日銀は1月24日に翌日物金利を0.25%引き上げた。これは予想通りの結果であり、金融市場は織り込み済みであった。今回の利上げによって無担保コールレートは0.50%と2008年以来の高水準に達した。また、2024年に日銀が金融政策引き締めに転換してから3回目の利上げとなり、合計利上げ幅は世界金融危機以降で最も大きいものとなっている。
12月は大半の資産クラスでパフォーマンスが悪化し、前月好調だった債券と株式はともに下落した。グローバル株式市場は、月中に史上最高値を記録したもののその後調整に転じ、月間市場リターンがMSCI Worldインデックスで-2.3%となった。ブルームバーグ・グローバル総合債券インデックスのリターンも米ドル・ベースで-2.2%となった。
米国の今後の政策、特に貿易相手国に課すかもしれない関税措置については、不透明な部分が多い。次期米政権の厳しい発言の矛先は特に中国に向けられている模様だが、中国は程度の差こそあれ日本など多くの国々の貿易相手国である。関税実施のスピード感や程度について、市場では気を揉む状況が続いているが、現時点では過去の関税措置の影響を検証しておくのが有益だろう。
トランプ次期大統領が新興国市場に与える影響について懸念はあるものの、過去のデータによると中国、韓国、台湾は最も貿易感応度の高い市場であるにもかかわらず、トランプ大統領の第1期の期間にS&P500種指数をアウトパフォームした。ここで得た教訓は、先入観を持たないこと、そしてトランプ氏の大言壮語よりも、大幅なファンダメンタルズの変化が起こり得るということだ。
12月の米国債利回りは総じて上昇した。一方、米FRB(連邦準備制度理事会)が2025年の利下げはこれまで示唆していた回数よりも減少する可能性があることを示し、米ドルは上昇基調となった。FRBのガイダンスがタカ派的にシフトしたことに加えて、経済指標が好調となったことや2025年の利下げ見通しが変化したことを受けて、利回りは上昇した。
12月18日の米FRB(連邦準備制度理事会)、その翌日の日銀による政策金利決定はいずれも市場予想通りの結果となった。FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25%引き下げて4.25~4.5%とし、日銀は無担保コール翌日物金利を0.25%に据え置いた。いずれの場合も主な焦点となったのは、これらの予想通りとみられる決定をめぐってどのようなメッセージが発信されるかであった。
11月は大部分の資産クラスが好調に推移し、債券と株式がともに上昇した。米国大統領選挙で共和党候補が勝利したことを受けて株式市場が上昇し、グローバル株式市場(MSCIワールド・インデックス)は月間上昇率が4%を超えた。一方、グローバル債券市場(ブルームバーグ総合債券インデックス)は米ドル・ベースで1%超上昇した。
ドナルド・トランプ氏が米国大統領として復帰し2期目を迎えることになり、中国は圧力を感じている。しかし、トランプ前大統領の1期目に、中国株式は米国株式(S&P500指数)をアウトパフォームしており、外部圧力よりも国内政策が重要であることが示されている。
直近のグローバル投資委員会(GIC)は12月2日に開催された。この四半期を振り返ってみると、長期金利は当委員会が前四半期に予想した通り調整した。加えて、9月に米FRB(連邦準備制度理事会)が実施した金融緩和を受けて米国のイールドカーブに織り込まれてきた複数回の利下げは、市場で巻き戻されることになった。
また1年が過ぎようとしているなか、再認識させられていることがある。それは、変化が進んでいることこそが唯一変わらない点であるということだ。それを受けて、ファンダメンタルズの変化、持続的なリターン、魅力的なバリュエーションが融合した最も有望な特徴を示す企業を特定する、という当社アジア株式チームの投資哲学への確信を一層強めている。