はじめての投資Q&A

  • 2019年10月24日

投資初心者はマーケットニュースとどう付き合うべき?

投資初心者

当連載では、これから投資を始めようと考えている資産形成世代のみなさまのお悩みや投資のギモンについて、日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト神山直樹がお答えしていきます。
今回は実践編のお悩みとして、マーケットニュースの本質や注意点についてがテーマです。投資を始めると急にマーケットのニュースが気になるようになってきますよね。日々見たり聞いたりする経済のニュースにどう接したらいいのか、一緒に学んでいきましょう。

『株価が下落』のニュース、気になってしまうときはどうする?

前回の「投資のあとに何かする必要はありますか?」でお話したように、投資したとたんに市場が大きく動いたり、ニュースの中でもネガティブな話ばかりに目がいったりして、後悔したり悩んだりすることがあります。人間心理は、そもそも損失にとても敏感に反応してしまうようにできているとされています。プロの投資家であればそのような心理に打ち勝つように訓練されますが、一般の投資家の方にそのようなことは難しいでしょう。

そんなときのコツは、「何のための投資なのか?」を思い出すこと、つまり目的に立ち返ることです。私たちの投資の目的は「引退後に”潤いのある生活”をすること」でした。そのための投資だと考えれば、こまめにニュースのチェックをして一喜一憂する必要はないはずだということになります。

 

ニュースから情報収集する時に大事なこととは?

よく、「どんな情報源を見ていますか」と聞かれます。その時にお伝えしているのが、マーケットニュースをまず、「データ」と「情報」と「判断」に分けましょう、ということです。「データ」とはGDPが1%成長した、などのことです。例えば昨年のGDP成長率は2%だったが、今年は1%だ、などとデータが意味を持って並べられると、「情報」になります。ここまではだれでもすぐに入手できます。

しかし、難しいのは「判断」です。投資において、判断とは、買う、売る、持っておく、の3つしかありません。多くの人々が、だれでも得られる情報を元に、インターネットなどで判断を提供していますが、これらの判断は玉石混交ですし、過去の判断がよかったからといって、これから先もよいとは限りません。

どうしてもマーケットニュースをチェックしたいときは何に注意したらいい?

いわゆる情報や現状の判断を見る場合に、大事なのは「原因と結果」、「トレンドとサイクル」という分類をすることです。

まず、「原因と結果」についてです。日々世界中のさまざまな政治・経済・マーケットのニュースが流れてきます。このニュースや情報のうち、次に何かを引き起こす原因となるものは大事ですが、たいがいのニュースは結果として起こっただけのことが多いのです。次の何かを引き起こす原因となりそうであれば、大事かもしれません。例えば、雇用が増える(=原因)と、賃金が上がりやすくなり、賃金が上がると金利が上がりやすくなる(=結果)などの因果を知っておきましょう。

もうひとつは、「トレンドとサイクル」についてです。売りや買いを判断するほど重要なトレンドに関わる情報か、単に行ったり来たりするサイクルに関わる情報かを見極めてください。10年など長期にわたる投資の判断が変わるような大問題であれば、トレンドに関わりますが、ほんとうに多くの情報がサイクルの上下動に関わる目先の話です。例えば10年越しのリーマン・ショックからの景気回復はトレンドだと思いますが、金利政策の動向による変動などは多くの場合サイクルに関わるものです。

とは言っても、ご自身で分類するのは難しいかもしれません。トレンドとサイクル、原因と結果などについては、KAMIYAMA Seconds!(動画)でよくテーマとして取り上げています。こちらの動画では、私が90秒間でさまざまなテーマをわかりやすく解説していますので、ぜひご参照ください。


まとめ

情報や判断を「原因と結果」、「トレンドとサイクル」に分類できる習慣を少しずつ身につけてみよう。



【次回】聞いてはいけない?!2つの質問(2019年11月28日掲載予定)



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神山直樹

神山直樹(かみやま なおき)
日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト
2015年1月に日興アセットマネジメントに入社、現職に就任。1985年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)にてそのキャリアをスタート。日興ヨーロッパ、日興国際投資顧問株式会社を経て、1999年に日興アセットマネジメントの運用技術開発部長および投資戦略部長に就任。その後、大手証券会社および投資銀行において、チーフ・ストラテジストなどとして主に日本株式の調査分析業務に従事。

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