大手格付け会社ムーディーズ・レーティングスは 5 月 16 日、米国の信用格付けを最高位の Aaa から Aa1 へ引き下げることを発表した。この引き下げの主因は根強く続く米国の財政赤字とされている。当社ではこのリスクについて(3 月に発行したグローバル投資委員会による中期展望などで)以前から何度も指摘してきたが、これこそ、米国経済の中期的先行きにかかわらず同国でターム・プレミアム(債券の残存期間の長さに伴う上乗せ利回り)が高止まりする、と当社が予想している大きな理由である。
自然関連のリスクと機会は、世界の投資テーマのなかで急速に浮上してきている。しかし、多くの投資家にとって依然課題なのは、生物多様性に資金を提供するスケーラブルで信頼できる方法を見出すことだ。ソブリン・グリーンボンドは、自然にとってプラスの成果をもたらす方向への資金誘導を、透明性を担保しながら大きな規模で行うことができる最も有効なチャネルの1つかもしれない。
当月は関税のニュースが市場の動きに大きな影響を与え、グローバル株式はMSCI All Country Worldインデックスで4.2%下落した(米ドル・ベース)。米国では、関税関連の発言を受けて、インフレ圧力の長期化と景気悪化への懸念が再燃した。市場の注目が貿易関連の動向に集まるなか、「解放の日」として4月2日に発表された相互関税は、世界の貿易システムと金融市場に衝撃をもたらしている。
4月10日、グローバル投資委員会(GIC)は臨時会合を開き、4月2日に米国が発表した関税措置がマクロ経済と市場に与える影響、そしてその後のアクションと市場の反応についてレビューを行った。会合の直前、関税の発表によって市場は大きく混乱し、米国経済と貿易相手国の経済の行方に対する不透明感が強まっていた。
中国不動産市場は厳しい状況に直面しているが、住宅セクターへの信頼感回復に向けた取り組みは順調に進んでいる。政府と国内不動産グループ各社にとって道のりは依然厳しいが、住宅セクターの見通し改善が期待されるなか、中国の不動産関連債券市場に対する投資家の関心が再び高まる兆しがみられている。
ドナルド・トランプ氏が米国大統領に返り咲いて以来、事態は波乱に満ちていると言っても過言ではないだろう。世界秩序を根底から覆しかねない「トランプ関税」の実施に加え、新政権は陣頭指揮を執ってサステナビリティの取り組みをリセットしており、それが政府レベルでも企業レベルでも展開されている。
米国政府との貿易戦争が激化するなか、中国は個人消費計画の概要を示すなど国内消費の押し上げを 2025年の最優先課題として重視しており、好ましい方向に進んでいる。米国の政策の不確実性がもたらす世界的な景気減速の悪影響を抑制するには、各国が国内で景気刺激策を実施していくことができるかどうかが重要になる。
2024年11月の米大統領選挙でドナルド・トランプが大勝したというニュースが流れると、多くの国や企業は貿易戦争の再発を覚悟した。しかし今回、この第47代アメリカ大統領は前の任期よりもさらに踏み込み、敵味方問わない全面的な関税を打ち出した。共和党が上下両院で過半数を占めたことで、トランプ大統領はほぼ歯止めの利かない権力を手にすることとなり、このような極端な政策につながった。
当月に入ると、米国の関税政策に起因する世界的なマクロ経済の先行き不透明感の強まりを受けて、米国債利回りのボラティリティが高まった。月の後半には、米FRB(連邦準備制度理事会)が金融政策の据え置きを決定した。月末時点の米国債利回りの水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.11%低下の3.89%、10年物の指標銘柄で同横ばいの4.21%となった。
何十年もの間にわたってS&P500指数構成企業の利益率は拡大してきているが、その原動力となってきた要因は複数存在する。そうした要因のうちの2つで、あらゆるセクター、産業、企業規模にわたって何十年間も持続したものとして、前世紀後半から今世紀初頭にかけて金利と税率が着実に低下傾向を辿ってきたことが挙げられる。