ETF組成10年、無期限とくらぶれば、夢幻の如くなり
- 2020年1月31日
織田信長が好んだといわれる「敦盛」(語りを伴う曲舞)とETF
今年のNHKの大河ドラマの主人公は明智光秀ですが、その敵、織田信長が好んだといわれる「敦盛(あつもり)」(語りを伴う曲舞(くせまい))に次の一節があります。
人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり
大昔の大河ドラマで、織田信長が、本能寺での業火の中、この曲舞を舞うシーンの記憶があります。この一節は「人の世の50年の歳月は下天の一日(天界での一昼夜は人間界の800年に相当)にしかあたらない、夢幻のようなものだ」という意味なのだそうです(ウィキペディアより)が、ずっと「人の一生は五十年に過ぎないので、はかない」という意味だと思っていました。
さて、ETFを含む投資信託の中には、当初定めた信託期間の前に運用を終了する「繰上償還」が行われる商品があります。 様々な事情があるものの、繰上償還と聞くと、ふと、この「敦盛」が頭に浮かぶのです。そんな中で、上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)(愛称:上場MSCIコクサイ株、銘柄コード:1680)と上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)(愛称:上場MSCIエマージング株、銘柄コード:1681)が、2020年1月末から2月末にかけて上場10周年を迎えます。もう10年経ったのか、というのが率直な印象です。
ちなみに、東京証券取引所のETF上場基準では、ETFの信託期間は無期限でないといけないことになっています。株式との平仄で無期限になっているということを東京証券取引所の方に聞いた記憶がありますが、ETFは永続的な運用商品として考えられているのだと思います。その無期限と比べれば、10年という年月は短く、夢幻の如くに感じられなくもないですが、この10年の間に、運用のスキームを米国税制の関係から先物運用する方式で立ち上げて、米国税制の扱いが変わったこととつみたてNISAで使っていただくために現物株投資のスキームに変える大手術を行うという経緯を経ました。現物株投資に運用手法を変更したことで、連動対象指数とETFのパフォーマンスが連動しやすくなりました。
これからも制度が変わっていく中で、投資家の皆さまにとって使いやすいように手直しをしていかないといけません。また、この10年というのは長期投資という観点で振り返ってみるのにはちょうどいい期間ではないかと思って確認してみました。
両ETFの10年間の投資成果はいかに
次のグラフは、上場MSCIコクサイ株の上場日(2010年1月29日)と上場MSCIエマージング株の上場日(2010年2月24日)をそれぞれ1,000として基準価額を指数化したものの推移です。上場MSCIコクサイ株は、上場日に1,000だったのが2,795、分配金を加えると3,083(課税前)と3.08倍になりました。また、上場MSCIエマージング株は上場日に1,000だったのが1,457、分配金を加えると1,464(課税前)と1.46倍になりました。
※上場MSCIコクサイ株は、2010年1月29日を1,000として、上場MSCIエマージング株は、2010年2月24日を1,000として、公表値をもとに、日興アセットマネジメントが指数化しています。
※基準価額は信託報酬控除後であり、分配金を含みません。
※当該実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
このような投資成果は、必ずしも次の10年も獲得できるという保証はないのですが、そもそも株式投資の意味合いは株式会社が元手をベースに拡大再生産して価値を増やしてくれるということを前提にしています。上場MSCIコクサイ株と上場MSCIエマージング株を保有する意味合いは、世界各国の株式会社にリスク分散して成果を獲得することになります。そのような投資ツールとして、次の10年もご愛顧をいただければと思います。
1680 - 上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI) (愛称:上場MSCIコクサイ株)
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1681 - 上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)(愛称:上場MSCIエマージング株)
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筆者
今井 幸英(いまい こうえい)
1985年4月株式会社日本興業銀行入社。みずほフィナンシャルグループ(みずほ総合研究所、興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現アセットマネジメントOne))を経て、2006年12月日興アセットマネジメントに入社、2008年8月よりETFセンター長。2018年11月よりETF事業共同グローバルヘッド、ETF事業本部長、ETFビジネス開発部長を兼務。長い運用商品開発の経験を活かし、ETFの開発、ETFビジネスの推進活動を行っている。