Series3. ファンドを選ぶ前に
3. リスクとは、リターンを得る間のストレス度合いのこと
過去のブレ幅から求める「覚悟」の目安です。
よく耳にするリスクとリターンをひとことで説明すると、2時点間の変化率をリターンといい、その「途中のブレ方」を数値化したものがリスクとなります。
買った時より高いところで売ることができればリターンは得られますが、買ったものが「直線」でなく「曲線」で動くため、途中のストレスは中々のもの。そこで過去の「曲線度合い」(ブレ方)を数値化して、ストレスの度合いを把握したり、あらかじめ最悪の覚悟をしたり、あるいは適切な投資金額に調整したり、分散を検討したりする際に用いるのが「リスク」という概念です。
実は過去のリターン値のデータはあまりアテになりませんが、リスク値の方は「これくらい下がってもおかしくない(いつ来るかは分からないが!)」といった覚悟の目安にはなります。この「覚悟」が実は大切。それがないと下落時に怖くなって手放してしまい、結果的に長期的なリターンを得られなくなるからです。
普通の人は大きくブレる「曲線」のものより、ブレない「直線」のもの、つまり預貯金が好きです。しかし預貯金のリターンがほぼゼロの今、「曲線」の世界に踏み出さなければ将来のための資産運用はできません。
そして、期待できるリターンが高い(下図のB地点が高い)ほど、途中のブレ方(リスク)も大きくなるのが一般的です。具体的には債券はブレが小さいがリターンも小さく、株式は最大下落率が数十パーセントにもなるようなブレ方をします。しかし、その時期を踏ん張った長期保有による株式のリターンの大きさは債券の比ではありません。
結局のところ、いかに将来の目標(B地点の高さ)を定め、途中のブレを踏ん張り、長く保有した後のゴールを迎えたいのか――という個々人の方針によって、持つべき資産が決まってくるのです。