ETFの取引について詳しく知ってみよう①取引ルール編

ETFの取引について詳しく知ってみよう①取引ルール編

  • 2019年10月31日(2020年7月31日更新、2024年11月5日一部追記)

日本のETFや株式の取引は、主に東京証券取引所の売買システムによって行われています。そして、株価などの情報は東京証券取引所から情報ベンダーを通じてテレビやインターネットなどで配信されています。そんなETFや株式の取引のインフラとしての役割を担う東京証券取引所(以下、東証)岡崎氏に、ETF投資をはじめるにあたっての取引に関する質問にわかりやすく答えていただきました。


ETFが取引できる時間帯を教えてください。

<注>2024年11月5日、東京証券取引所の取引時間の延伸が実施され、立会内取引の終了時刻は15時30分となりました。

平日の9:00~11:30(前場)と12:30~15:00(後場)です。

ETF・株式の取引時間

 

取引時間

*立合内取引の取引時間を表示しています。



なぜ取引時間は前場・後場と決められているのですか。取引できない時間帯が1時間あるのはなぜでしょうか。

現在は、システムで売買がされているため、実際の注文や約定は自動的に処理がされています。しかし、1999年に立会場が廃止されるまでは、注文や約定は全て人の手によって行われていたため、現在より30分間長い1時間半の昼休みがありました。2011年に昼休みが短縮されて11:30~12:30が取引できない時間帯となり、現在の取引時間となりました。
余談ですが、この昼休みの時間帯には、機関投資家には、株式の取引がされていない=株価が動かない間に、バスケット取引という多くの銘柄をまとめて取引を行う慣行があります。



ETFの市場価格は、どう決まるのですか。

市場価格は、需給のバランスで決まります。
投資家としては出来るだけ安く株を買いたいところですが、「高くても良いから買いたい」という投資家が多ければ株価は高くなりますし、「安くても良いから売りたい」という投資家が多ければ株価は安くなります。
ただし、株価が上がる・下がるというのはその値段で約定が成立したということなので、どんなに株価が下がっても、その値段で売った人もいれば買った人もいることを意味します。

 

また、「板寄せ」方式と「ザラバ」方式の2種類の価格決定方式で、市場価格は決まります。
板寄せは、注文を集めて一つの値段でまとめて約定させます。
ザラバは、入ってきた注文ごとに売買を成立させるため、次々と価格が変わっていきます。
取引時間の最初と最後には板寄せをするのに対し、取引時間中はザラバで売買を成立させます。

取引時間と価格決定方式

<注>2024年11月5日、東京証券取引所の取引時間の延伸が実施され、立会内取引の終了時刻は15時30分となりました。

取引時間と価格決定方式

*立合内取引の取引時間を表示しています。



日々、そして日中になぜ株価(ETFの市場価格)は変動しているのでしょうか。

色々なニュースや市場環境の変化で売買がされるためです。 個別銘柄の株価については、企業自身の業績や新商品に関するニュースの影響が大きいです。たとえば、有望な新商品が出れば、その会社の株を買いたいという人が増えて、株価は高くなります。それでも、為替の変化等で業種自体にマイナスのニュースがあり、その会社がいくら頑張っても業績に希望が持てないのでその会社の株式を売りたい、という投資家が増えて株価が下がる、ということもあり得ます。

ETFの場合、たとえば連動する指数が株式であれば、投資対象となっている複数の株式の価格を反映するため、それぞれの株式の価格変動に伴ってETFそのものの価格も変動します。


どの時間帯にETFを取引するのがいいですか。

いつでも構いませんし、いつでも取引出来るのがETFの良さでもあります。ただし十分に注文が提示されているかどうか(板*に数量があるか)は、確認が必要です。

*板:売買注文状況(どの株価(値段)にどのくらい売り買い(売数量・買数量)の注文があるのか)を示したもの。

板情報のイメージ

板とは



ETFの注文のルールを知りたいです。

注文方法は、基本的に2つの方法から選べます。

自分のイメージした価格優先で取引したい場合は、指値(さしね)注文がいいでしょう。
価格はいくらでもよいから、時間を優先して、売りたい・買いたい場合は、成行(なりゆき)注文を選択します。 自身の希望に合わせて、取引の注文を使い分けることができます。

東証で取り扱う主な注文方法

東証で取り扱う主な注文方法



投資初心者に向いているのは、成行と指値のうちどちらの注文方法でしょうか。

現時点でETFがどのくらいの価格なのかを確認したうえで取引をした方が、失敗が少ないと考えられるため、個人的には、まずは「指値」注文で取引に慣れていくことをお勧めします。
ここでいう失敗とは、成り行き注文を出した場合に自分が予想していた価格よりも急に価格が動き、思わぬ値段で取引が成立してしまうことを意味します。

加えて、この2つの注文方法には下記の注意点が考えられますので、自分の取引スタンスにあった方を選んでいくといいでしょう。

指値注文:価格変動リスク(=予想外の価格で約定する可能性)を抑えられる  
成行注文:価格変動リスクが大きくなるが、約定する可能性も大きくなる



注文する値段と関係している呼値(よびね)とは何でしょうか。

呼値とは、注文ができる値段の単位で、取引の価格帯に応じて、呼値の刻みとして東証がルールを決めています。
また、東証一部上場の上位100銘柄(TOPIX100構成銘柄)のみ、呼値の刻みが他の銘柄よりも細かくなっています。この単位は、値段ごとに下記のように決められています。

呼値の刻み一覧

呼値の刻み一覧

*2019年10月10日現在
*10万円超については、日本取引所グループ 内国株の売買制度 呼値の単位でご確認ください。



指値注文をするときに注意するポイントはありますか。

ETFの市場価格によっては、「呼値」の単位が変わることがあります。
たとえば、日興アセットマネジメントの上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)毎月分配型 (銘柄コード:1677)の板情報について見てみましょう。
右側の買数量(買い板)の呼値の刻みは、5万円以下の値段では50円単位であるのに対して、5万円超は100円単位に変わっています。また、左側の売数量(売り板)の呼値の刻みは、すべて5万円超なので100円単位です。指値注文をする際にはこの値段をよく見てください。
板情報は、口座開設した証券会社のウェブサイトなどで見ることができます。

上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)毎月分配型の板情報

板情報(1677)

*2019年10月10日11時10分時点の板情報





岡崎氏写真

<お話を伺った方>
岡崎 啓(おかざき けい)

株式会社東京証券取引所 株式部 株式総務グループ ヘッド・オブ・ETF・セカンダリー・トレーディング 調査役
2007年に早稲田大学政治経済学部卒、東京証券取引所に入社。派生商品部やコロケーション推進室、マーケット営業部等を経て2013年より現職。ETFを含む東証現物株式市場の制度設計に携わっており、ETFにおけるマーケットメイク制度の構築や見直しを担当している。

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1677 - 上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)毎月分配型(愛称:上場外債)
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●当資料は、日興アセットマネジメントがETFについてお伝えすることなどを目的として作成した販売用資料です。
●掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。また記載内容の正確性を保証するものでもありません。
●投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。