3つの新しいETFの設定・上場に至る経緯と運用手法

アメリカ合衆国国旗

当社は今年、かつてないスピードでETFを設定・上場しています。1月の上場MSCIコクサイ株(1680)に始まり、2月の上場MSCIエマージング株(1681)、5月の上場高配当(1698)、7月の上場MSCIジャパン株(1544)と設定・上場を行なってきました。さらに10月には上場S&P500米国株(1547)、上場チャイナ株(1548) 、上場インド株(1549)の3本を同時に設定・上場することとなりました。これで当社のETFも17本になり、さらにラインナップが充実します。投資家の皆さまの選択肢が増え、東京市場の活発化の一助になればと祈念しております。

今日から3日間にわたり、今回の3本のETFの設定・上場に至る経緯と運用手法について順にご説明したいと思います。

国別のETFの組成目的

まず、国別のETFを組成する目的は、上場MSCIコクサイ株(1680)上場MSCIエマージング株(1681)のような複数の国に投資するETFも、コース料理のようで便利ではありますが、やはりアラカルト的に一品料理も注文したい=国別のETFも欲しいという投資家の皆さまの声に応えることにあります。当社もコース料理に加えてアラカルト料理も必要だと考えており、そろそろ上場パンダ(1322:中国A株に投資)以来、国別のETFを組成する必要があるのではと考えました。

今まで日本になかったS&P500のETF

その折、米国株式の代表的な指数であるS&P500 が使えるようになるという連絡が指数会社からありました。同指数は資産運用を語る上で、避けては通れない程有名かつ広範に利用されている指数です。しかしながら、この指数に連動するETFはある特定の会社しか作れない状況が続いていました。というのは、その特定の会社がETFの組成において独占使用権を持っていたからです。この独占使用権が今年春に失効したことにより、特定の会社以外でもS&P500のETFが作れるようになったのです。欧州では、これを受けて複数の会社がS&P500のETFを設定・上場させ、また従前はS&P100に連動していたETFを組み替えてS&P500に連動させるようにしたETFも出ています。

日本では当社が、初のS&P500に連動をめざすETFを設定・上場する機会を得ることができました。それが今回の、『上場インデックスファンド米国株式(S&P500)<愛称:上場S&P500米国株>(1547)』です。「今さら米国の大型株の指数のETFなんて」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、現在世界の株式市場のほぼ半分の時価総額を持つ米国株式は、国際分散投資の対象として避けることができません。その米国株式は時差の関係から日本の真夜中に売買されていますが、日本時間でトレーディングできることで、日本の投資家の皆さまにとって有効な運用ツールになると思っております。何事かがアジア時間で起こったときに、すぐ売買等アクションが取れること、日本円で売買できることがメリットとして挙げられます。

この上場S&P500米国株(1547)の運用方法は、当面、S&P500先物を主な運用対象とします。背景には米国の厳しい税金管理制度があり、またこの制度が強化される方向にあるためです。将来的には、現物株式に投資した場合の税金問題の動向を見極めた上で、運用対象を切り替えたいと考えています。

以上のようにこのETFは、代替的に現物株式でなく指数先物で運用を行ないます。現物株式の流動性も高いのですが、指数先物も高い流動性を誇りますので、大口の設定・解約にも十分応えられる構造を持っています。東京市場の取引時間で、どの位の売買が呼び込めるかがポイントになっています。

さて、次回は上場チャイナ株(1548)についてお伝えします。