神山解説

  • 2020年2月27日

vol.1 アメリカの会社に投資するということ



日本と比べてアメリカ経済って?

アメリカは世界経済の中心であり、世界中の投資家からの注目が続いている。 注目される重要なポイントは、アメリカが世界最大の消費国であるということだ。アメリカの雇用が増え、賃金が上がり、消費が安定すれば、アメリカの輸入が世界の輸出となって世界経済を大きくしていく。このメカニズムが19世紀頃から長く続いており、世界は常にアメリカの経済の先行きや政策動向に注目するようになっている。日本やドイツは輸出が重要であるから、アメリカの消費を気にすることになる。
アメリカとそれ以外の国との重要な違いは、世界経済の「原因」を作るのがアメリカで、日本や他の先進国すらその「結果」としての経済成長となる傾向にある点だ。

そのような状況下で、2020年にはアメリカ大統領選がある。しかし、大統領が、アメリカの雇用・賃金・消費の成長などに大きな影響を与えるとは言いにくい。例えば、現在の大統領が、トランプ大統領ではなくクリントン氏になっていたとしても、成長率はあまり変わらなかったと考える。経済の成果を企業に分配するか、消費者に分配するかは政策で変えられるが、生産そのものはあまり政治の影響を受けないからである。2020年11月の大統領選を背景に、米中貿易問題が再燃したりする恐れはあるが、アメリカ経済自体が健全さを損なう可能性は低いと見ている。

大統領選イメージ


 

アメリカの会社の2つの大きな特徴とは?

1つ目のアメリカの企業の特長は、株主還元が適切であることだ。
株主至上主義などとは関係なく、そもそも企業の目的が、利益を上げて株主を通じて社会に分配するものだということを、企業も株主もよく知っている。平成の約30年間に、アメリカ株の代表的な株価指数であるダウ平均*1は約11倍になった。ただし、この期間にアメリカの経済が10倍に成長をしたわけではない。自社株買いなど高い利益の水準(成長率ではなく)からの分配が大きいことからリターンが高くなったのだ。日本と比べて、アメリカの企業はほとんどの時期で『平均ROE水準が高い』ことで、株主のリターンが高い状態を期待できる。

2つ目に、他国と産業構造が異なる点だ。
GAFA*2などインターネット関連の成長株が経済をリードし、サーバーや通信などに投資をしてきた。日本で時価総額の大きい企業というと、機械、自動車、銀行などだから、アメリカとは産業構造が違うことは知っておいてよい。ダウ平均は製造業が多く、S&P500はネット企業などが多いといった特徴はあるが、総じてアメリカの企業は、大国にあり、先進技術を持ち、人口も増えていく強い国の企業群と考えられる。

アメリカビル群


*1 ダウ・ジョーンズ工業株価平均を指す。
*2 米主要IT企業Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字の総称。

これからのアメリカ株式投資についての神山流解説

まず長期投資の観点から、アメリカ経済を見る場合の注目指標は、雇用者数・賃金・小売売上高の成長率だ。それぞれが異なる動きをすることがあるものの、長期的には雇用が増え、賃金を上げなければ人を雇えない状態となり、結果として消費が増えて企業の売上が増える。

一方で、株式市場を見通すための注目すべき指標は、ROE(自己資本利益率)だろう。単に賃金が上がるだけでは利益率(マージン)が低下するが、長期的には売上が増えて生産性の高い企業が勝ち組となり生き残る。ROEは高い水準で安定していればよい。高い利益率の企業は、さらに成長機会に投資することで成長することが期待されている。

日本人がアメリカ株式市場に投資する場合、米ドルと日本円の為替レートの変動がパフォーマンスに影響を与えることになる。そこで、「為替ヘッジあり」の投資商品を選択するメリットは、企業活動の動向だけに注目し、為替動向(日米の物価、金利、金融政策など)にあまり意識を向けなくてよいことだろう。つまり、為替ヘッジありの投資商品を選ぶことで為替変動が抑えられることとなる。一般にアメリカ経済が強い場合、ドル高と株高が両立するので為替ヘッジは不要となるのだが、そうでない時期に市場を見ても、いら立たないようにする効果がある。

▶【ETF用語集】為替ヘッジ

また、アメリカの特定企業の銘柄を買うことも可能だが、ダウ平均やS&P500指数などの指数連動対象のETFなどで分散投資を行うほうが、個別の株価に変動を与える事情(経営の巧拙から外部環境の影響まで)を考慮することが減るため、日本に住む個人投資家に向いているだろう。

アメリカの株式に投資ができるETF



【ダウ平均に連動する運用をめざすETF】

2562 - 上場インデックスファンド米国株式(ダウ平均)為替ヘッジあり (愛称:上場ダウ平均米国株(為替ヘッジあり)) ※2020年3月18日上場予定
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【S&P500指数に連動する運用をめざすETF】

1547 - 上場インデックスファンド米国株式(S&P500)(愛称:上場S&P500米国株)
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2521 - 上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり(愛称:上場S&P500米国株(為替ヘッジあり))
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神山直樹

<解説者>
神山直樹(かみやま なおき)

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト
2015年1月に日興アセットマネジメントに入社、現職に就任。1985年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)にてそのキャリアをスタート。日興ヨーロッパ、日興国際投資顧問株式会社を経て、1999年に日興アセットマネジメントの運用技術開発部長および投資戦略部長に就任。その後、大手証券会社および投資銀行において、チーフ・ストラテジストなどとして主に日本株式の調査分析業務に従事。

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