神山解説

  • 2022年6月21日

vol.29 金利上がる?長期の円安?日本株はどうなるのか



欧米の金利上昇、でも日本は横ばい、円安は続くか

現状では、欧米は政策金利を引き上げるほどインフレが明確になっています。特に米国はFRBが利上げをためらって出遅れたため、6月に0.75%といつになく大きめの政策金利引き上げを行いました。3%近い水準までは急いで利上げしそうです。その後はFRBも様子を見るでしょう。

欧州はエネルギーや食料の面でロシアのウクライナ侵攻の影響を受けやすく、大幅なインフレになる前に消費が悪化する恐れがありますので、金利上昇が長く続くとは見ていません。

ところで日本はインフレの傾向が弱いので、金利上昇はそれほど起きそうにありません。店頭に並ぶ食料品やガソリンは値上がりしていますが、その分消費者が洋服を買うなどの消費行動を我慢するので、全体としてはインフレにならないのです。アメリカはトランプ前政権が多くの一時金を支給するなどしたので、消費が強いのです。

金利上昇

 

ウィズコロナ環境での日本経済の注目点

アメリカの消費が強いので、日本の輸出は、円安とは関係なく伸びています。円安は輸出した額を膨らます要因ですので、日本の輸出関連・製造業の利益は好調と見ています。

企業はコスト高を懸念して遠慮がちな利益予想を続けるでしょうから、市場が利益環境に自信を持つのは9月の中間決算以降と見ています。円安で苦しい輸入・エネルギー関連業種もありますが、全体として、円安は上場企業を見る限りポジティブです。

国内産業は、①輸出関連の投資・雇用・賃金の上昇、②コロナ禍からの回復・経済再開、③県民割など政府支出の追加、など需要の回復で「正常化」すると見ています。

輸出

輸出が伸び、コロナ禍からも回復する日本に期待 ~神山解説

日本株は、コロナ禍からの回復について欧米株式市場より出遅れてきました。米国株価の動きは、インターネット関連企業などの影響が大きいため、米国経済全体の動きを見えにくくしています。米国消費はすでに好調で、そのことが日本の輸出の伸びの背景にあります。日本の消費も正常化に向かうと予想します。

米国のインフレ率、金利上昇はそれほど遠くないうちにピークを超える(変化率は低下する)でしょうから、ドル円の為替レートはどちらかというと円高方向に回帰、日本は回復・正常化のなかで緩やかな金利と株価上昇を見込みます。

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代表的な日本株に投資ができるETF

1330 - 上場インデックスファンド225

1578 - 上場インデックスファンド日経225(ミニ)

1308 - 上場インデックスファンドTOPIX

神山直樹

<解説者>
神山直樹(かみやま なおき)

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト
2015年1月に日興アセットマネジメントに入社、現職に就任。1985年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)にてそのキャリアをスタート。日興ヨーロッパ、日興国際投資顧問株式会社を経て、1999年に日興アセットマネジメントの運用技術開発部長および投資戦略部長に就任。その後、大手証券会社および投資銀行において、チーフ・ストラテジストなどとして主に日本株式の調査分析業務に従事。

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