マーケット・ビュー

 

インフレと金利と株式市場

製造業の急回復で銅などのコモディティ価格が上昇し始め、米国経済が正常化すれば労働力不足となり、インフレが起こりやすくなるのでは、といったことが心配されている。さらに、米国でトランプ前政権の緊急対策に加えバイデン政権が追加的に財政を拡大させれば、自粛期間中に溜まっていた飲食などの需要だけでなく世界の総需要も急拡大し、供給が追い付かずにインフレとなる可能性がある(2020/6/25、「コロナ後のインフレを考える」で指摘)。しかし、これらは株価下落をもたらすとは思えない。“経済回復・正常化”→モノの価格・賃金の上昇→インフレ懸念・金利上昇→“経済悪化・株価下落”という因果は、経済回復・正常化⇒経済悪化・株価下落であり、矛盾しているからだ。

パーム油投資をESGの視点から考察

パーム油企業への投資は物議を呼ぶか、それとも好機をもたらすか。本稿では、パーム油セクター、そして同セクターが直面している重大なESG問題について詳細に考察する。結論から言うと、当社では、ESG面のポジティブな変化はパーム油企業にとって大きなチャンスとみており、持続可能性に関するゴールに向けて尽力し、自ら掲げたESG目標を上回る成果を挙げている銘柄への投資をめざしている。

シリコン・サイクルはスーパー・サイクルに入った!?

以前、「シリコン・サイクルはスーパー・サイクルへ」(2018/3/20、リンクあり)で、シリコン・サイクルはスーパー・サイクルになりそうだ、という考えを示した。ここでは、その後の状況を確認し、当時からみれば“スーパー・サイクル化した”と考えられる要因を報告する。

再考の好機:中国のソブリン債と政策銀行債

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で大騒ぎとなった2020年を経て、2021年の世界の経済成長はワクチン接種のポジティブな進展と政府による継続的な対策を背景に回復すると予想される。しかし、回復ペースは国によって差が生じるとみられるとともに、新型コロナウイルスの再流行の不安は根強く残っており、ついに危機を脱したなどと言うのは僭越だろう。

アジア株式 Monthly Outlook 2021年3月

当月のアジア株式市場(日本を除く)は、根強いリフレ懸念や世界的な債券利回りの上昇といった逆風材料がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のワクチン接種進展に伴う地域経済の回復期待を上回ったことから、利益確定売りに押されて月間リターンが米ドル・ベースで-2.5%となった。

アジア債券 Monthly Outlook 2021年3月

3月の米国債市場ではイールドカーブのスティープ化が一層進んだ。米国で国内の経済指標が予想を上回る好調さを見せたこと、1.9兆米ドルの景気対策パッケージが議会で可決されたこと、新型コロナウイルスの日次感染率が低下するなかでワクチン接種率が上昇したことを受けて、市場では向こう数四半期における経済成長の加速の織り込みが進んだ。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.032%上昇の0.162%、10年物で同0.335%上昇の1.742%となった。

マルチアセット 2021年4月

米国の新たな景気刺激策と新型コロナウイルスのワクチン接種の概ね順調な進行がリフレの動きを下支えし、景気の回復がそれをすでに示しているなかで、リフレ・トレードは市場動向からみると少々消耗してきているようだ。しかし、当社では足元の動きを終わりというよりは小休止とみている。米国債利回りの上昇に加えて米国の好調な経済成長見通しがドルのサポート材料となっており、ドル高は通常ディスインフレ効果をもたらす。当社ではそのような当面の追い風要因を受けてドルに対する見方を引き上げたが、この動きが長期にわたって続くとは考えていない。

バイデン政権の財政政策とPER

米国の財政政策(経済対策)は、民主党政権であるバイデン政権となって拡張的になると考えて良いだろう。ただし、3月に成立した約1.9兆米ドルと、今後審議される約2兆米ドルなどの政策はまったく性格が異なることに注意したい。

バリューとグロースの中身

しばしばメディアの解説などで、「理論株価の考え方では“金利上昇で株価が下がる”ので、株式市場は金利上昇を懸念する」と指摘されるが、ファイナンス理論の観点から、このような表現を使うべきではないだろう。

アジア株式 Monthly Outlook 2021年2月

当月のアジア株式市場(日本を除く)は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のワクチンが域内に景気回復をもたらすとの楽観ムードが投資家のあいだで続くなか、上昇して米ドル・ベースの月間リターンが1.2%となった。

フューチャー・クオリティー・インサイト 2021年3月

2021年3月に導入されるEU(欧州連合)のサステナブル・ファイナンス開示規則は、資産運用のやり方を大きく変えることになるだろう。同規則には運用会社のESG(環境・社会・ガバナンス)懸案事項への取り組みに関する新たな開示要求が含まれており、当社ではこれを心から歓迎する。

マルチアセット 2021年3月

年初に好調なスタートを切ったグローバル株式市場は、2月には今年最初の難局にぶつかった。大半の国の株式市場は年初来で依然プラス・リターンを維持しているものの、程度こそ異なれ高値から反落している。この主因は債券イールドカーブの大幅なスティープ化で、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック(世界的流行)の真っ最中においてその恩恵を最も受けてきた市場に悪影響を及ぼしている。テクノロジー株の占める割合が大きいナスダック指数は10%の調整に見舞われ、年初来の上昇分をすべて吐き出した。バリュー色の強い「復興」株をより多く含む市場全体の指数は、相対的に良好なパフォーマンスを見せている。

アジア債券 Monthly Outlook 2021年2月

長らく低迷してきたインフレが再加速する可能性を受けて、2月の米国債利回りは大幅に上昇した。米国の好調な経済指標、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンに関するポジティブな動向、米国の財政支出拡大見込みが重なり、インフレ懸念の高まりを招いた。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.019%上昇の0.13%、10年物で同0.34%上昇の1.41%となった。

金利上昇で株価は下がるのか

しばしばメディアの解説などで、「理論株価の考え方では“金利上昇で株価が下がる”ので、株式市場は金利上昇を懸念する」と指摘されるが、ファイナンス理論の観点から、このような表現を使うべきではないだろう。

アジア株式 Monthly Outlook 2021年1月

当月のアジア株式市場(日本を除く)は、新型コロナウイルスの新たな変異種によってもたらされた不透明感をよそに上昇し、月間リターンが米ドル・ベースで4.1%となった。

日本株を買う海外投資家

日経平均株価が30年ぶりに3万円台に乗せるなど、コロナ禍にありながら強い株式市場(以下、市場)となっている。これは主に①バイデン米政権の大型財政政策への期待、②主要国での新型コロナウイルス感染拡大の鈍化と正常化期待、③主要国の製造業の雇用や収益の改善、に支えられている。一方リスクは、①バイデン大統領が早い段階で富裕層増税やキャピタルゲイン課税強化などを語り始めること、②ワクチン接種の効果が想定外に低いこと、③旅行・飲食など非製造業の回復が遅れ、消費者が補助金などを貯蓄し消費に回さないこと、などが挙げられる。

アジア債券 Monthly Outlook 2021年1月

1月の米国債市場はイールドカーブがスティープ化した。米国の財政支出拡大見込みを受けて、米国債利回りは年初に急上昇した。月後半には、米国株式市場のバリュエーションが高水準にあることやCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のワクチン接種が一様には進んでいないことに対する懸念から、市場でリスク回避志向がある程度強まった。

マルチアセット 2021年2月

1月の市場は特に月末にかけて不安定な展開となったが、当社ではこのような状況がしばらく続くと予想している。2020年3月下旬以降ほぼ休むことなく続いているリスク資産の力強い上昇が、11月初旬の米国選挙を受けて再び勢いを増したからだ。

2021年 シンガポール株式市場 見通し:ポストコロナ経済とリターンの回復

2020年はシンガポールにとって試練の年だった。経済は落ち込み、株式市場のリターンはマイナスに陥った。だが、2021年の見通しは、輸出の回復に伴い、輸出品を中心とした製造業が経済回復をけん引し改善すると考える。

2021年 ニュージーランド株式市場 見通し:ポストコロナの経済復興が継続

2020年は世界にとって紛れもなく恐ろしい年であった。喪失、痛み、不安、そして別離の1年であり、テクノロジーや社会的特権も全く歯が立たなかった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生以来、政府、企業、個人は不完全で変わり続ける情報に基づき社会的・経済的に重要な決定を下すことを余儀なくされ、その決定がもたらした進路をたどるしかなかった。

2021年 ニュージーランド債券市場 見通し:パラドックスを飛び越える

2020年は恐怖や不安、不確実性が渦巻き、心肺停止寸前となった世界経済を電気ショックで蘇生させたような1年だった。一方、芸術品から金、不動産に至るまで投資家と資産のオーナーにとっては、2020年は資産の増大、投資の成功、そして信頼感が回復を実現した1年となった。2020年を通して当社のレポートをお読みいただいた読者は、資産価格の高騰に驚かなかっただろうが、世間一般はあっけにとられただろう。

2021年 新興国債券市場見通し:外的要因の慎重な評価が重要

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は、新興諸国を中心に世界各地で甚大な人的・経済的被害をもたらした。

日経平均株価とTOPIXの比較(NT倍率)

NT倍率の上昇が続いており、日経平均株価がTOPIX(東証株価指数)の上昇を上回る状態が続いている。NT倍率(日経平均株価÷TOPIX)は、2019年初めの13倍台からおよそ 2 年の間に15倍台に上昇した。

2021年は、世界がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック(世界的流行)に対抗すべくワクチン開発を進めるなか、コロナ危機の終わりの始まりとなった年として記憶されるであろうと考える。日本では、パンデミックの影響が後退し経済活動が正常化するにつれ、景気が徐々に回復すると予想している。

グローバルストラテジー 2021年の見通し:リフレによる修復へ

米国の資本主義は大きな社会的分断の上に築かれたものだが、時として、それに耐えられなくなり、国民の大部分が反旗を翻すことがある。今回のケースでは、新型コロナウイルス流行の影響で所得格差が広がり、不安がさらに深まった。しかし、過去4年間においては一般大衆が様々に異なる方法で反撃し、互いに争い合う結果に終わった一方、富裕層はかつてないほど栄えた。

2021年 中国株式市場 見通し:楽観的な展望

中国にとって2020年が波乱に満ちた1年だったと言ったとしても、それは控えめな表現だろう。2019年と2020年を通して、米国からの政治的制裁の猛攻に耐えてきた中国は、2020年の年明け早々に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行に見舞われた。

グローバル・クレジット 2021年市場見通し:確実性の探索

過去12ヵ月間において、金融市場で議論されるトピックは大きく変わった。論点はマクロ経済指標から、感染者数や入院患者数、ワクチン接種など、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)関連の問題へと移ってきた。

アジア株式 Monthly Outlook 2020年12月

当月のアジア株式市場(日本を除く)は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のワクチンが世界的な景気回復をもたらすとの楽観ムードや米国の追加財政出動、中国の堅調な経済指標を追い風に着実な上昇を見せ、月間リターンが米ドル・ベースで6.8%となった。

2021年 先進国債券市場見通し:イールドカーブ、コロナ、そしてカマラ

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、英国・EU(欧州連合)間の自由貿易協定合意を発表した際、英国の詩人T.S.エリオットを引用して「私たちが始まりと呼ぶものは、終わりであることがよくあります。ですから、終わらせることは始めることでもあります。終わりはスタート地点なのです。」と述べた。

アジア債券 Monthly Outlook 2020年12月

12月の米国債市場では、イールドカーブがややスティープ化した。月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.027%低下の0.122%、10年物で同0.075%上昇の0.915%となった。当月は、欧州(特に英国)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染者数の増加や米国の財政出動に関する不透明感をめぐって、投資家の懸念が強まった。

年の変わり目とは、マーケット解説者たちがしまい込んでいた水晶玉を取り出し、来る年の予言をする季節である。しかし、2020年を正しく予測できた者はいなかったであろう。2020年を発端とした出来事が世界に影響を及ぼし続けることは避けられず、2021年の予測の誤差をさらに高くしている。数え切れないほどの「来(きた)る年」の展望レポートは、2021年が2020年とは正反対になると予測している。いろいろな意味で、このような予測が当たることを願うばかりである。既承認、未承認を問わず、多くの新型コロナウイルス感染症ワクチンが、これまでに実施された臨床試験の結果と同様に、新型コロナウイルスの変異種に対しても効果を発揮することを願わずにはいられない。

マルチアセット 2021年1月

2020年がパンデミック(世界的流行)の年として記憶されるのは間違いないだろう。金融市場の観点からはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)はもはや古いニュースと考えたくなるが、ウイルスは経済見通しにとって依然大きなリスクを呈している。

REIT 投資のチャンスとみる

2020年3月ごろに新型コロナウイルス感染拡大を抑える目的で導入した行動制限やロックダウン(都市封鎖)などの影響で世界的に株式やREITの価格が急落(以下、コロナ・ショック)した後、J-REIT市場(以下、REIT)は株式市場に比べて回復が遅れている。

1891年に開催されたシカゴ万国博覧会で使用された照明機器で交流の電流が使用された。その後まもなく、ナイアガラの滝のそばに建設された水力発電所で交流発電機が初めて採用され、電化の時代が幕開けした。当時、発電所から遠い場所で必要な時に電球を点灯できることは、神がこの世に光をもたらしたのと同じくらい奇跡的なことだった。そして、それはすべてテスラのおかげだった。

フューチャー・クオリティー・インサイト 2021年1月

また四半期が過ぎたが、(英国では)依然として出張やオフィスでの会合が制限されている。筆者は空き時間を過ごすために、新鮮で面白い新作映画を探すものの結局見つからず、「ジェイソンボーン」シリーズなど自分にとっての定番物を鑑賞することに落ち着いてしまうことが多い。これらの映画が公開されて以降のテクノロジーの進化や、ハリウッド映画が描写するような人々の居場所を追跡する様子がいつの間にか誰にとっても現実となったことを目にするのは興味深い。その他にも面白いと思ったのは、次に何がやってくるか分からず、予想だにしない旅へと導かれることを魅力として強調する点だ。

2021年は大半のアジア諸国の国内総生産(GDP)成長率が堅調に回復し、アジア企業のファンダメンタルズが安定的ないし若干改善することに支えられて、今後数カ月の間はアジアクレジットのスプレッドが徐々に縮小すると予想される。

2020年は大半の人々にとっては忘れてしまいたい年であったであろう。しかし、新型コロナウイルス感染症が経済に与えた打撃が大きかったにもかかわらず、市場のパフォーマンスはかなり好調だった。豊富な流動性をもたらした大規模な金融・財政刺激策がパフォーマンスの最大の原動力であったとはいえ、短期的にはまだ楽観視できる状況かもしれない。金融システムに残る潤沢な流動性によって解き放たれるかもしれない繰り延べ需要を踏まえると、2021年以降はワクチンが普及するにしたがい需要が通常水準を超える可能性があるだろう。

2021年 アジア債券・為替市場見通し:適温の市場環境

2020年は、新型コロナウイルス感染症が引き起こしたパンデミックにより経済が急速に閉鎖され、一時的とはいえ、世界の経済活動が事実上停止するなど、市場にとって驚きに満ちた年であった。その結果、安全と言われる資産までも含め、金融市場のすべての資産クラスが極端なボラティリティを示した年になった。

日本株に強気な理由

2021年の株式市場を、日米それぞれの「コロナ・ショックからの回復」「さらなる上積みの可能性」の観点からみた上で、リスクを確認しよう。

2021年:投資の三大テーマ

2020年のコロナ・ショックは誰にも予想できなかったものの、回復の道筋は多くの市場参加者が昨年 4-6 月に想定していた通り進んだ。経済は新型ウイルスの新規感染者数の増加に左右されず、主要先進国は医療崩壊を避けつつ、行動制限をコントロールしながら生産活動を再開させ、国内消費の支援を続けた。その結果、非接触型関連を中心にモノの消費が回復し、一部の国ではサービス消費の回復もみられるようになった。

エマージングマーケット・クオータリー: リフレの芽

米国は、過去10年間の大部分において悪材料が最も少ない市場とみなされ、新興国を中心として世界の他の国々がそれまでの10年間における不均衡な過熱状態からの調整に苦戦するなか、米国のオーバーウェイトを維持してきた者は報われる結果となってきた。現在、米国はCovid-19(新型コロナウイルス感染症)の感染動向が最も深刻化している一方、各国による協調的な金融緩和によって米国以外の国々は成長に向かうリフレ環境がまさに生まれつつあるかもしれない。

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** 2024年6月末現在。

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