日銀が日本企業の大株主になっているの?

日銀がETFを買い入れるのはなぜ?

  • 2020年4月20日

日本銀行(以下、日銀)がETFの買い入れをたくさん行うことで、『日銀が多くの上場企業で大株主になっている』という記事を目にしたことがある方も多いかと思います。今回は、日銀のETFの買い入れとETF投資先企業の関係について解説します。

日銀が買い入れしているETFでは、どんな企業の株式を買っているの?

日銀は、下記の4つの指数に連動した運用を目指すETFに対して、年間を通じて買い入れを行っています。なお、指数によって買入金額は異なります。  

・東証株価指数(TOPIX)
・日経平均株価(日経225)
・JPX日経インデックス400(JPX日経400)
・設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF

ETFは、全て指数に連動するように設計されています。ETFの運用会社はその連動性を維持するため、基本的にETFの構成銘柄について、指数の構成割合と同等となるよう売買を行っています。日銀はその指数に組み入れられている銘柄を間接的に保有していることになります。

では、日銀が買い入れているETFではどんな企業の株式が組み入れられているのでしょうか。
日銀が買入対象としている指数に連動する当社ETFを見てみると、組入上位10銘柄として下記の企業が含まれています。

各指数に連動する当社ETFの組み入れ銘柄上位10銘柄 (2020年3月末時点)

上位10銘柄の表

※当社マンスリーレポートをもとに、日興アセットマネジメントが作成
※個別の銘柄の取引を推奨するものではありません。
※上記銘柄については将来の組み入れを保証するものではありません。



組入上位銘柄のうち、複数の企業が、一つの指数だけでなく複数の指数に組み入れられていることが分かります。というのも、銘柄選定においては、企業の時価総額の大きさをや流動性(売買のしやすさ)を基準とする場合が多く、同じような企業が指数の組入銘柄として選ばれやすい傾向があるのです。そこで、当初の疑問が出てきます。

日銀が2010年からETFの買い入れをし続けていることで、日銀自身がこれらの企業の大株主になってはいないのでしょうか?

ETFを持つと企業の株主になるの?

結論から言うと、ETFを保有しても、ETFの組入銘柄の株主にはなりません。ETFの投資家は、投資対象の指数を通じて間接的に企業に投資をしていることにはなるのですが、直接保有していることにはならないのです。

もし株式を直接保有しているのであれば、株式の保有数に応じて議決権*が得られますので、株式を多く保有する大株主ほど経営に影響を与えることが可能となります。しかし、ETFが保有する株式の議決権はETFの運用会社にあり、運用会社が議決権の指図行使を行っています。

*議決権:株主が、会社の最高意思決定である株主総会において提案された議案に対して賛成・反対を表明し、株式会社の経営上の意思決定に直接に関与する権利

日銀とETF買い入れ対象企業の株式の関係は?

日銀がETFを通じて間接的に株式を5%以上保有している企業数は200社以上あり、10%以上の保有では50社ほどあります*。
念のため、日銀の保有比率の高い企業の上位株主に「日本銀行」が登場するのか確認してみると、「日本銀行」という名前は見当たりませんでした。繰り返しになりますが、日銀はETFを通してこれらの企業の株式を保有しているため、 日銀は株式の間接的な保有者であり、株主ではないのです。

そして、先ほどご説明した通り、議決権は日銀にはなく、当社などのETFを管理・運用しているである運用会社(委託会社)が持っていることになります。運用会社は各社、自社が管理・運用している商品から発生する議決権について「議決権行使ガイドライン」等を定めており、ホームページ等でその方針を見ることができます。

*2020年3月末時点。信頼できる情報をもとに、日興アセットマネジメントが算出。




記事内でご紹介したETFについて

東証株価指数(TOPIX)に連動するETF
1308 - 上場インデックスファンドTOPIX (愛称:上場TOPIX)

日経平均株価(日経225)に連動するETF
1330 - 上場インデックスファンド225 (愛称:上場225)

JPX日経インデックス400(JPX日経400)に連動するETF
1592 - 上場インデックスファンドJPX日経インデックス400 (愛称:上場JPX日経400)

設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF
1481 - 上場インデックスファンド日本経済貢献株 (愛称:上場日本経済貢献)