【ETF用語集】逆イールド
- 2019年09月11日
はじめに
「米国の短期金利の利回りが長期金利の利回りを上回る『逆イールド』が発生している」と聞いても、この『逆イールド』という言葉だけでは一体何が起きているかピンと来ませんよね。過去に、逆イールドが生じた後、一定の期間を経て景気後退局面を迎えるという例が見られたため、“景気後退の予兆”とも言われており、世界が注目しています。今回は、私たちにはあまりなじみのない逆イールドについて解説します。
※短期金利:米2年国債利回り 長期金利:米10年国債利回り
イールドとは
そもそもここで使われているイールドとは、債券の利回り(投資に対するリターン)を意味しています。債券の利回りは購入価格と支払われる利子(クーポン)によって決まり、縦軸に満期日まで保有した場合の利回り(最終利回り)、横軸に債券の残存期間を取り、債券の最終利回りと残存期間をグラフ化したものをイールドカーブと呼びます。
順イールドと逆イールド
順イールド(短期金利<長期金利)
長期間債券を保有する方が、短期間債券を保有するよりも投資資金の固定化によるリスクが高いため、通常であれば投資家は長期債投資に対してより高い利回りを要求します。そのため残存期間が短いほど利回りは低く、残存期間が長いほど利回りが高くなる右肩上がりのグラフとなり、これを順イールドと呼びます。順イールドは、景気は拡大し将来金利は上がっていくだろうと市場が考えている状態の時に発生する傾向があります。
※上図はイメージです。
逆イールド(短期金利>長期金利)
これに対し、景気は縮小し、将来の政策金利は長期に渡り下がってしまうのでは、というような不安心理等により、残存年数の長い債券を購入して将来の利回りを確保しようとする投資家が増えると、残存年数の長い長期債が買われることで、長期債の最終利回りが下がり逆イールドの状態になります。つまり、逆イールドは将来に対して不安感を持っている状態ともいえます。
※上図はイメージです。
逆イールドと景気後退予想
これまで、米国の逆イールドが発生すると、その後1~2年程度で景気後退が起こるケースもありました。ところが、過去の推移をよく見てみると、逆イールドが発生してもその後景気後退が起きていないケースもあります。
※KAMIYAMA Reports 2018年12月13日 逆イールド(短期金利>長期金利)を再考する
まとめ
短期金利、長期金利は、中央銀行の政策金利の動向や市場参加者の動向に左右されます。逆イールドが起きたから、悲観するのではなく、あくまで市場を見るうえでの一つの材料とし、景気動向や政策の行方などを見極めることが大切です。