- 2021年1月28日
vol.12 世界中で低金利だが、債券投資に魅力はあるのか
債券投資の目的は、元本の保全である
債券投資に魅力があるのか、という質問の裏には、債券でも「儲かるのか」という意味が隠されていますね。しかし、債券投資の本質は元本の保全だと思います。債券はもともと約束された金利と決まった時点での償還金の受け取りへの投資ですから、約束を上回るリターンは原則としてはありません。もともとそうだ、ということを前提に、クレジットのリスク(金利支払いできない、返済できないかもしれないという信用リスク)を取ることで、法律で保護されている円預貯金(一般預貯金の元本1,000万円とその利息等)を超える利回りが「期待」できます。しかし、株式やリートのように利益が出るほど分配される仕組みではありませんので、リターンの「期待」は通常債券のほうが小さいです。
金利が低いのでこれ以上低下するわけではないから債券の価格が上がらないとか、利回りが低いから保有しなくてもよい、というのは、高リスクでも高リターンを狙うときに言ってもいいですが、元本を保全したいという投資においては大事ではないと思います。外国債券への投資の場合、為替と金利差のリターンとリスクも考慮する必要がありますが、それでも債券投資の本来の目的は、成長ではなく保全にあると思います。
インデックスなら償還を気にしないでいいのがメリット
債券投資は個々人ではなかなか難しいです。売買の1単位が通常大きいですし、株式の取引所のような取引の透明性が高い仕組みがないか、あっても流動性が低かったりして価格などがわかりにくくなります。債券投資に詳しければ、いつごろ償還される国債が割安か、クーポンの高いものと低いもののどちらがいいかなどを考えてたくさんの債券から選ぶことができますが、専門知識が必要です。
それに対して、主要国の国債を中心としたインデックスにETFや投信で投資すれば、その国の主要な債券(償還年限やクーポンなど)にまとめてバランスよく投資できます。さらに重要な点は、償還が来るたびに債券を買いなおす必要がないことです。債券投資は、償還されたら次はどの債券に投資するか常に考えねばならないのですが、債券のインデックス投資では、ある債券が償還されても指数そのものが新しい債券を含むように更新されるので、運用機関が債券を買いなおすなどしてETFや投信を運用しています。満期を気にせず投資を続ければよいので長期保有でも安心です。
債券投資の目的と分散投資 ~神山解説
主要国の国債への投資については、まず大枠で元本保全(保証はされませんが)を目的とすると明確にしましょう。使う時期や金額が明確な資金の運用に適切です。日本国債はすでにマイナス金利の領域にあることが多いのですが、もしデフレとなればマイナス利回りでも元本の価値の保全はできたことになります(ただし、一定金額は預貯金でも国の保証があるので、無理に日本国債を買うことはないでしょう)。
インデックス投資であれば、いまは利回りが低くても長い目で見れば正常化するかもしれません。正常化のタイミングを自分で判断できるのであれば個別の債券を選んで投資をしても良いのですが、ふつうは難しいので債券のインデックス投資が一案です。金利が上昇すると一時的にETFや投信の基準価額が低下することがありますが、将来的にそれらが保有する債券のクーポンが上がって価値が戻る可能性が高まります。
外国国債については、為替リスクと金利差を比較することになります。長期的な分析で、クレジットリスクの低い先進国国債の利回りが日本より十分高い場合、円高が多少あっても金利差でカバーできる傾向にあるとされています。ですから、単なる元本保全に少しリスクを加えて高いリターンを狙うことは奇妙ではありません。グローバルな外国債券に幅広く投資することで、リスクを抑える割に期待リターンを高くしておく投資ができると思います。
外国債券に投資ができるETF
【アメリカの国債に分散投資ができるETF】
1486 - 上場インデックスファンド米国債券(為替ヘッジなし)(愛称:上場米債(為替ヘッジなし))
商品トップページ
留意事項
商品概要
1487- 上場インデックスファンド米国債券(為替ヘッジあり)(愛称:上場米債(為替ヘッジあり))
商品トップページ
留意事項
商品概要
【アメリカなどの先進国を中心とした国債に分散投資ができるETF】
1677 - 上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)毎月分配型 (愛称:上場外債)
商品トップページ
留意事項
商品概要
<解説者>
神山直樹(かみやま なおき)
日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト
2015年1月に日興アセットマネジメントに入社、現職に就任。1985年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)にてそのキャリアをスタート。日興ヨーロッパ、日興国際投資顧問株式会社を経て、1999年に日興アセットマネジメントの運用技術開発部長および投資戦略部長に就任。その後、大手証券会社および投資銀行において、チーフ・ストラテジストなどとして主に日本株式の調査分析業務に従事。
【最新のマーケット解説はこちら】
KAMIYAMA Seconds!90秒でマーケットニュースをズバリ解説
note 神山直樹
●掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。また記載内容の正確性を保証するものでもありません。
●当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。
●当資料は、投資者の皆様に「上場インデックスファンド」へのご理解を高めていただくことを目的として、日興アセットマネジメントが作成した販売用資料です。
●投資信託は、投資元金が保証されているものではなく、値動きのある資産(外貨建資産は為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、市場取引価格または基準価額は変動します。したがって、投資元金を割り込むことがあります。投資信託の運用による損益はすべて投資者(受益者)の皆様に帰属します。なお、投資信託は預貯金とは異なります。
●投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。金融商品取引所に上場され公に取引されますが、市場価格は、基準価額と変動要因が異なるため、値動きが一致しない場合があります。
●リスク情報や手数料等の概要は、一般的な投資信託を想定しており、投資信託毎に異なります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)などをご覧ください。