「近頃の人はあらゆるものの価格を知っているが、何の価値も知らない」、というオスカー・ワイルドの名言がある。
進歩の代償ということについて言えば、彼の言葉はそれほど事実から離れていない。産業革命以降、確かに人類は相当な進歩を遂げてきた。しかし、これによって犠牲となってきたのが環境である。工業化による経済発展や富の創造は、エネルギー消費量の急増や、それに伴う温室効果ガス排出量の増加をもたらした。こうした温室効果ガス(炭素)の排出は、世界の気温が着実に上昇する一因となってきた。
最初に、「テーパリング(tapering)」の意味がしばしば誤解されているので明確にする。テーパリングとは、「先細り」を意味する taper から派生した言葉であり、量的緩和そのものが終わるのではなく、スピードダウンすることだ。米国の例を見ると、2014年年初から資産購入ペースのスピードダウンを半年ほど続けた後、2015年に入ってから購入額の水準を維持した。2015年12月に利上げを開始したが、保有資産の規模は縮小せず、緩和縮小は大変ゆっくりと進められた。
アジアの小型株は、大型株を長期的にアウトパフォームしてきた実績があるとともに伝統的株式ポートフォリオに優れた分散効果をもたらすことから、長期スタンスの投資家にとって多くの投資メリットがあると考える。
4月の米国債利回りは安定化した。米国の国内経済指標が景気加速を確認する内容となりインフレ指標も市場予想を上回ったにもかかわらず、債券利回りは低下基調に転じた。米FOMC(連邦公開市場委員会)の声明では、金融政策の方向性に関する新たな変更は発表されなかったが、経済見通しについてはより明るいトーンが示された。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.001%低下の0.161%、10年物で同0.115%低下の1.628%となった。
当月のアジア株式市場(日本を除く)は、中国その他複数の域内諸国で2021年第1四半期のGDP成長率が市場予想を上回ったことなどを受けて同地域の景気回復をめぐり楽観ムードが広がるなか、まずまずの上昇を見せ月間リターンが米ドル・ベースで2.5%となった。
米国債市場は、今年の各市場にとってリフレ・トレードの重要なバロメーターとなっている。大半の資産クラスは米国債利回りの動きに沿ったパフォーマンスを見せてきており、プラスであれマイナスであれ強い相関性が続いている。第1四半期の最後に1.74%でピークをつけた米国債10年物の利回りが4月は低下に転じ、年初からの激しい下落相場はようやく一息ついている。その波及的影響として、ドルが下落するとともにグロース株が対バリュー株でのパフォーマンスの劣後を一部取り戻した。米国の大手テクノロジー企業の決算内容が好調であったことも、グロース株への資金回帰を促した。
製造業の急回復で銅などのコモディティ価格が上昇し始め、米国経済が正常化すれば労働力不足となり、インフレが起こりやすくなるのでは、といったことが心配されている。さらに、米国でトランプ前政権の緊急対策に加えバイデン政権が追加的に財政を拡大させれば、自粛期間中に溜まっていた飲食などの需要だけでなく世界の総需要も急拡大し、供給が追い付かずにインフレとなる可能性がある(2020/6/25、「コロナ後のインフレを考える」で指摘)。しかし、これらは株価下落をもたらすとは思えない。“経済回復・正常化”→モノの価格・賃金の上昇→インフレ懸念・金利上昇→“経済悪化・株価下落”という因果は、経済回復・正常化⇒経済悪化・株価下落であり、矛盾しているからだ。
パーム油企業への投資は物議を呼ぶか、それとも好機をもたらすか。本稿では、パーム油セクター、そして同セクターが直面している重大なESG問題について詳細に考察する。結論から言うと、当社では、ESG面のポジティブな変化はパーム油企業にとって大きなチャンスとみており、持続可能性に関するゴールに向けて尽力し、自ら掲げたESG目標を上回る成果を挙げている銘柄への投資をめざしている。
以前、「シリコン・サイクルはスーパー・サイクルへ」(2018/3/20、リンクあり)で、シリコン・サイクルはスーパー・サイクルになりそうだ、という考えを示した。ここでは、その後の状況を確認し、当時からみれば“スーパー・サイクル化した”と考えられる要因を報告する。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で大騒ぎとなった2020年を経て、2021年の世界の経済成長はワクチン接種のポジティブな進展と政府による継続的な対策を背景に回復すると予想される。しかし、回復ペースは国によって差が生じるとみられるとともに、新型コロナウイルスの再流行の不安は根強く残っており、ついに危機を脱したなどと言うのは僭越だろう。