神山解説

  • 2022年8月29日

vol.31 よく聞く高配当株投資と資産形成



どういう株式だと高配当株なの?

一株当たり配当÷株価=配当利回り、という指標があります。この配当利回りが高いほど高配当とされます。つまり配当額ではなく、株式を買った人が受け取る利回りという考え方です。高配当の定義は、配当利回りが高い順に並べて上位何位、何パーセントなどと考えることが一般的なようです。高配当をテーマにした投資信託や上場投資信託(ETF)では、いろいろな商品が出ているようです。

ところで、配当利回りの『配当』ですが、すでに企業の決算で示された実績配当で見る場合と、今年度、来年度などの予想や予想の平均で見る場合がありますので、「高配当ランキング」のどれもが同じ基準ではありません。

また、高配当株の投資信託やETF(以下、高配当株ファンド)でも、セクターに偏りがないように配慮したりすることもある(このほうがいいと思います)ので、銘柄が同じでもありません。金融商品ごとに細かい違いがあることを知っておきましょう。

EU

 

どんな人が投資するといいの?

日本での高配当株ファンドは、分配の頻度が高い(例えば毎月分配、年4回分配など)ことが多いです。この場合、引退世代が、分配金を再投資せず受け取って消費に回しつつ、残った資産の値上がりや配当増を期待する趣旨で投資するのが一案でしょう。

まだ資産を取り崩さない現役世代であれば、受け取った分配金を投資に回すとコストがかかるので、配当から出た分配金を自動的に再投資してくれる投資商品を選ぶのが適切な場合もあると考えています。投資の目的に合わせていくといいでしょう。
一般的に、配当利回りが高い株式は、成長産業よりも成熟産業に多く、投資先の企業も積極的に設備投資をするよりも、利益を分配することで高いリターンを投資家にもたらすことが多いです。つまり値上がり期待は成長株投資よりも小さいが、価格のブレも小さい傾向があります。

高配当株には投資したほうがいいのか ~神山解説

高配当株投資は、特に資産の取り崩し世代では投資対象に入れることを検討しましょう。

配当利回りは債券の利回りと似ているものの、債券の利金と異なり株式の配当はいくら払うかの約束をしていませんから、その会社の利益次第となるのでリスクが高くなります。その分債券投資よりも長期的に期待できるリターンは高くなります。

一方で、高配当株は成長というより成熟・安定の傾向が強い産業に所属することが多い(例えば、銀行、鉄道、電力・ガスなど)ので、景気悪化局面では市場全体と比べて株価リターンの低下が小さいものの、景気回復期には市場全体の上昇に追随できない傾向もあるでしょう。

どのような目的の投資家に高配当株ファンドが良いかは、どのように設計されているのかによります。くれぐれも目先の分配金の支払い金額の大きさではなく、自分の投資の目的と商品設計が合っているのか(元本を取り崩すこともある固定金額分配か、株式配当部分を分配する仕組みかなど)をよく理解して投資してください。

この記事に関連する日興アセットのETF

日本株の高配当をテーマに投資ができるETF ※上場日順

1698 - 上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100)

1399 - 上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ



神山直樹

<解説者>神山直樹(かみやま なおき)

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト
2015年1月に日興アセットマネジメントに入社、現職に就任。1985年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)にてそのキャリアをスタート。日興ヨーロッパ、日興国際投資顧問株式会社を経て、1999年に日興アセットマネジメントの運用技術開発部長および投資戦略部長に就任。その後、大手証券会社および投資銀行において、チーフ・ストラテジストなどとして主に日本株式の調査分析業務に従事。

【最新のマーケット解説はこちら】
KAMIYAMA Seconds!90秒でマーケットニュースをズバリ解説

●掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。また記載内容の正確性を保証するものでもありません。
●当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。
●当資料は、投資者の皆様に「上場インデックスファンド」へのご理解を高めていただくことを目的として、日興アセットマネジメントが作成した販売用資料です。
●投資信託は、投資元金が保証されているものではなく、値動きのある資産(外貨建資産は為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、市場取引価格または基準価額は変動します。したがって、投資元金を割り込むことがあります。投資信託の運用による損益はすべて投資者(受益者)の皆様に帰属します。なお、投資信託は預貯金とは異なります。
●投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。金融商品取引所に上場され公に取引されますが、市場価格は、基準価額と変動要因が異なるため、値動きが一致しない場合があります。
●リスク情報や手数料等の概要は、一般的な投資信託を想定しており、投資信託毎に異なります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)などをご覧ください。