2024年11月の米国大統領選挙が近づくなか、ドナルド・トランプ氏が2期目を確保した場合に生じ得る不確実性と機会に焦点を当てながら、アジア株式の観点からみた世界の貿易、経済、地政学的な影響を探る。
株式市場は7月も続伸した。しかし、当月は好調なスタートを切ったものの、ボラティリティが高まる兆しも見られ始めるなか月末にはそれまでの上昇分がほぼ帳消しとなった。企業業績見通しは良好に推移し、米国内では大半の企業の業績が市場予想を上回った。
8月13日、グローバル投資委員会(GIC)は臨時会合を開き、最近の不安定な市場動向の影響や、強まりつつある米国の成長鈍化懸念について改めて精査した。GICによる結論は以下の通り。
インドは、アジアにおいて引き続き長期的な成長ストーリーがあり、新たな投資資金を引き付け続けている。一方、中国は投資家心理が好転するポジティブな材料を待っている状態であり、バリュエーションは割安な水準にある。
円安は日本の企業収益、国民総所得、経常黒字を押し上げ、日本経済の回復に重要な役割を果たしてきた。しかし、いずれ金融市場が方向転換する場合に備え、日本が円安の助けを借りずに景気回復を維持していく方法を考えるべき時期に来ているのかもしれない。
当月の米国債市場は、米FRB(連邦準備制度理事会)の今回の利下げサイクルにおける初回利下げが大幅に前倒しされるとの見方が市場で広がるなか、大きく上昇した。FRBが政策金利を据え置いたことを受けて、利回りは月末最終日に全般的に低下した。
世界の美容業界をより規模の小さい韓国企業が席巻するようになったのは周知の通りだ。1990年代に始まった「韓流」の波は、韓国の文化やエンタテイメントの世界的人気に火をつけた。今日、これには美容トレンドも含まれ、「Kビューティ」と呼ばれるスキンケア製品や化粧品で世界の美容トレンドを切り開いている。例えば「グラス・スキン」という言葉は美容意識の高い人々の間で世界的に定着しており、潤いと輝きに満ちた肌にするための10ステップのスキンケア法も広まっている。
中国については、ファンダメンタルズのポジティブな変化が実際に確認されてから選好度を引き上げる方針であり、非常に選別的なアプローチを維持している。アジア株式市場は、AI(人工知能)をめぐる熱狂状態やポジティブな構造改革などが相俟って、台湾、韓国、インドを中心に上昇した。
株式市場は上昇し、米国市場は大手テクノロジー企業の業績上振れと好調な見通しを受けて史上最高値を更新した。経済指標が軟化を見せインフレが下振れするなか、米FRB(連邦準備制度理事会)が早ければ9月にも利下げを行う可能性が高まったことも、市場センチメントを下支えした。米国の雇用統計も、失業率が2021年11月ぶりの水準に戻るなど、好材料となった。今では市場はFRBによる利下げを年内2回と予想しており、相場が難なく上昇できる環境が整っているようだ。リスク資産の方向性を左右するのは来たる決算シーズンとみられるが、11月に米国の選挙が控えていることから、今後数ヵ月は市場のボラティリティが高まると予想される。しかし、FRBは「ノーランディング」(景気が減速も後退もしない状態)シナリオを首尾よくやり遂げた模様であり、市場ではこれが歓迎されリスク資産の追い風となるだろう。
当月の米国債利回りは、複数の主要経済指標が市場予想を下回ったことを受けて、あらゆる年限で低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.12%低下の4.76%、10年物の指標銘柄で同0.10%低下の4.40%となった。アジア域内の5月の総合インフレ率は、中国、マレーシア、タイ、シンガポール、フィリピンで加速する一方、インドネシア、インド、韓国でやや鈍化した。