金融数学シリーズ「70の法則」

金融数学シリーズ

  • 2019年08月01日

投資を始めようと思ったとき、まず大事なのは、自分の投資したお金が将来どのくらいになるのか、大まかでもいいので具体的な予測を立てることです。例えば、10年で投資した資産の価値を2倍にするには、大体年何%のリターンが必要かな、というように。このコーナーでは、それがすぐに計算できる魔法の数式をご紹介します。まずはクイズで見てみましょう。

1.その資産、何年後に2倍になる?

あなたは、とあるETFが昨年5%値上がりしたと聞いて、今後も毎年5%値上がりするのではないかと思い、このETFを購入しました。すると想像通り、このETFはそれから毎年5%値上がりしました。このETFの価格は、何年後に約2倍になるでしょうか?(ただし、分配金は発生しないものとし、売買委託手数料等も無視できるものとします。)

①9年

②14年

③20年







正解は・・・②14年です。

感覚的に②を選んだ方は素晴らしいです。数字に強く、投資に向いていると言えるのではないでしょうか。

一方、①や③を選んでしまった方も大丈夫です。次に出てくる魔法の数式を覚えておけば、誰でも計算できるようになります。

2.魔法の数式が教えてくれる、資産価値が2倍になるタイミング

あなたの資産の価値が何年後に2倍になるか。その大まかな年数は、次の式で簡単に計算できます。

投資年数×リターン/年(%)=70

先ほどのクイズでも見たように、1年あたりのリターンが5%の場合、70÷5=約14年で、あなたの資産の価値は約2倍になります。これを、金融業界では、「70の法則」*といいます。ただし、この式が成り立つのは、投資年数がある程度長い場合です。(例えば、投資年数が1年、リターンが70%だと、「70の法則」に当てはまりそうですが、実際には1.7倍にしかなりません。)

特に若い世代の皆さんが長期投資を行う場合、10年、20年といった長いスパンで自分の投資の結果が出ることになります。1年後、2年後ならまだしも、10年後、20年後に自分の資産がどのくらいになっているかなんて、あまり想像がつかないのではないでしょうか。

そんなときに、この魔法の数式が力を発揮するのです。

*72の法則と呼ばれることもあります。

3.実はまだある魔法の数式 「40の法則」「110の法則」*

実は、これと似たような魔法の数式は他にもあります。

投資年数×リターン/年(%)=40

「70」を「40」にするだけで、あなたの資産の価値が1.5倍になるまでに必要な年数を計算することができます。


投資年数×リターン/年(%)=110

同じように、「110」にすると、あなたの資産の価値が3倍になるまでに必要な年数を計算することができます。

*115の法則と呼ばれることもあります。

4.魔法の数式は、実はれっきとした金融数学

この「70の法則」、魔法の数式なんて言うけれど、でたらめじゃないかな、たまたまじゃないかな、なんて思う方もいるかもしれません。でも、そんなことはありません。れっきとした数学的な根拠があります。

ここから先は、数学が好きな方向けに、簡単にその根拠をご説明します。

まず、現在の資産価値を1、投資年数をx、リターン/年をR(%)とおきます。このとき、x年後の資産価値は、

数式 x年後の資産価値1

 

となります。
すると、「70の法則」から、

数式 x年後の資産価値2

 

であるため、x年後の資産価値は、

数式 x年後の資産価値3

 

となります。
ここで、投資年数xが無限に大きくなると仮定した場合、

数式 x年後の資産価値4

となり、x年後の資産価値は大体2倍になります。
つまり、投資年数xがある程度大きい場合に、「70の法則」が成り立つことが説明できます。


同様に、

数式 「40の法則」と「110の法則」

から、「40の法則」と「110の法則」も説明することができます。

いかがですか?ぜひ、これからの投資の参考にしてみてください。


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