- 2019年03月20日
投資のリスクが怖いです!
~リスクとは何か?なぜリスクを取るのか?をきちんと知っておく
当連載では、これから投資を始めようと考えている資産形成世代のみなさまのお悩みや投資のギモンについて、日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト神山直樹がお答えしていきます。
お悩みの2大テーマである「投資の知識がない」と「投資するお金がない」については、前々回、前回でお答えしてきました。でもやっぱり損をするのは嫌だし、リスクと聞くだけで微妙な気持ちになったり、どうしても「投資のリスクが怖い」って思ってしまう方も多いのではないでしょうか。今回は「投資のリスク」がテーマです。
なぜリスクを取った方が良いの?”潤いのある生活”のために取る「良いリスク」
リスクを取ったほうが良い、ということは、実はリスクを取らなくても生きてはいけるということなんです。でもリスクを取るほうが良い理由があります。引退後の“最低限の生活”は年金制度、健康保険など、さまざまな形で保障されている人が多いと思います。しかし、引退後の生活では、旅行したり、外食したり、“潤いのある生活”をしたいですよね。そのためにはできれば他の人に働いてもらうことでお金を増やして、インフレ率*以上の成長の成果を目指す。現代ではそれを実現するための金融商品(投資信託やETF)がある、ということなんです。人々が努力し工夫して営む事業の成果を獲得するために、投資をしてリスクを負担してあげることが、リスクを取ることです。
*物価の上昇率のこと。
理解しておくべきは、投資は賭け事とは違うということ
リスクを取ることと競馬などで賭け事をすることとは違います。例えば株式を買うということは、その会社の事業の成果を獲得しようとすることですね。その会社の経営者や従業員の努力や工夫の成果に期待します。しかし、円高や経済の状況で一時的に成果が出ない日もあるかもしれません。株式を持つことでそのようなリスクを負担すれば、長い目で見たときにその会社の努力と工夫の成果が配当などで手に入る。「投資でリスクを取る」とはそういうことなのです。単にサイコロを振って結果に賭けることとはまったく違うことが分かります。今の世界では、ビジネスのリスクを取った人が、その成果をリターンとして受け取ることができるようになっているのです。でもある特定の会社だけに期待すると、失敗したときの痛みも大きくなりますので、収益機会もリスクも世界中に幅広く分散しておく。理解しておくべきことは投資のリターンとはリスクの報酬であるということです。
損をするのが嫌なのは当然。でもリスクを怖がって投資しないのはもったいない
だれでも損をするのは嫌です。だから投資するお金は、生命保険や貯蓄とは別にしておけば良いでしょう。これからの人生のことは誰にも分からないでしょうけど、簡単にイメージした上で、絶対に減らせないお金を別に取っておく、あるいは貯めていくとすれば、それを超えた部分についてリスクを取ってリターンを得る=投資するお金に分けていくことができると思います。つまり、減ることはとにかく嫌だと決めつけずに、ある部分は、世界中の人々の努力や工夫の成果を得ることにまわそうと考えてみて欲しいのです。リスクを取るということは、スリルを楽しむことではありません。投資家は、事業を経営者や従業員に任せる代わりに、投資先を世界中に幅広く分散することでリスクをうまくコントロールしていくのです。
まとめ
投資は賭け事ではない。投資のリターンとはリスクの報酬であることを理解しておこう
【次回】投資のターゲットはどうやって決めるの?(2019年4月11日掲載予定)
神山直樹(かみやま なおき)
日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト
2015年1月に日興アセットマネジメントに入社、現職に就任。1985年、日興證券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)にてそのキャリアをスタート。日興ヨーロッパ、日興国際投資顧問株式会社を経て、1999年に日興アセットマネジメントの運用技術開発部長および投資戦略部長に就任。その後、大手証券会社および投資銀行において、チーフ・ストラテジストなどとして主に日本株式の調査分析業務に従事。
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