近年、日本の投資信託市場では、基準価額の値動きを特定のインデックス(指数)に連動するように運用を行なう「インデックスファンド」が注目されるようになりました。なかでも、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(以下、ACWI)」を対象にしたインデックスファンドは、高い人気があります。

世界の上場企業の8割超をカバーするACWI
ACWIは、米MSCI社が開発した時価総額加重型の株価指数で、先進国および新興国に上場する2,800超の銘柄によって構成されており、世界の株式時価総額の約85%をカバーしています(2024年5月末現在)。このため、同指数の動きに連動するインデックスファンドを活用することで、実質的に世界中の銘柄に分散投資することが可能となります。

指数の中身は固定ではなく、状況に応じて変化
ACWIの構成国は固定されているのではなく、MSCI社が各国の経済の発展度合いや株式市場の流動性などを考慮し、基本的には毎年見直しを行ないます。例えば、2019年には、それまでACWIの構成国に含まれていなかったサウジアラビアが新興国の区分に追加されたほか、2022年には、ウクライナ侵攻に伴なう各国からの制裁によって投資が制限されていることなどを踏まえ、構成国からロシアが除外されました。

また、構成銘柄についても、株式の流動性や時価総額などの面で基準が設けられており、四半期(毎年2、5、8、11月)毎に見直しが行なわれます。

直近5月末の構成銘柄の見直しでは、ACWI全体で、新たに42銘柄が加わった一方、121銘柄が除外されました。中国については、新たに10銘柄加わり56銘柄が除外されました。除外銘柄数が他国に比べて突出して多かったものの、時価総額ベースの国・地域別構成比率でみると、前回の見直し時(今年2月末)から0.1ポイント増となりました。次いで除外が15銘柄と多かった米国と日本の同構成比率をみると、米国は時価総額が相対的に大きい4銘柄の追加もあり変りませんでしたが、日本は1銘柄追加されたものの、やや低下しました。

このような見直しを通じて、ACWIは世界の株式市場の状況変化を反映しており、中長期的にみると、その変化がわかりやすいと思われます。例えば、5年前と直近の同構成比率の比較では、米国やインドなどが上昇した一方、日本や中国などは低下しました。米国などの企業が世界株式市場における存在感を高めたことを窺い知ることができます【グラフ①】。

ACWIの値動きに連動するインデックスファンドを中長期な資産形成で活用することで、幅広い銘柄への分散投資を通じて、世界経済の成長の恩恵を享受することが期待されます。

【図表】[左図]ACWIの構成比率は状況に応じて変化<【グラフ①】ACWIの国・地域別構成比率(時価総額ベース)>、[右図]世界の株価は経済成長に伴ない中長期で大きく上昇<【グラフ②】ACWIおよび世界のGDPの推移>
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。