投信を、誰もが「当たり前」に選ぶ商品にしたい。『衣食住・投信』と言われるまでに。

少し当社のことを聞いてくださいますか

すみません、最後の最後に少しだけ当社の話を聞いてもらえないでしょうか。

日本にはたくさんの運用会社があります。運用のプロフェッショナルらしく「投資哲学」を特徴としている会社はたくさんあります。例えば「当社は世界中のアナリスト陣の徹底的な企業調査による株式運用のプロです」とか「当社は債券運用のプロとして世界中のプロの投資家に認められてきました」とか「皆が慌てた時に喜んで買いにいく、そういう長期投資家です」などのように公言し、実践する運用会社です。

実は、当社日興アセットはそういう運用会社ではないと思っています。つまり、ひとつの投資哲学や得意な運用手法に特化した専門店、頑固なポリシーが魅力になっているような運用会社ではありません。少し専門的になりますが、株式運用ひとつとっても、アクティブ運用とパッシブ(インデックス)運用の両方に経営資源を投入し、強力なチームを社内に持っていますし、株式だけでなく債券にも、オルタナティブと呼ばれるそれ以外の資産にも同じように注力し、独立した部門を持ってやっています。一方で「外部委託」といって、あえて自分たちで運用せずに、海外の専門特化型の運用会社を発掘してきて、そこに再委託して日本の商品に仕立て上げたりもします。

つまり、腕がすこぶる良くて、でも頑固で「オレの味が分かるやつだけ食いな!」という、頑固さが却って信頼と魅力につながっているお店をめざしてはいないんです。そうではなく、日本人に広く「怖がらずに、偏見持たずに、もっと目を開いて見てみませんか。世の中には美味しくて栄養価の高い食べものが色々あるんですよ」「ウチが皆さんに合うよう品揃えしときますから、どうぞご来店ください!」―― そういうお店をめざしている運用会社だと思っています。

外部委託の説明をしましたが、それってよく考えると、自分が料理人なのにも関わらず、なんと自分で料理はせずに他の店の料理人を探してきて作ってもらうんですよね。プロデュースって感じでしょうか。でも単に料理人を探してきてハイってわけでは当然なく、お客様が自分では探せなかったり、探せても海外なので直接買えなかったりするものを、ウチがしっかりとチェックし、日本のお客様に最適な盛り付けをした上で出しているといったところです。

頑固な料理人なら「自分で料理しないなんて!」と怒るかもしれないけれど、私達の目標は、お客様から「この店なら自分に合った料理が必ずある」と思ってもらえることなので、自分より上手そうな料理人がいる料理なら迷わずそうします。お客様自身ですべての料理のベストの料理人を見つけることは難しいはずですから。

日本人にとって「当たり前」なものとしたい

つまり、私達日興アセットを貫く軸は、運用手法や投資哲学のユニークさだけでなく、「日本に投信やETF(上場投資信託)を広めるための全てのことを、誰よりも真っ先に、誰よりも強力に行ないたい」というところにあります。運用会社ですが運用だけしていればいいとは思っていません。もちろん、最高の運用成果を目指すのは運用会社として当然のこととして、です。

日本人はこのままでは、莫大な個人金融資産を持ったまま、超低金利に甘んじたまま、時間だけを浪費してしまいかねません。過去の高金利が再び来るのを待っているうちにお客様は歳をとってしまう。運用期間が長いことが大きな武器なのに、躊躇している間に歳をとってしまい、資産運用が十分にできるだけの時間がなくなってしまうお客様は今後も多そうです。そうしたお客様には、投信やETFが海外の投資機会を手軽に手にする素晴らしいツールであることを教えてあげたい。海外の高金利や高成長を日本に居ながらにして手にすることができるのは、まさに投信やETFならでは。私達はそのプロバイダーとして、日本中に宣伝をしてまわりたいんです。

もちろん、少子高齢化の日本に一縷の望みもないなんて言うつもりはありません。逆に評論家やマスコミがそういう悲壮な煽りをするからいけないんだと思います。評論家よりも前に日本企業はずっと先を行っているんだ、ということを伝えたい。だって運用会社として私達はずっと日本企業の素晴らしさを見てきたんですから。

例えば顧客の頭数が重要なビジネスなら、日本だけで限界が来るのは分かりきっていたことで、企業はとっくの昔からビジネスのフィールドを新興国にも拡大して布石を打っています。どこで売り上げが上がってもいいんです。日本でなく中国でインドでバンバン売って、それによって日本の従業員の給料が上がり、その日本企業の価値が高まり、株価が上がり、日本の投資家がリターンを得る、それでいいんです。日本は少子高齢化の道を進むのかもしれませんが、日本の企業には魅力的で元気のいい会社がたくさんあるし、世界を相手に成長を続ける会社もたくさんあります。

そうしたことをお伝えするのも含め、投資や投信、ETFを「日本人にとって当たり前のものとする」のが私達の目的であり、夢です。1人1台以上に普及した携帯電話も、当初は小学生の孫と祖父母とのコミュニケーションツールにまでなるとは、誰も思っていませんでした。私達は、投信やETFが一日も早く、携帯電話と同じくらいに「誰もが当たり前のように持つ金融商品」になってほしいと考えています。もちろん、その人その人のステージにあった種類や金額で。

誰もが「当たり前」のように、将来を見据えた積立ての手段に選んだり、何かの人生の節目で買ったり、ボーナスなどまとまったお金が入る度に買ったり。そんな日が来ることを夢に見て、できることは全て、誰よりも早く、誰よりも強力に行ないたいんです。いつか、「衣食住・投信」と言える位に、投資信託やETFが「当たり前」になるために、できることは全部やりたいと考えています。

「儲ける」という言葉は、投信に馴染まない

最後の最後に、どうでもいいことなんですが、社内の決まりごとをひとつ紹介させてください。それは当社の社員は、投信やETFのリターンについて「儲かる」という表現を使わないようにしよう、というルール。

株とか市場とかいうと、昔から「儲かる」「儲ける」という表現を使いますよね。でも私達はお客様に、投信やETFを使った運用に「儲かる」という言葉を使ってほしくないんです。だから私達社員がこうしてお客様にお話をする際にはその言葉を使わないぞ、と決めているわけです。

単なる言葉遊びと言われたらそれまでですが、「儲ける」って日本語には、やはり「あぶく銭」のニュアンスが漂いますよね。だとしたら、私達は儲けるための道具を作りたくはない。そうではなく、いつか「あぁ、あの時勇気を出して踏み出してよかった。そのきっかけをくれたのは日興アセットだったな」と思ってもらいたいんです。お客様の「ホンキの投資」で「命に近いお金」に役立ちたい、そんな風にずっと思ってきましたし、これからもそこは変わりません。