Series3. ファンドを選ぶ前に
8. REITはある意味株式と同じ
「大家さんになることです」といった安心イメージは正しくありません。
「物件の大家さんに」などと言われることのあるREITですが、もしそれが「安心イメージ」につながっているとすると感心しません。 REITの価格変動は、株式と変わらない程度に大きいからです。
それはREITも株式と同様、需給で動く上場有価証券だから。REITとは不動産賃貸に特化した法人のことで、そこが資金調達などのために発行した(株式と同じような)有価証券を、投信は売買しているのです。したがって「安心イメージ」ではなく、買い手と売り手の需給で動く投資対象としてシビアに見る態度が重要です。
ただ、REITならではの特徴は配当利回りの高さです(正確には「分配金利回り」と言いますが、投信の分配金と誤認されやすいので「配当」とします)。
一般の株式の配当利回り(配当金÷株価)に比べて、REITの配当利回りは一段階高いのが一般的です。それは主にREIT法人にまつわる制度によるものですが、その理由よりも大事なのは、配当利回りが高いということは多少の価格変動を気にせず、利回り魅力で買いたくなる側面も持っているという点です。つまりREITは 「利回り商品」としての側面もあわせ持つ株式のようなものだと言えます。
これはREITの価格は、REIT法人の業績だけでなく、世の中の金利変動にも影響を受けることを意味します。例えば世の中の金利が上がると、「だったら安全な債券がいいや」とREITには売りの力が働きます。逆に、世の中の金利が下がると、REITの利回り商品としての魅力が増して価格が上がりやすくなります。
その意味では「株式と債券の中間」というのはあながち間違っていないのですが、市場規模(日々取引される売買の量/市場に出回っている証券の量)が株式よりも少ないため、価格変動は時に大きく一方通行になりかねない点は、留意しておく必要のある資産と言えます。