新型コロナウイルスに罹患された皆様、感染拡大により生活に多大な影響を受けられている皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
また、医療機関や行政機関の方々など、感染拡大防止に日々ご尽力されている皆様に深く感謝申し上げます。

認識の薄い、そこにあるリスク

今回のコラムの副題は「認識の薄い、そこにあるリスク」です。かなり刺激的ですが、売り買いの発注をしてから約定までの時間差で大きな価格変動リスクにさらされることがあることをご説明させていただこうと思います。このリスクを回避するのに、実はETFがたいへん有利な商品であることをご理解いただけたらと思っています。

昨今、コロナウイルスショックで市場の変動性が大きくなっていて、売り買いの発注をしてから約定までの時間差があればあるほど大きなリスクになっています。

投資信託の売買価格の決まり方

米国の株式・債券に投資する投資信託とETFの売買価格の決まり方を比べてみたいと思います。

投資信託のお申込みは、その申込日(T日)の15:00までとなっています。こちらは投資信託協会の自主規制ルールによるものです。その申込価格(基準価額)はT日に発表されるものではなく翌営業日(T+1)の基準価額になります。海外資産の場合、T日の基準価額はその前営業日(T-1)の米国株・債券の引け値とT日の為替レートをもとに計算されます。つまり、申込日(T日)にT日の基準価額を使ってしまうと、その計算のもとになる価格をあらかじめ知ることによって不公平な売買が可能になってしまうことが起きます。それを避けるために翌営業日(T+1)の基準価額を採用することになっています。しかしながら、お申込の締切から実質的に価格が決まるのが、19時間後で、正確な基準価額を知るのは凡そ27時間後になってしまいます。

<注> 2024年11月5日以降、投資信託の取引時間の当日申込締切は、原則として15:30となりました。申込締め切り時間はファンドによって異なります。

投資単価=売買価格の決まり方(投資信託)

ETFの売買価格の決まり方

一方、取引所が開いている時間に売買をするETFは約定した段階で値段が確定します。投資単価は約定のタイミングで決まります。投資単価が不明なリスクは以降なくなり、市場変動による価格変動リスクがその中心的なリスクになります。

<注>2024年11月5日、東京証券取引所の取引時間の延伸が実施され、立会内取引の終了時刻は15時30分となりました。

投資単価=売買価格の決まり方(ETF)

価格決定のリスク

<注> 2024年11月5日以降、投資信託の取引時間の一般的な当日申込締切は15:30となりました。申込締め切り時間はファンドによって異なります。

では、投資信託の価格決定のリスクはどのくらいあるのでしょうか。

冒頭の図でも示したように、投資信託の設定・解約のお申込時限は、基本、15時までです。その時には、前日の米国株式市場の引け値情報と評価為替レートを知ることができますが、実際に投資単価を決定するのは日本時間の翌営業日朝4時の株式の引け値と10時の為替レートです。

為替ヘッジありの商品であれば1日分の株価変動リスク、為替ヘッジなしの商品は1日分の株価変動リスクに加えて為替変動リスクを許容することになります。このインパクトがどの程度か計算してみました。

投資単価のリスク

※S&P500指数、TTMを使って試算  基準価額が発表されるのは当日の18:30頃
※信頼できる情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。
※グラフおよびデータは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

株価は米国の代表的な株価指数であるS&P500インデックス、為替は投資信託の評価に使う三菱UFJ銀行TTMで計算しました。

市場が安定していた2019年10月から12月では、1標準偏差で、為替ヘッジありは0.61%、為替ヘッジなしは0.89%でした。これは2/3の確率でプラスマイナス0.61%、0.89%上下にぶれるということを表します。結果、有利になったり不利になったりするということです。安定している環境でも相応の振れ幅がありますが、コロナショックが起こっている2020年1月から3月末の実績では、なんと3.91%と4.14%に跳ね上がります。

投資信託のお申込みから価格が決まるまでに時間差があり、その間の米国市場や為替の動向によって申込価格に影響があることは認識しておいていただきたいポイントです。投資家の認識の薄い、そこにあるリスクなのです。


繰り返しになりますが、取引所が開いている時間に売買をするETFは約定した段階で値段が確定します。投資単価は約定のタイミングで決まります。投資単価が不明なリスクは以降なくなり、市場変動による価格変動リスクがその中心的なリスクになります。

ETF取引の利点

ETFには主に機関投資家向けの「発行市場」と東証で売買を行う「流通市場」がありますが、個人のお客様がETFの売買をされる取引所でのお取引においては、投資単価のリスクを排除して投資をするのにETFの利点がお分かりいただけるのではないかと思います。

なお、ETFの売買においては、市場規模や取引量が少ない状況によって、期待できる価格どおりに取引できないといった流動性リスク等があることにご留意ください。

米国株式に投資をするETF

日興アセットでは米国株式に投資をするETFを以下のように取り揃えております。

コード 愛称 取引単位 決算日
決算回数
1547 上場インデックスファンド米国株式(S&P500) 10 1月20日
年1回
2521 上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり 10 1月20日
年1回
2562 上場インデックスファンド米国株式(ダウ平均)為替ヘッジあり 10 1・7月8日
年2回

ぜひ、ETFの特徴をご理解していただき、ご活用いただければと思います。

日興アセットのETF、上場インデックスファンドシリーズをよろしくお願いいたします。