2018年の最終数週間を締めくくり来年に待ち受ける課題を見据えるにあたって、投資家にとって困難で苛立たしい年であったこの1年を振り返らずにはいられない。
10月のグローバル株式市場は調整局面を迎え、米ドル・ベースのリターンが-7.5%となった。米国株式は月間高値から月間安値までの下落率が10%を超えたが、最終的な月次リターンは-6.5%と、それでも中国(-11%)や日本(-9%)、新興国(-8.7%)、イタリア(-8%)を何とか上回るパフォーマンスを示し、今年一貫して見られてきた米国優位の状況が続いた。
米中間の貿易戦争はより深くかつ長期化する対立へと姿を変えつつある様子で、これはマイク・ペンス米副大統領が最近、貿易慣行ばかりでなく、より根本的に政治・経済モデル全体についても中国を批判したことに表れている。
米国とカナダとの間で貿易交渉がついに妥結され、これにメキシコとの協定を合わせて「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」と改称されることとなったが、従来のNAFTA(北米自由貿易協定)に多少の微調整を加えたものと表現するのが適切かもしれない。
米中貿易戦争長期化の可能性をめぐって市場が引き続き悪戦苦闘するなか、中央銀行は金融政策運営という任務を忠実に遂行してきた。
7月の株式市場は、投資家の焦点が貿易戦争から、高い期待をもって待ち望まれていた第2四半期決算発表シーズンの始まりへと移るなか、悲観ムードがひとまず後退した。
トランプ米大統領は、500億米ドル相当の中国製品に対して追加関税を課したが、さらに2000億米ドル規模の追加関税発動が控えているほか、対象がさらに拡大され事実上中国からのすべての輸入品(4500億米ドル相当)に追加関税が課される可能性がある。
金融市場は引き続き、保護主義色が増しグローバル化が後退する世界と折り合いをつけている。
世界的な貿易戦争が再勃発したことにより、米国のトランプ政権の政策をめぐる先行き不透明感がこれまで以上に高まっている。
米ドルは18ヶ月以上にわたって下落基調が続いてきたが、このところは強いドルが復活しており、年初来5%の下落分をものの数週間のうちに取り戻している。
2018年第1四半期の市場は急激な変化に見舞われた。1月は、ボラティリティが極めて低いなかで相場が高騰を続ける「メルトアップ」局面にあったが、2月の初めにはボラティリティが急上昇し、それ以降市場では神経質な展開が続いた。
本当であれば米現政権の試行錯誤よりも市場のファンダメンタルズについて議論したいところだが、2018年第1四半期は前者への言及をほぼ避けては通れない状況となった。
市場では、以前よりもボラティリティが高い状況が続いている。ボラティリティ再上昇の引き金となった要因は一見、インフレ懸念の高まりや、前月の初めに見られた高レバレッジのボラティリティ・ショートポジションの巻き戻しであった。
当社の2018年の市場展望において、先進諸国の中央銀行が大規模な緩和策を徐々に解除するにつれ、ボラティリティが高まるとの見解を示したが、ボラティリティが過去数週間ほどの猛烈な急上昇を見せると想像していた者はほとんどいなかっただろう。
過去数年間、当社マルチアセット・チームが懸念してきた主要リスクの1つは、資産クラス全般が正相関を示すようになる可能性であった。