積立投資の効果と出口戦略

積立投資の効果と出口戦略

  • 最終更新日:2024年2月27日(2020年1月10日)

積立投資を行う意味やメリット、具体的な投資行動について、グラフを使ってお話します。

尚、当記事は2024年2月27日で改定していますが、当初の記事の記述当時より市場が大きく上昇しています。そのためグラフをアップデートするとさらに大きな投資成果を見ていただくことになりますが、当記事の目的である積立投資を行う意味やメリットを説明するには当初の記述当時のデータで十分お伝えできると判断して当初記述時のままとさせていただいています。


積立投資の驚きの効果

積立投資のちょっとびっくりするような効果をお示ししたいと思います。

投資未経験者にとって「投資」は、株価が表示された画面に常に張り付いて、忙しく売買を繰り返すというイメージがあるそうです。つまり、値上がりしそうなものを見つけてきて、タイミングよく売買することが投資の成否を決定づけるという考えです。 しかし、積立投資には、この概念を覆す効果を示すことがあります。 グラフをご覧ください。

積立投資における積立額(元本)と評価額の推移

積立投資における積立額(元本)と評価額の推移

※信頼できる情報をもとに、日興アセットマネジメントが作成。



こちらのグラフでは、日経平均株価を、史上最高値を付けた1989年末から2019年9月末までつなげています。この間の日経平均株価は、1989年末に38,915円でスタートして、2009年2月末には7,568円まで下落、そして2019年9月末に21,755円で終えました。日本経済が長期にわたって停滞してきたことを「失われた20年」とよく言いますが、こちらを見ると30年近くも低迷していて、投資環境としては決して良好とは言えないものでした。

しかし、日経平均株価に毎月1万円の積立投資を行ったと仮定すると、積立額の合計358万円に対して、その評価額は537万円強となり、+179万円(+50%)の投資収益を得られたと試算されます。

定時定額で投資すると、値段が高いときには少ししか買えず、値段が安いときにはたくさん買えるから、高値で始めてもプラスのリターンが得られる場合があると言うことです。こう言うと、このグラフ上の2000年から2012年くらいまでは評価損の状態だったではないかという指摘が入りそうですが、いえいえ、ここがポイントなのです。

積立投資におけるポイント

積立投資におけるポイント



※信頼できる情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。



上記のグラフで示した緑色の枠の「含み損が大きかった期間」に、我慢して(あるいは、そういう状況を無視して)たくさん買っておけたから、積立投資はより効果を発揮したのです。上がるのはたくさん買った後でいいのです。下がってもうれしい仕組みが積立投資、これは定期預金の積立では得られない効用です。

※ETFの場合、定時定額での積立投資は一部の証券会社でのみ取り扱っています。

出口戦略を見据えた積立投資を

断っておきますが、積立投資は万能ではなく、いかなる場合でも良好な投資成果が得られるわけではありません。何に投資するか、いくら積立てるか、いつまで続けるか、など様々な要素で将来の投資成果は変わってきます。中でも重要な要素は、出口戦略、つまり積立投資の終え方です。

積立投資をしている間であれば、評価損が発生している状態はむしろたくさん買えているわけですから、それを我慢(あるいは、そういう状況を無視)できれば問題ありません。ところが、積立投資を終えるタイミングで、たまたま投資対象が大きく値下がりしていたら、それはまずいことになります。
とは言え、そういう状況を過剰に想定する必要があるかと言えば、私はそうは思いません。現役世代であれば20年・30年と続けようとしている積立投資、それを終えるときに、経済は今より成長していないのでしょうか。

下のグラフは、世界の株価指数とGDPの推移です。長期的に見ると、世界の株価指数とGDPの成長のペースがリンクしていることがお分かりいただけると思います。

世界のGDPと株価指数の推移

世界のGDPと株価指数の推移



※信頼できる情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。



株価というものは、常に、様々な要因で、上がったり下がったりします。特に、リーマン・ショックなどのイベントが起きると、いつもより大きく値下がりします。しかし、長期的にはGDPに連動して右肩上がりであることが見てとれます。GDPとは平たく言うと経済の規模を表すものですが、本当にこのグラフのようにこれからも伸びていくのでしょうか。

確かに、日本で生活していれば、人口減、低インフレ、低成長であることから、長期的な経済成長をイメージできないかもしれません。ところが、世界に目を向けると、経済はこれからも成長を続けると予測されています。それを支える理由の1つは、人口の増加です。
1987年に約50.5億人だった世界の人口は、2019年には約77億人に、そして約30年後の2050年には約100億人近くになると推計されています。

出所:国連 World Population Prospects 2019

 
長期的なGDPの伸びと株価の上昇が期待できるのであれば、積立投資を通して、短期的な値下がりは無視(むしろ、そういう状況は好感)できるのではないでしょうか。それでも不安な場合は、積立投資を終えようとする数年前から、徐々に株式の組入比率を下げていけばよいでしょう。

「これからは、お金に働いてもらいましょう。」は正しいの?

この言い回しは、投資教育の場で、「投資しましょう。」と言う代わりによく使われるフレーズです。しかし、「お金が働く」という抽象的な表現でちゃんとご理解いただけてますでしょうか。

「長期保有」を「時間を味方に付ける」と言い代えるのも同じで、「お金」や「時間」を人格化しているところが共通しています。

各所で開かれている投資セミナーでは、資産運用の必要性、分散投資や長期保有の効果などが説明され、最後に「お金に働いてもらいましょう」、「時間を味方に付けましょう」と結ばれるわけですが、本質を理解してもらうにはもう一段のブレークスルーが必要だと感じています。

では、投資とは何か。

大胆に言ってしまうと、投資とは「自分の代わりに、人に働いてもらう」ことです。「何に投資するか」を考えることは、自分の代わりに「誰に働いてもらうか」を考えることとも言えます。多くの人は自らも営利企業に身を置き、その企業が利益を上げるために働いていますので、これなら「お金に働いてもらう」よりもイメージしやすいのではないでしょうか。

当然、人に働いてもらうのだから、その人がちゃんと働かなかったり、ちゃんと働いていてもすぐには成果が出なかったりする場合があります。だから投資は元本保証ではありません。そこでその人に長く働いてもらうことで、短期間では成果が上がらないことがあっても、長期的には成果が出る可能性が高まります。

給与所得が自らの労働の対価として得られるものであるのに対し、投資で得られる収益は不労所得です。しかし、この不労所得という言葉がとにかく日本人にウケが悪いと感じます。「働く」という概念がなく、ギャンブルで得た儲けと同じような後ろめたさを与えるからでしょう。そのため、耳触りの良い「お金に働いてもらう」と言う表現が使われるようになったのかもしれません。

投資とは、「お金に働いてもらう」のではなく、「自分の代わりに、人に働いてもらう」こと。長期保有とは、「時間を味方に付ける」のではなく、自分の代わりに働く人に「なるべく長く働いてもらう」こと。「働く」という概念を残していれば、投資とギャンブルが同列に扱われたり、後ろめたく思われることもないでしょう。

終わりに~ なぜ、人々は投資するのか?

投資は、本業以外にも収入の手段を持つためにすることではないでしょうか。現役サラリーマンであれば、「給与所得」以外にも、例えば株式投資を通じた「配当所得」や「譲渡所得」が追加的にあれば、生活に厚みが増すはずです。投資とは「自分の代わりに、人に働いてもらうこと」とも言えますので、労働者でありながら資本家にもなるというイメージです。ポイントは、ワクワク感(ドキドキ感ではありません)です。投資セミナーなどで、投資の必要性を説く際によく引き合いに出される、低金利、年金不安、インフレや長生きリスクへの備え、といった後ろ向きのインセンティブはうまく機能しないと思います。

現役サラリーマンにサイドビジネスをする(したがる)人が増えているようです。それは、現在の給与所得に追加的な所得が欲しいからだと思います。休日に本業以外の労働を追加して、給与所得に給与所得を上乗せしようする人もいるようです。その方法を、投資にして、自分の代わりに人に働いてもらい、給与所得以外の所得を得ることを目指してみませんか。退職後、給与所得がなくなっても、別の所得が残るように。



■関連法令等の情報に基づき作成したものであり、将来変更になる可能性があります。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが少額投資非課税制度(愛称:NISA/ニーサ)についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与える ものではありません。 ■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。