株は、高い成長期待と適応力を特徴とする魅力的な投資機会をもたらしている。顕在化しつつあるトレンドを活かせるとともに、先行き不透明な経済情勢を乗り切ることができ、市場において優位な立場にある。苦境に直面する可能性もあるが、長期的に良好なパフォーマンスを達成してきた歴史があることに加え、足元の環境も追い風となっていることから、アジアの小型株は今後も引き続き成長を遂げていくとみられる。2000年以降のアジア小型株のパフォーマンスをざっとみてみると、同期間の半分以上において大型株をアウトパフォームしてきたことがわかる。
分散投資と高成長セクターへのエクスポージャーを求める投資家は、今後のアジア地域の経済環境を形作っていく上で重要な役割を果たすと見込まれるアジア小型株に注目していくとよいだろう。
アジア・リート:高まる可能性と投資機会
アジア・リートは、資産クラスとしての厚みと幅が増してきている。新たに特定セクターを対象とした証券化の導入に伴い、近年ではリート制度を導入する国やリート運用戦略を取り入れる企業がより増えている。
業界としても資産としても強固なファンダメンタルズが、リートの株価パフォーマンスを支えており、長期的に持続的なリターンを求める投資家に好まれる資産クラスとなっている。当社アジア株式チームでは、本物のファンダメンタルズの変化を経験しており、複数年にわたる構造的成長が期待できるセクターに注目している。そうしたセクターに含まれるのが、供給不足のなかで賃料利回りの上昇が加速しているデータセンターである。別の例は経済の高成長が続くインドで、世界的にオフィスが集まる拠点の1つとして独自の地位を築いている。
また、シンガポールも規制面からの支援のおかげでセクター全般にわたって際立つ底堅さを発揮している。新型コロナウイルス大流行時にはそれが特に顕著だった。良好な企業マインドや供給量が低水準で推移していく見通しに支えられ、こうしたディフェンシブな特性は持続していくとみられる。資産利回りが資本コストに対してプラスのスプレッドを示し始めたことから、良質な資産の取得による成長の機会も増えており、取引活動が徐々に活発化すると予想される。バリュエーションは割高な水準にはなく、サイクル中期の水準を下回っていることから、持続的かつ魅力的なリターンをもたらすと期待される(当社レポート「Prospect of lower rates makes Asian REITs an increasingly vibrant asset class」参照)。
アセアン地域:各国内の政策がファンダメンタルズのポジティブな変化の原動力に
第1次トランプ政権下においてアセアン諸国は株式市場のパフォーマンスが米国、アジア(日本を除く)、中国に劣後したことから、傍目には第2次トランプ政権下でのアセアン地域の見通しは暗いと映るかもしれない。しかし、トランプ政権第1期目の前半には上昇していた米国金利が現在では低下傾向にあることに注目したい。また、アセアン諸国は、「トランプ1.0」のときには2014年のコモディティ相場暴落の余波に苦しめられていたが、そうしたシナリオが繰り返されるとはみられない。最近のアセアン諸国の株式市場は好調に推移しており、その原動力となっているプラス要因の多くは、外国人持株比率が示すように域外ではまだ過小評価されている(チャート6参照)。
金利低下期待に後押しされ、アセアン諸国の株式市場は2024年の半ば以降すでに米国およびアジア(日本を除く)市場をアウトパフォームしており、また、中国市場には後れを取っているもののその差はわずかである。第2次トランプ政権下ではインフレ圧力を伴う政策が始まる見通しだが、米国の金融緩和サイクルは2025年も続くとみている。このことはアセアン諸国、特にインドネシア、フィリピン、ベトナムにとっての追い風となっている。
トランプ政権下では、中国企業を含め製造業企業が低コストかつ低関税の生産拠点を求める動きが続き、チャイナ・プラス・ワンの流れが加速することになり、それによってアセアン諸国の大部分、特にベトナムとマレーシアが恩恵を受けるとみられる。
アセアン地域はAIのテーマにも組み込まれている。特にマレーシアでは、データセンター・ブームが進行中だ。これは、発電事業者、建設業者、工業用地所有者、データセンター運営事業者に好影響を及ぼしており、持続的なリターンをもたらすと期待される長期投資機会の範囲が広がっている。
前述のファクターに加え、複数のアセアン諸国の国内政策運営においてもファンダメンタルズの好ましい変化が見受けられる。
マレーシアでは、連立政権の下で政治情勢が比較的安定しており、現政権の任期後半にはより経済成長重視の政策運営が行われると予想される。加えて、シンガポールとの経済連携の強化は、マレーシアの製造業、テクノロジー産業、観光業などの分野にとって追い風になるとみられる。
インドネシアでは、プラボウォ・スビアント政権が、経済成長を押し上げていくために意欲的な計画を打ち出している。主要な政策としては、電気自動車(EV)やコモディティのサプライチェーン川下分野における経済活動の推進継続や、バイオディーゼル混合率の引き上げによる燃料輸入の削減などが挙げられる。
ベトナムでは、新たに就任したトー・ラム共産党書記長がより実利的で景気重視の政策を実施していくと期待されており、前任者によるイデオロギーを重視した中央集権的な統治体制からの脱却が大きく進むとみられる。
中国:当局が経済立て直しに本腰
2025年の中国株式市場は、政策介入に加えて景気回復のシグナルを受けて、複雑ながら好影響をもたらすと期待されるファンダメンタルの変化を迎える見通しだ。最近では経済活動の安定化をめざし、推定6兆~10兆元規模の大型景気刺激策を含む財政施策が打ち出されている(当社レポート「中国の景気刺激策は十分か?」参照)。こうした楽観ムードを支えているのが、業績下方修正の流れが止まり、業績の見通し改善や自社株買いの継続を受けて2025年前半には新たな業績上方修正サイクルが訪れるという見方である。
相変わらず、いくつかの逆風要因は残っている。労働市場は依然低迷し、デフレ圧力を受けて引き続き国内消費が抑制されているが、政府が的を絞った対策を講じていけばこうした状況の緩和を促すことができるかもしれない。地政学的緊張、特に米中関係の緊張は先行き不透明感を一段と強める要因となっており、市場力学に影響を及ぼしかねない(当社レポート「もしもトランプ氏が勝利したら:アジア株式の観点からみた不確実性と機会」参照)。こうしたリスクは存在するものの、バリュエーションが過去平均水準を大幅に下回っているなか、消費、エネルギー、ヘルスケアなどを中心としたクオリティの高いセクターに厳選して注目していくことで、良好な投資成果がもたらされる可能性がある。
以上を総合すると、投資家による確信度の低さが市場のボラティリティの上昇を招く可能性は高いが、中国当局が経済安定化に本腰を入れていることや企業収益の回復が期待されることから、2025年の中国株式市場は堅調なリターンを実現する可能性がある。しかし、そうした良好な結果となるかは効果的な政策実行、そして地政学面において一方の利益が他方の不利益となるゼロサム的な解決ではなく、効果的な取引が優先されることにかかっている。市況の改善を持続させるには、落ち込んでいる家計消費の持ち直しが条件となる(チャート7参照)。ここ3年近く、家計は貯蓄と債務返済を優先するようになってきた(チャート8参照)。中国の見通しが好転すれば、こうした傾向が劇的な好転をみせると期待される。
まとめ
トランプ次期政権の取引重視のアプローチは、地政学的情勢やマクロ経済情勢に悪影響を及ぼすとみる向きも多いかもしれない。しかし、米国政府の重商主義的な姿勢は、2017年から2021年までの第1次トランプ政権下においてそうであったように、アジア株式市場による魅力的な絶対リターンの提供を妨げるものではないと考える。加えて、低金利へのシフトは、資本コストや生産コストの低下によってアジアの大部分に恩恵をもたらすと期待され、さらなる追い風要因になるとみられる。アジア主要国における政府の政策支援や積極的な構造改革によって、そうしたファンダメンタルズの変化が強まる場合は尚更である。金利が低下し、経済見通しが改善すれば、ここ3年以上みられていないバリュー株よりもグロース株が優位となる傾向が再び訪れる可能性がある。2025年は退屈とは無縁の年になるとみられるなか、当社アジア株式チームでは、最も有能な経営陣、先行きを見据えた事業戦略、そしてリスクを軽減し新しい好機を捉える臨機応変な対応力を備えた高クオリティ銘柄を追求していく姿勢を引き続き徹底している。これらの特性を有する企業は、どのようなマクロ経済環境下でも変化を活かして成長し続け、持続的なリターンを提供していくものと確信している。
個別銘柄への言及は例示のみを目的としており、当該戦略で運用するポートフォリオでの保有継続を保証するものではなく、また売買を推奨するものでもありません。
当資料は、日興アセットマネジメント(弊社)が市況環境などについてお伝えすること等を目的として作成した資料(英語)をベースに作成した日本語版であり、特定商品の勧誘資料ではなく、推奨等を意図するものでもありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社のファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。資料中において個別銘柄に言及する場合もありますが、これは当該銘柄の組入れを約束するものでも売買を推奨するものでもありません。当資料の情報は信頼できると判断した情報に基づき作成されていますが、情報の正確性・完全性について弊社が保証するものではありません。当資料に掲載されている数値、図表等は、特に断りのない限り当資料作成日現在のものです。また、当資料に示す意見は、特に断りのない限り当資料作成日現在の見解を示すものです。当資料中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。当資料中のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。なお、資料中の見解には、弊社のものではなく、著者の個人的なものも含まれていることがあり、予告なしに変更することもあります。