中国・共産党は、10月下旬に開催した第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)において、2035年に向けた長期目標と第14次5ヵ年(2021~2025年)計画を発表しました。長期目標では、一人当たりGDPを中位レベルの先進国の水準にすること、テクノロジー面の自立や低炭素な経済成長などが掲げられました。それらを達成するための5ヵ年計画では、習近平総書記が、5月以降、度々用いている「双循環」という考え方が、色濃く明示された内容となりました。具体的には、イノベーションと内需振興で質の高い成長をめざすと同時に、内需の活性化で外需の循環も高める双循環に加え、環境汚染の抑制強化などが計画に盛り込まれました。

双循環とは、閉鎖的に循環させるということではなく、市場開放を進め、国内外のどちらにおいても中国の持続的発展につなげるものです。双循環が提起された背景には、近年の環境変化が背景にあると思われます。経済のグローバル化が進むなかで、中国はこれまでの加工貿易を中心とした「世界の工場」として経済を成長させてきました。しかし、国内における人件費の上昇、高齢化、それらを背景とした労働力不足、都市部と農村部との格差拡大などが深刻となっています。加えて米中貿易摩擦の激化もあり、生産が他国に移管される懸念があります。更に、コロナ禍で輸出先の経済が減速するなど外需環境もこれまでとは異なってきています。

「原材料を輸入し、それを国内で加工し製品化し、輸出する」、これが加工貿易ですが、それを主として成長してきた中国は、双循環に基づいた今回の5ヵ年計画で、内需拡大を図り、供給網を変えようとしています。例えば、「半導体などテクノロジーの内製化を進め、高度な製品を自国で生産し、消費する」など、国内循環を強化することで国内市場の魅力を高め、外需の取り込みもめざすことなどが挙げられます。

今回の5ヵ年計画ではGDP成長率の具体的な数値目標は発表されませんでしたが、長期目標である2035年までに一人当たりGDPを中位レベルの先進国の水準に引き上げるためには、高い経済成長率を維持する必要があります。5中全会を機に強化が見込まれる経済政策により、中国の中長期的な経済成長や株価動向が注目されます。中国株式への投資に際し、中国株式市場への連動をめざす「ETF(上場投資信託)」での資産形成をご検討されてはいかがでしょうか。

主要国の一人当たり名目GDP(2018年)

* OECD加盟国のうち、一人当たり名目GDPが中国以上G7以下の国
出所:IMF「World Economic Outlook Database, October 2020」

円換算した「CSI300指数」への連動を目的としたETF銘柄: 上場インデックスファンド中国A株(パンダ)CSI300
ETF(愛称)
(銘柄コード)
対象指数 売買単価
(2020年11月2日終値)
上場市場 売買単位 最低投資金額(概算)
上場パンダ
(1322)
CSI300指数 7,390円 東京証券取引所 10口 73,900円

* 最低投資金額(概算)は、2020年11月2日終値×最低売買単位。手数料などの費用は含みません。

※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。