2013年3月1日
今回のコラムは、機関投資家のお客さまを訪問した際の移動の新幹線の中で書いています。先ほど、前の席に座っている方からキーボードの打鍵の音がうるさいとお叱りをいただきました。もともと力いっぱい打鍵する癖がある私は、音を出さないように打つということは極めて難しく、フラストレーションが溜まります。しかし、力がこもってしまう理由は、うれしいニュースを早くお知らせしたかったからでもあります。
アジア太平洋地区のナンバーワンETF運用会社*
実は、当社はアジア太平洋地区のナンバーワンETF運用会社として、3度目の表彰を受けました!この表彰(アワード)ですが、英国のETF専門メディアであるETF Expressの主催のものです。このアワードは今回で第4回目になります。それぞれのカテゴリーについて、ETFの投資家、ブローカー、マーケットメーカー、指数会社、フィナンシャルプランナー等の業界関係者の投票によって決められるものです。アジア太平洋地区のナンバーワンETF運用会社のカテゴリーにおいては、第1回目、2回目、そして4回目と3度も当社が受賞したことになります。
正直にいうと、今回の受賞は意外な気もしています。この1年間の新商品に関しては、昨年3月の上場新興国債(1566)のみで、他社の日経平均やTOPIXの2倍連動や逆連動型のETFが売買を集め、注目も集めていたのではないかと思っていたからです。海外でも2倍連動や逆連動型のETFの人気は同様だったと思います。
また、アジア太平洋地区のETFシーンを見渡してみると、2012年の大きな話題の一つが香港のRQFII(人民元適格外国機関投資家)制度による中国A株ETFの出現ではなかったかと思いますが、こちらが票を集めきれなかったのも意外でした。RQFII制度とは中国本土外に流失した中国元で外国機関投資家が直接中国本土市場に投資ができるようにした制度です。この制度を利用したETFが、昨日(2月27日)東京市場に上場しました。
受賞理由とは?
2012年は、No.24、No.25のコラムで書いたように、当社のディスクロージャーの改善活動と、当社(当社ETF)の認知向上活動に相当努めました。というのも、次のような事件があったのです。
ある機関投資家からETFの仕組み、会計処理の問い合わせを受けてご説明しましたところ、この機関投資家はETF投資を開始したのですが、当社にお問い合わせがあったにもかかわらず、他社のETFから投資をスタートさせたことがあったのです。これは、個人的には相当ショックでした。
やはり上場インデックスファンド(日興アセットマネジメントのETF)がナンバーワンブランドにならないといけないということを強く認識させられました。元々、ブランド戦略が重要であると思って、ウェブサイトのコンテンツの改善・充実、ディスクロージャーの向上を行なっていましたが、広告宣伝にお金をかけられないというジレンマがあります。そこで私たちの取った方針は、お金がかからないことから、できることを徹底的に行なうというスタンスを取ることでした。もともと当社内にETFセンターを設置したときのスローガンが「ETFのことなら、商品企画からゴミ拾いまで」でした。
ETFのウェブサイトの日本語のコンテンツが理想形になってくると、コンテンツの英語化も進めました。ETFの売買のメインプレイヤーが外国人でもあるためです。さらに海外に行く機会があれば、必ず現地の証券会社に往訪させてもらい、日本の(当社の)ETFについて、仕組みや制度、設定・交換(解約)のフローを説明、情報交換を行いました。日本のETFは、米国等の海外ETFとはかなり違う設定・交換フローとなっており、元々言語の壁があって知られていないのが現実です。税金・取引コスト(場口銭)等で、海外市場より効率的であるとか、受け渡しでフェイルが起きないといった日本のETF市場のメリットも紹介してきました。時々日本の常識は海外の非常識といわれますが、ETFの世界にも同じことがあります。米国ではETFのポートフォリオ開示は日々開示がスタンダードですが、私がETFの仕事を始めて間もないころ、その事実を知って驚かされたことを思い出しました。
こんなふうに書いていると、私は英語が堪能と思われるかもしれませんが、実は、そのようなことは決してありません。一人で海外出張をすることも多いのですが、英語で説明をしているときは脂汗をかきまくっています。ただ、真剣に伝えようとやっているので、有難いことに相手もちゃんと聞いてくれます。
今回のアジア太平洋地区のナンバーワンETF会社としての表彰は、Webサイトのコンテンツとその脂汗を評価してもらったのかもしれません。
ETFビジネスのターゲットを、日本における最終投資家だけでなく、ETFの売買を行なう証券会社等や、海外におけるセカンダリー市場の海外投資家と捉えています。地道ではありますが、皆さまの意見をお聞きし、ニーズをくみ上げて、総合的なサービスの改善に努めて行きたいと思います。それが評価されたと思われる今回の表彰は大変うれしいものです。引き続きご評価いただけるように努めてまいりますので、どうぞ日興アセットマネジメントのETF、上場インデックスファンドをよろしくお願いいたします。
*当該評価は過去の一定期間の実績を分析したものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
以上