インド共和国国旗

No.9No.10のコラムでご紹介しました、今回同時に3本設定・上場します「上場S&P500米国株(1547)」と「上場チャイナ株(1548)」に引き続き、『上場インデックスファンドS&P CNX Nifty先物(インド株式)<愛称:上場インド株式>(1549)』についてご紹介します。

カウンターパーティリスクを軽減させて設定するインド株式のETF

インド株式はETFを組成する中で最も難しい対象国の一つです。市場そのものは売買が活発なので、流動性の観点からは問題はないのですが、外国人保有規制や短期キャピタルゲインに関する事務処理が難しい国です。中国A株ETFの上場パンダ(1322)を設定した直後からインド株式のETFを研究し始めました。米国・欧州で立ち上げられているインド株式ETFを調べますと、おおまかには、2つの設定方法があります。インドと税金上のメリットがある第三国経由で投資する方法と、投資銀行が提供するデリバティブ(スワップ、連動債)を使う方法です。第三国経由の方法はスムーズな事務処理が難しかったり、税メリットを得るためのコストが相応にかかったり、また税メリットを受ける免許の更新にタイムラグが発生したりすることもわかりました。後者に関しては、デリバティブの契約相手の信用事由に係るカウンターパーティリスク(※1)が発生します。また、2008年の金融危機発生前のインド株式が特に活況であったときにP-Note規制というインド株式連動債券の発行をインド当局が規制するといったこともありました。インド株式のETFはかなり難物です。

この上場インド株(1549)と並行して検討をしていたのが上場MSCIコクサイ株(1680)上場MSCIエマージング株(1681)でした。これらのETFの組成に開発した運用手法は上場先物を活用する方法です。上場先物は取引所・決済所がその履行を保証していますので、カウンターパーティリスクがありません。インド株式では、シンガポールの取引所に活発に取引がされているインド株式指数先物(SGX S&P CNX Nifty先物)があります。インドのナショナル証券取引所の代表50銘柄からなる指数の先物で、資金の移動が自由で規制の少ない先進国市場に上場している先物です。この先物を裏付けにしたETFであれば、市場関係者もヘッジや裁定の取引がしやすいので、流動性が高められることも期待できます。このような理由で、上場インド株(1549)はインド株式指数先物(SGX S&P CNX Nifty先物)に連動(投資)するETFとして作られました。

以上、ETFコラム No.9No.10と述べてきましたようにETFの組成において、投資対象国の規制・税制にあわせて柔軟に対応しないとなかなか難しいことがご理解いただけるのではと思います。当社も日々、どのような運用手法やスキームのETFであれば良い商品になるのか研究しています。ETFの運用方法については、当社が採用してない方法も含めて様々なものがあります。コラムの回を改めてご説明したいと思います。ご精読ありがとうございました。

※1: カウンターパーティリスク
カウンターパーティとは、取引相手のことで、カウンターパーティリスクとは、その取引相手が債務不履行を起こしたり、契約上の合意が守られなかったりするリスクのこと。