米国で、今年1~3月のインフレ率の上振れや予想を上回る経済指標の発表などを背景に、利下げ観測が後ずれし、長期金利が上昇したことなどから、4月には世界的に株価が下振れしました。ただし、同月のインフレ率が鈍化したことなどから、年後半には利下げが見込まれているほか、主要国・地域で1-3月期の決算発表が波乱なく終わりつつあることなどから、世界の株式相場は足元で堅調に推移し、5月には汎欧州および英・独・仏の主要指数や米主要3指数が最高値を更新しました。

ここで、主要株価指数の予想EPS(1株当たり利益)の推移を見ると、米ナスダック総合での急上昇が目立つほか、同じく米国のS&P500や日本のTOPIXについても、上昇基調が確認できます。また、昨夏以降、低下基調だったドイツのDAXについては、今年3月に底打ちし、改善に向かいつつあるように見受けられます。

なお、不動産不況などに伴ない、景気の先行きが不安視されている中国については、時間の経過とともに政策支援が強化・拡大される方向にあり、5月にはついに、地方政府による売れ残り住宅の買い取りなどの不動産市場対策が打ち出されました。今回の対策は、同市場の下支えには寄与しても、反転させるのには不足とみられています。しかし、追加施策への期待が高まっており、一連の政策支援などを背景に、同国の景気が勢いを取り戻すこととなれば、底堅さを示す米国経済とともに世界経済の成長を支え、ひいては企業業績の成長加速につながると期待されます。

【図表】[上図]主要株価指数の予想EPS*と米金利の推移、[下図]主要株価指数と予想PERの推移
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。