上場パンダ誕生の思い出

上場パンダ誕生の思い出

  • 2018年11月19日

上場パンダ、上場前日の記憶

妻は上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」にハートを奪われている。ついこの間も見に行ったのだが、また、友達と連れ添って見に行くらしい。そんな妻を見ていると、2007年から2008年4月までの「上場インデックスファンド中国A株(パンダ)CSI300(愛称:上場パンダ)(1322)」の立ち上げの日々を思い出す。
2008年4月10日、上場パンダの上場前日の夜、これまでの立ち上げの苦闘で、ふらふらになりながら帰宅する。自宅玄関のドアを開けたら、妻が仁王立ちしていた。「そうか、今日は妻の誕生日だった。」結婚後、初めて妻の誕生日を忘れてしまった。言い訳ではなく、上場パンダの立ち上げに没頭していたためであった。

上場パンダと苦闘の日々

それにしても上場パンダの立ち上げは大変だった。初めて自分自身で組成したETFだったということもあるが、取引規制の厳しい中国本土のA株に投資をするETFだ。どんな規制かというと、中国当局が外国人の投資状況を管理できるように、許可した海外機関投資家のみに一定の中国A株の投資枠を与えるものだ。日興アセットはいち早くこの投資枠を得ていたので、これを使ってETFを立ち上げようとしたが、中国と日本の仕組みが複雑に絡み合う。
そこで、中国A株に投資する私募ファンドを立ち上げて、ETFが買い付けるファンド・オブ・ファンズの仕組みを考えたが、なかなか解決できない問題があった。私募ファンドの当初設定時の価格と解約時の価格差で税額を計算するファンド税制だ。その適正な対処方法を考えあぐねているなかで、野村アセットマネジメントが「上海株式指数・上証50連動型上場投資信託(1309)」を設定した。ETFが指数に連動する仕組債を買い付ける仕組み*だ。この仕組みであれば容易にETFを立ち上げられるが、当社が保有するせっかくの中国A株の投資枠が使えないし、何よりも仕組債の発行体の信用リスクまで投資家に取ってもらうことが躊躇われた。

*設定時の仕組みであり、現在の仕組みとは異なります。

掃除中にひらめいた解決のためのアイデア

解決策が思いつかない日々が続いたある休日、家の掃除をしていた。2枚重ねのカーペットに掃除機をかけたとき、カーペットが1枚2枚とめくれた。その時、ビビッと来た。「そうだ。私募ファンドを運用用と投資家返却用に分けて、上場パンダの解約時にその見合いの運用用私募ファンドを解約し、投資家返却用私募ファンドを設定して投資家に返却すれば適正なファンド税制の扱いができるではないか。」と思いついた。

上場パンダ、上場日の記憶

2008年4月11日、上場パンダの上場日。取引開始前から多くの買い注文が集まった。投資家に関心を持ってもらえたことは至上の喜びだった。
そういえば、この日は金曜日だった。娘が生まれた日も金曜日で、よく晴れた良い天気だったが、この日も晴れだった。上場セレモニーには中国大使館の方も来賓された。金融庁、東京証券取引所、投資信託協会、ライバルのETF発行会社、指定参加者など、当ETFの立ち上げで関わった人たちの顔が思い浮かばれる。こんなに充実した仕事ができるなんて本当に自分は幸せだと思った。この日からETFにハートを奪われた。

よし。これからもETFを組成して行こう。

1322 - 上場インデックスファンド中国A株(パンダ)CSI300(愛称:上場パンダ)
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