2020年のグローバル株式は、値動きの荒い展開となっている。世界の金融市場は、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)のパンデミック(世界的流行)が発生した当初に大幅に下落し、S&P500指数は2020年2月から3月にかけての下落幅が米ドル・ベースで33%を超えた。その後、各市場は急反発を見せ、大半は6月末までに下落の大部分を取り戻している。
-現在の未曽有の局面において利回り・分散を探求するには-
本レポートは、独立資産クラスとしてのアジア債券への配分がポートフォリオの投資リターンを大きく向上させ得るという当社の考えをまとめたものだ。当社では、アジアの現地通貨建て債券と米ドル・ハードカレンシー建て債券の両方またはいずれかへの投資が、投資家に以下のような恩恵をもたらし得るとみている。
-成長が速く大規模でありながら見逃されているアジア地域の経済に投資
-より高い利回りとより大きいスプレッド
-より優れたリスク調整後パフォーマンス
米ドル(対円)は短期的に大きな変化はないと想定している。弊社の2021年6月予想は1米ドル=108.50円(以下、1米ドルを省略)である。2015年11月以降のトランプラリーでいったん100円程度から118円程度まで米ドル高となり、その後はおおむね105~115円の範囲内で推移している。もちろん為替を予想することは難しいが、現時点では、今後もこの範囲を大きく逸脱すると考える理由が見当たらない。
アジアの小型株は潜在収益性の高い投資テーマである。しかし、この分野で持続的に成功を収めるには、巧みで経験豊富なアクティブ運用力が必要であり、その広範なリサーチの知見と実地の知識によって、小型株という十分なリサーチが行われていないユニバースで潜在的な「勝者」を見出し「敗者」を回避することが可能となるだろう。
当月のアジア株式市場は反発した。世界各国での経済活動再開や緩和的な金融環境をめぐる楽観ムードが、幾つかの国で発生している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第2波への懸念を上回った。アジア株式(日本を除く)の月間市場リターンは米ドル・ベースで8.4%となった。
株価指数の業種別時価総額比率(以下、業種別比率)の変化で、産業構造変化の「期待」を読み解くことが出来る。日本の90 年初頭からのバブル崩壊後、金融の業種別比率が低下した。事実、銀行の数が大幅に減少したことから、後から実体がついていったようにみえる。米国のIT バブルをみると、通信やインターネット関連の株価が大幅に上昇したのだが、利益が期待についていくことなく崩壊し、時価総額が示すほど産業構造の変化は大きくなかった。しかし、米国におけるリーマン・ショックの時は、金融の業種別比率が低下し、後から実体がついていった。
米国債市場は概ね前月末と変わらない利回り水準で月を終えた。月初は、香港の新たな国家安全維持法に対するドナルド・トランプ米大統領の対応や、米国および中国で発表されたポジティブな経済指標を受けて、リスク・センチメントが高まった。米FOMC(連邦公開市場委員会)が景気の回復について慎重なトーンを示すと、米国債利回りは低下に転じた。月末にかけては、市場センチメントは経済活動再開への楽観ムードとCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大第2波への懸念とのあいだで揺れた。最終的に、月末の米国債利回りは2年物が前月末比0.013%低下の0.15%、10年物が同0.003%上昇の0.66%となった。
過去数ヵ月にわたるリスク資産の着実な回復を経て、市場は次第に熱狂度を増す状態に入りつつあるようだ。マクロ経済指標は悲観的な市場予想をたやすく上回り強気ムードを後押ししているが、米国やその他の国々でウイルス感染の再拡大が加速するなか、結局は懐疑的な見方も生まれている。
共和党のトランプ氏(現大統領)と民主党のバイデン氏のどちらが大統領になっても、米国経済の成長率予想の差はほとんどないとみている。そもそもコロナ・ショックからの脱却において、政府や中央銀行のとるべき(とることが出来る)政策に大きな違いはない。また長期的に政策の差はあるが、経済成長全体に与える影響は小さいと見ている。
中国では、多くの工場や製造施設、生産ラインがロックダウン(都市封鎖)期間中の数ヵ月に及ぶ操業停止を経て現在稼働中であり、世界第2の経済大国がCovid-19(新型コロナウイルス感染症)の影響から徐々に回復するなか、最近では同国の主要経済指標が上昇傾向を示し始めている。