神山解説

  • 2020年10月20日

vol.9 米国大統領選による株価の行方



個人投資家は、米国大統領選の何に注目したらいいのか

11月3日の米国の大統領選について「何を気にしたらよいか」とよく聞かれますが、答えはあまり気にすることはありません。特に長期投資に大きな影響を与えることは考えにくいです。2016年にトランプ氏が大統領に決まったときにも、経済悪化を心配する声がありましたが、結果として、中国への関税引き上げも景気に配慮した程度となりました。

大統領が誰であれ、アメリカを中心とした世界経済を悪化させる意図は持たないと思われます。今回の大統領選を考えると、数か月前まで、バイデン氏であれば企業増税を行うので株式市場に悪いとの声が強かったのですが、いまでは共和党政権よりも財政出動が大型であることが期待されており、株式市場に良いとの声も強まっているほどです。

短期的にはこのように両候補への評価の揺れや、郵便投票による一時的な混乱が恐れられていますが、長期的な経済全体への影響は限定的と考えられます。長期投資家は大統領選の前後に揺れ動くセンチメントにとらわれず、人々の努力と工夫で成長していく経済への信頼をもとに行動することが良いと思います。

*新型コロナウイルス感染拡大を受けて、郵便投票の増加が予想されており、結果判明には時間を要する可能性による混乱

大統領選の投票箱

 

米国の政権と議会の対立は米国株の停滞をもたらすのか

今回の選挙では、大統領がどちらになるにせよ、下院多数派が民主党、上院多数派が共和党といったいわゆる「ねじれ」が続く可能性があります。トランプ大統領がそうであるように、政権の考えはすべてが通るわけではなく、いまでもコロナ・ショック後の経済低迷への対応策について、民主党との議論が必要です。

つまり、ねじれ議会は政策が通りにくくなりますから、どちらかの圧倒的勝利のほうが株式市場に好材料となるケースが多いです。これまでの世論調査では、民主党のバイデン氏が有利とされていますが、仮に財政出動が大きいと期待されるとすれば、上院が共和党多数派となるよりも、大統領、上院、下院も民主党が勝つほうが一時的に市場に好影響を与えるかもしれません。一方で、トランプ政権の継続であれば、市場は「知っている」ことを好むので、大過なく通り過ぎるかもしれません。

政権と議会がねじれにより対立したとしても、コロナ・ショックからの回復という共通課題への議会と政権の取り組み方が大きく違うとは思えませんので、経済ひいては株式市場の停滞につながるとは見ていません。政策決定が遅れたり政府支出が遅れたりすることがあっても、例えば次期大統領就任式までの3か月程度で解決するでしょう。

ワシントンハウスの風景

大統領選のマーケットへの影響 ~神山解説

今回の大統領選は、短期的には郵送投票の開票の遅れなどの混乱が予想されますが、長期投資の観点からは大きな問題ではなく、一時的な心理のブレが起こる程度だと思います。どちらが大統領になっても長期的な経済成長に大差はないでしょう。

大統領によって異なるのは、セクターや銘柄のリターン格差です。例えば、トランプ大統領となれば、石油産業に有利、バイデン大統領となれば、太陽光発電などに関わる産業が有利などといえます。セクターごとの投資をしている場合、このような詳細に心を配ってもよいですが、個人投資家の長期投資では、できるだけ幅広い投資対象を含むETFなどを保有することが望まれるので、大統領選の結果で投資行動を変えることはなさそうですね。

アメリカの株式に投資ができるETF



【S&P500指数に連動する運用をめざすETF】

1547 - 上場インデックスファンド米国株式(S&P500)(愛称:上場S&P500米国株)
商品トップページ
留意事項
商品概要


2521 - 上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり(愛称:上場S&P500米国株(為替ヘッジあり))
商品トップページ
留意事項
商品概要


【NASDAQ100に連動する運用をめざすETF】

2568 - 上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)為替ヘッジなし (愛称:上場NASDAQ100米国株(為替ヘッジなし))
商品トップページ
留意事項
商品概要


2569 - 上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)為替ヘッジあり (愛称:上場NASDAQ100米国株(為替ヘッジあり))
商品トップページ
留意事項
商品概要


【ダウ平均に連動する運用をめざすETF】

2562 - 上場インデックスファンド米国株式(ダウ平均)為替ヘッジあり (愛称:上場ダウ平均米国株(為替ヘッジあり))
商品トップページ
留意事項
商品概要

神山直樹

<解説者>
神山直樹(かみやま なおき)

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト
2015年1月に日興アセットマネジメントに入社、現職に就任。1985年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)にてそのキャリアをスタート。日興ヨーロッパ、日興国際投資顧問株式会社を経て、1999年に日興アセットマネジメントの運用技術開発部長および投資戦略部長に就任。その後、大手証券会社および投資銀行において、チーフ・ストラテジストなどとして主に日本株式の調査分析業務に従事。

【最新のマーケット解説はこちら】
KAMIYAMA Seconds!90秒でマーケットニュースをズバリ解説

●個別銘柄に言及していますが、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。また、当社ファンドにおける保有・非保有および将来の銘柄の組入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。
●掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。また記載内容の正確性を保証するものでもありません。
●当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。
●当資料は、投資者の皆様に「上場インデックスファンド」へのご理解を高めていただくことを目的として、日興アセットマネジメントが作成した販売用資料です。
●投資信託は、投資元金が保証されているものではなく、値動きのある資産(外貨建資産は為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、市場取引価格または基準価額は変動します。したがって、投資元金を割り込むことがあります。投資信託の運用による損益はすべて投資者(受益者)の皆様に帰属します。なお、投資信託は預貯金とは異なります。
●投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。金融商品取引所に上場され公に取引されますが、市場価格は、基準価額と変動要因が異なるため、値動きが一致しない場合があります。
●リスク情報や手数料等の概要は、一般的な投資信託を想定しており、投資信託毎に異なります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)などをご覧ください。