神山解説

  • 2022年4月28日

vol.27 NASDAQ100(ナスダック100)は、今後どうなっていくのか



歴史的局面で世界の成長をリードしているアメリカ

脱炭素は欧州が政策面ではリードしてきましたが、世界のEV(電気自動車)市場をリードしているのはアメリカの大手EV企業です。また、コロナ禍の行動制限が世界中で突然始まったとき、ビジネス機会が増えたSNS大手やオンライン会議システムなどのネット企業にアメリカ企業が多かったのも事実です。

これら一部を見るだけでもアメリカ企業が、さまざまな経済の転換点とも言える歴史的局面で世界の成長に関わり、リードしていることがわかります。

2000年初頭のITバブル崩壊の傷は大きかったものの、2008年のリーマンショック前後ではNASDAQ指数を構成する企業の産業構造がEV企業を含むなど機敏に変わってきました。投資家はこのようなアメリカのダイナミズムを新興企業を多く含むNASDAQ100指数への投資で手に入れていくことになるのです。

デジタルトランスフォーメーション NASDAQ

 

利上げとNASDAQ100

アメリカがリードする世界の成長に投資をするという観点から見れば、アメリカの成長を生み出す力、努力と工夫は強い「トレンド」とみなして良いでしょう。 目先の金利の上下動は典型的にサイクルであり、長期的にはアメリカの新興企業の成長に大きな影響は与えないでしょう。違う言い方をすると、そもそも金利上昇はインフレ期待に連動するものです。

Vol.0 KAMIYAMA Seconds!『トレンドとサイクルとは』


インフレになれば、価格支配力がある企業ほどより強くなるでしょう。現状のアメリカの成長企業の多くは、インフレに応じて価格を上げることができる強い企業と言えます。
金利が上がればグロース株が下がるという「理論」は間違いで、多くの場合金利が上がるのと同じ程度に利益成長率も上昇するはずです。金利上昇はインフレ期待を含んでおり、事業が強い価格支配力を持つ企業はそれ以上の価格を提示できるはずです。一方で、インフレで顧客を失う企業やコストコントロールを間違う企業がパフォーマンスを下げることになります。その意味で、指数に含まれる個別企業の経営方針や経営者の個性がリスクとなることには注意を払うことが望ましいでしょう。

不透明な相場環境での投資との向き合い方 ~神山解説

世界情勢は概ねいつも「不透明」ではありますが、大きな紛争が起こるとセンチメント(気分)は悪くなりやすいと言えます。しかし、このような「イベント」は一時的な影響しか持たないと想定できます。


例えば、ロシアのウクライナ侵攻は、外交・軍事・人権的には重大な意味を持ち続けるでしょうが、経済的に見るとロシアからのエネルギー輸入が減少したり、ロシアでハンバーガーが売れなくなったりする「1回限り」のショックとなると見ています。過去と全く同じ状況には戻れないのですが、さらに追加的な影響があるとは予想しにくいです。


経済・貿易の面から見れば、「ロシアのいた世界」から「ロシアのいない世界」への一度のショックが起こり、それはおおむね市場に織り込まれたとみて良いでしょう。もちろん想定外の事態がありえないとは言えないので、投資家は「どんなことが起これば、アメリカの消費者が力を失い、成長企業の成長期待がしぼんでしまうのか」を考えていけば良いのです。現状の欧州の紛争が、石油もレアメタルや液化天然ガスなども産出できるアメリカにおいて、消費を壊す働きをするとは想定しにくいです。不透明な世界情勢でも、アメリカ企業の成長力・努力と工夫・底力を見る目を曇らせないようにしましょう。


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NASDAQ100指数に投資ができるETF

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神山直樹

<解説者>
神山直樹(かみやま なおき)

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト
2015年1月に日興アセットマネジメントに入社、現職に就任。1985年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)にてそのキャリアをスタート。日興ヨーロッパ、日興国際投資顧問株式会社を経て、1999年に日興アセットマネジメントの運用技術開発部長および投資戦略部長に就任。その後、大手証券会社および投資銀行において、チーフ・ストラテジストなどとして主に日本株式の調査分析業務に従事。

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