米国債市場は、供給圧力が大幅に高まり利回りが上昇するなか、2025年は低調な出だしとなった。その後、米国の2024年12月の総合CPI(消費者物価指数)上昇率が市場予想通りとなる一方、コアCPI上昇率が市場予想を若干下回ったことを受けて、米国債利回りは低下した。
少し前まで、AI(人工知能)という言葉はSF小説の世界でしか見られなかった。カルト映画の名作「ブレードランナー」の原作となったフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」や、同名映画の製作につながったアイザック・アシモフの「われはロボット」といった作品で大きく取り上げられていた。
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行時に他の多くの家庭もそうだったように、我が家にも新しい住人が仲間入りした。ふわふわの子犬、名前は「ベンジー」だ(右写真)。長男が巣立つことになったので、恥知らずのようではあるがその代わりに犬を飼うことにした。家のどこにいても息子のジェイミーが私たちの後をついて回り、食べ物をねだっていたというわけではないが(少なくとも、いつもそうだったわけではないが)、彼が大学進学でいなくなったときに家中が静かになったと感じたが、コロナ禍を受けたロックダウン(都市封鎖)時にはその感覚がさらに強まった。
米FRB(連邦準備制度理事会)は市場の予想通り、1月29日に政策金利を据え置いた。FOMC(連邦公開市場委員会)メンバーは、翌日物金利の誘導目標を4.25~4.5%に据え置くことを全会一致で決定した。しかし、パウエルFRB議長は、金利は依然「中立金利を大きく上回っている」と述べた。
日銀は1月24日に翌日物金利を0.25%引き上げた。これは予想通りの結果であり、金融市場は織り込み済みであった。今回の利上げによって無担保コールレートは0.50%と2008年以来の高水準に達した。また、2024年に日銀が金融政策引き締めに転換してから3回目の利上げとなり、合計利上げ幅は世界金融危機以降で最も大きいものとなっている。
12月は大半の資産クラスでパフォーマンスが悪化し、前月好調だった債券と株式はともに下落した。グローバル株式市場は、月中に史上最高値を記録したもののその後調整に転じ、月間市場リターンがMSCI Worldインデックスで-2.3%となった。ブルームバーグ・グローバル総合債券インデックスのリターンも米ドル・ベースで-2.2%となった。
米国の今後の政策、特に貿易相手国に課すかもしれない関税措置については、不透明な部分が多い。次期米政権の厳しい発言の矛先は特に中国に向けられている模様だが、中国は程度の差こそあれ日本など多くの国々の貿易相手国である。関税実施のスピード感や程度について、市場では気を揉む状況が続いているが、現時点では過去の関税措置の影響を検証しておくのが有益だろう。
トランプ次期大統領が新興国市場に与える影響について懸念はあるものの、過去のデータによると中国、韓国、台湾は最も貿易感応度の高い市場であるにもかかわらず、トランプ大統領の第1期の期間にS&P500種指数をアウトパフォームした。ここで得た教訓は、先入観を持たないこと、そしてトランプ氏の大言壮語よりも、大幅なファンダメンタルズの変化が起こり得るということだ。
12月の米国債利回りは総じて上昇した。一方、米FRB(連邦準備制度理事会)が2025年の利下げはこれまで示唆していた回数よりも減少する可能性があることを示し、米ドルは上昇基調となった。FRBのガイダンスがタカ派的にシフトしたことに加えて、経済指標が好調となったことや2025年の利下げ見通しが変化したことを受けて、利回りは上昇した。
12月18日の米FRB(連邦準備制度理事会)、その翌日の日銀による政策金利決定はいずれも市場予想通りの結果となった。FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25%引き下げて4.25~4.5%とし、日銀は無担保コール翌日物金利を0.25%に据え置いた。いずれの場合も主な焦点となったのは、これらの予想通りとみられる決定をめぐってどのようなメッセージが発信されるかであった。