また1年が過ぎようとしているなか、再認識させられていることがある。それは、変化が進んでいることこそが唯一変わらない点であるということだ。それを受けて、ファンダメンタルズの変化、持続的なリターン、魅力的なバリュエーションが融合した最も有望な特徴を示す企業を特定する、という当社アジア株式チームの投資哲学への確信を一層強めている。
11月は、米国債利回りが前月末比で低下し、米ドルは大半の通貨に対して上昇した。月初は、米国の大統領選挙で共和党が上下両院の多数派と大統領職を獲得して「トライフェクタ」が確実となるなか米国債は下落したが、ショートカバーが入ると、下落分の殆どを戻した。
2024年には、中国を除くアジア諸国は内需や輸出の好調に支えられて景気が底堅く推移した。比較的引き締め的な金融政策および食料品やコモディティ価格の上昇鈍化を受けてインフレが緩和されたおかげで、年の後半にはアジア域内の大半の中央銀行が利下げに動くことができた。
2025年に近づくなか、シンガポール株式市場の2024年のパフォーマンスを振り返るのに適切な時期となった。2024年は、市場が力強いパフォーマンスを示し、STI(ストレーツ・タイムズ指数)の2024年11月末時点のトータル・リターンは21.7%となり、2桁の上昇を達成した(シンガポールドル・ベース)。
我々は1年前、日本が2024年にデフレから脱却し、日本企業の再編や進化が進む時期が到来するという見通しを記した。株式市場の乱高下や政治の混迷もみられたものの、2024年は概ねこのシナリオ通りの展開となった。2025年は企業が戦略的に重要な決断を下していき、さらに多くの海外投資家を呼び込んでいくと予想する。
2025年の米国経済は、財政出動が期待されるなか、プラス成長が続くとみられる。一方、インフレは依然として米FRB(連邦準備制度理事会)の目標を上回っており、米国債市場の混乱に伴うファットテールリスクが高まっている。
昨年の今頃、2024年はインド、メキシコ、南アフリカ、米国、英国など、世界各地で重要な選挙が行われる年になることは良く分かっていた。これらの選挙の多くでは、現職が政権を失ったほか、議席数で過半数を失ったり、有権者の大幅な支持を失ったりした。しかし、最も予想外の結果となったのは米国で、ドナルド・トランプ氏が勝利を収めた。
インフレの水準、経済成長の行方、消費者や企業部門の信用力、住宅市場、米国債の供給量、数々の選挙、地政学、さらには紛れもない株式市場のバブルなど、2024年における投資家の不安・懸念材料のリストは記憶にないほど長いものであった。2025年は投資環境が少しは良くなるだろうか。
プラスチック汚染は、環境、生物多様性、そして人間の健康に長期的なダメージを与える、世界的に重大な問題である。人々の認識が高まり規制が強化されているものの、プラスチック廃棄物は増え続けている。待望の「国際プラスチック条約」は2024年末までに最終制定される見込みだが、これはライフサイクルを通じたプラスチック汚染対策としては世界的な法的拘束力を持つ初めての試みとなり、大きな期待が寄せられている。
2024年も過ぎようとしているなか、資産市場のパフォーマンスを中期的に予測することがいかに難しいかを改めて思い知らされている。2024年を迎えたとき、多くの識者は依然として債券市場にとって追い風となる米国の景気後退が訪れると考えていた。