成長著しい日本のETF市場

純資産残高は、前年比倍増 7兆2,939億円
月間売買代金は、前年比13倍 3兆6,045億円

昨年の政権交代以降、吹き返した日本の株式市場の恩恵を受けて、日本のETF市場も順調に拡大しています。2013年10月末の純資産残高は7兆2,939億円と1年前の3兆6,446億円から倍増しています。取引所内におけるETFの月間総売買代金(売り買い合計)の推移をみると、こちらは1年前と比べ13倍近くの3兆6,045億円(2013年9月)となっています。

月間ETF総売買代金(売り買い合計)

(東京証券取引所統計資料より日興アセットが作成)

この活況の売買主体は誰だと思いますか。取引所内の売買は証券会社と個人と外国人でそのほとんどが占められているのですが、近年証券会社の比率が低下する一方、外国人が増加、また個人が一定のシェアを維持し続けているのが下のグラフでわかります。

投資部門別 ETF売買状況(金額シェア)

(東京証券取引所統計資料より日興アセットが作成)

個人投資家へのETFの普及

ETF投資未経験の個人は、ETF投資家をプロのような人と思っている?

当社のような運用会社は個人投資家との接点はほとんど無いので、個人投資家へのETFの認知の拡大・普及は進んでいるのかいつも疑問に思っています。個人的にも、家族にわかりやすくETFを説明しているつもりですが、いつもなかなかETFをきちんと理解してもらえず、そのうち雑な説明になって喧嘩になることもあります。また、両親から仕事の調子はどうかと聞かれると、今度は説明しても理解されなという頭が働いて「まあまあ」とはぐらかすといった対応をしてしまい、ETFを普及させたいと思っている自分自身がこんな心持ちではいけないと思っていました。そのような折、当社で興味深いアンケート調査を行いました。この調査で、どのように個人投資家にETFが受け止められているのかを知ることができました。

日興アセットマネジメントでは、お客さまの声を聞いてよりよい投資信託の開発とサービスの提供のために「投信ご意見番」と呼ぶアンケート調査を行なっています。8月下旬には「ETF投資家について」のアンケートを実施しました。現在のETF投資家像をある程度理解することができ、今後のコミュニケーションに活かそうと思っています。少し紹介しますと、2年半前の調査に比べETFの認知があがり、ETFに投資をしたことがある人はその他の金融商品の投資経験も豊富であることがわかりました。そして、最近ETFに投資をする年代が広がったことと、ETFを保有するメリットがあるとの回答が多かったこと、さらにETFを保有することのデメリットがないと回答した投資家が3割いたことについてうれしく思いました。

調査レポートの他に、ダイジェスト版の「本音よみ」の「Vol.18 ETFは身近に感じられない金融商品?(PDF)」にもまとめてあります。その中でも私自身が一番気になった結果は、ETF投資未経験者は、『ETF投資家に対し「プロみたいな人」といったイメージを持つ割合が高い』という結果でした。

機関投資家が投資するETF

個人も、同じ商品を同じ信託報酬率で、プロの投資家が使う同じETFに投資が可能

日本のETFは誰が保有しているのでしょうか。東京証券取引所のETF受益者情報調査(2013年7月)によると、次のグラフになります。

ETF部門別保有状況

出所:東京証券取引所

日本のETFは金融機関=運用のプロ(機関投資家)が7割保有しており、ETFに投資していない個人の投資家が持つETF投資家のイメージは、「プロみたいな人」とする割合が多く7割のアンケート結果と符合します。個人投資家はするどい感性を持っているなと感じた次第です。コラムNo.18でご説明しました通り、投資部門別ETF売買状況では金融機関のシェアがほとんど無いのに、保有は多いというのは、金融機関のETF売買は、その多くが店頭市場(OTC)や私設取引所(PTS)で行なわれるためです。

しかしちょっと考えてみてください。投資のプロが使うETFですが、まったく同じものを、同じ信託報酬率といった機関投資家と同じ条件で個人投資家もETFが使えるのです。もっと多くの個人投資家の人達がETFの利点を享受してほしいと思っています。思い起こせば、ETFの仕事に携わるようになったとき、ETFから受けた印象は、ETFは個人投資家にとって最大の福音ではないかということでした。IT革命のときは機関投資家と個人投資家の情報格差が一気に進みました。ETFの個人投資家への普及は、運用ツール・手法の格差の縮小だと思います。

NISAとETF

ETFは日本全国どこの証券会社からも購入ができます。

さて、来年2014年1月からNISA(少額投資非課税制度)がスタートします。そのNISAの投資対象の主力は投資信託と目されていますが、NISA口座を開設した販売会社が取り扱っていない投資信託には投資できないということがあります。一方、ETFは日本全国どこの証券会社からでも購入ができ、ほとんどの証券会社でETFをNISAの口座で買える予定です。一旦決めたNISA口座を開設した販売会社は変更することができませんが、ETFを扱える販売会社にしておけば、投資したいETFが後から見つかっても大丈夫です。

NISA制度導入によって個人投資家の投資知識が格段に向上してくると思われます。そのようになれば個人投資家の方々がETFに投資するメリットが多いことに気づかれ、実際に投資していただく機会も格段に多くなるのではないかと期待しています。NISAでのETFの使い方についても、次回以降の当コラムでも取り上げてみたいと思います。

引き続き日興アセットのETF、上場インデックスファンドをよろしくお願いいたします。