米FRB(連邦準備制度理事会)は、金融界が注目するなか数年ぶりとなる利下げを実施し、0.50%の大幅利下げを行った。これを受けて、米国債利回りは全般的に低下し、短期債利回りがより大幅に低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.28%低下の3.64%、10年物の指標銘柄で同0.12%低下の3.78%となった。
米国の労働市場が急速に軟化している兆しや米FRBがハト派的な兆候を示したことを受けて、8月の米国債利回りは一段と低下した。7月の米FOMC議事録では出席者の「大半」が金融緩和を行う準備が出来ているとの見方をしていることがさらに示された。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.34%低下の3.92%、10年物の指標銘柄で同0.13%低下の3.90%となった。
当月の米国債市場は、米FRB(連邦準備制度理事会)の今回の利下げサイクルにおける初回利下げが大幅に前倒しされるとの見方が市場で広がるなか、大きく上昇した。FRBが政策金利を据え置いたことを受けて、利回りは月末最終日に全般的に低下した。
当月の米国債利回りは、複数の主要経済指標が市場予想を下回ったことを受けて、あらゆる年限で低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.12%低下の4.76%、10年物の指標銘柄で同0.10%低下の4.40%となった。アジア域内の5月の総合インフレ率は、中国、マレーシア、タイ、シンガポール、フィリピンで加速する一方、インドネシア、インド、韓国でやや鈍化した。
5月の米国債市場はボラティリティがやや高まった。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.162%低下の4.87%、10年物の指標銘柄で同0.181%低下の4.50%となった。アジア域内では、インフレ動向がまちまちとなった。また、マレーシア、インドネシア、韓国、フィリピンの各中央銀行は政策金利の据え置きを決定した。
米FRB(連邦準備制度理事会)が緩和サイクルへの転換を先送りする可能性をめぐる懸念が強まるなか、4月は米国債が大幅に下落した。当月発表された経済指標に目を向けると、労働市場が堅調に推移したほか、インフレ率が市場予想を上回る結果となった。
月初には主要中央銀行の声明などを受けて米国債利回りが大幅に低下した。発表された米国のインフレ指標が底堅さを示したことを受けて、ドットチャート(政策金利見通し)が上方修正されるかもしれないとの懸念が広がるなか、債券利回りは反転上昇した。その後公表された米FRB(連邦準備制度理事会)高官による最新の予測では、引き続き2024年内に3回の利下げを見込んでいることが示された。
米国経済が引き続き底堅く推移していることを受けて、投資家のあいだでは米FRB(連邦準備制度理事会)の早期利下げ観測を修正する動きがさらに進んだ。月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.411%上昇の4.62%、10年物の指標銘柄で同0.338%上昇の4.25%となった。
昨年10月中旬以降、大幅に低下してきた米国債利回りは、米FRB(連邦準備制度理事会)が利下げは当面ないと示唆したことを受けて、投資家のあいだでFRBによる早期利下げ開始への期待を修正する動きがみられたため、1月は反転上昇した。月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.042%低下の4.21%、10年物の指標銘柄で同0.033%上昇の3.91%となった。
12月の米国債市場は、発表された様々なデータを受けて米FRB(連邦準備制度理事会)が2024年に利下げに踏み切るとの市場の見方が引き続き支えられるなか上昇した。FRBは、12月に3会合連続でFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を据え置き、また2024年に3回の利下げを行うことを示唆した。月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.431%低下の4.25%、10年物の指標銘柄で同0.447%低下の3.88%となった。
11月の米国債市場は、様々な指標が景気減速を示唆する内容となったことや、タカ派とされる米FRB(連邦準備制度理事会)の理事が金融政策引き締めへの積極的な姿勢を後退させる可能性を示唆したことを受けて上昇した。月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.407%低下の4.68%、10年物の指標銘柄で同0.604%低下の4.33%となった。
当月の米国債利回りは大きく変動し、経済指標が引き続き米国経済の底堅さを示したことを受けて、米国債10年物の利回りは16年ぶりの高水準となる5.02%へと上昇した。
9月の米国債市場は、利回りが上昇を続けるなかイールドカーブがスティープ化した。原油価格の上昇を受けてインフレが継続するとの懸念や高金利の長期化が、米国債市場低迷の主な要因となった。
8月の米国債市場は、米国の経済成長が底堅く推移している兆しが強まったことや資金調達ニーズが高まっていること、格付け機関フィッチレーティングスが米国債の格付けを引き下げたことを受けて、月初に下落した。
米FRB(連邦準備制度理事会)は、7月に開催した会合で0.25%の利上げを実施し、政策金利の誘導目標レンジを5.25~5.50%へと引き上げた。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.021%低下の4.88%、10年物の指標銘柄で同0.122%上昇の3.96%となった。
6月の米国債利回りは比較的狭いレンジで推移し、短中期部分がアンダーパフォームした。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.495%上昇の4.90%、10年物の指標銘柄で同0.193%上昇の3.84%となった。
5月は米国債のイールドカーブが総じて上方にシフトし、月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.397%上昇の4.41%、10年物の指標銘柄で同0.222%上昇の3.65%となった。
4月の米国債利回りは比較的小幅なレンジで推移し、中期債がアウトパフォームした。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比約0.02%低下の4.01%、10年物の指標銘柄で同0.05%低下の3.43%となった。
現地通貨建てアジア債券は、インフレ減速を背景に域内各国の中央銀行が利上げサイクルを終了するのに伴い、好パフォーマンスが予想される。良好なファンダメンタルズ、質の高さを伴う利回り、低い外国人保有比率といった他の要素も、この債券資産クラスの追い風になると考える。
3月の米国債市場はボラティリティの高い展開となった。月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.79%低下の4.03%、10年物の指標銘柄で同0.45%低下の3.47%となった。
3月上旬、米国のシリコン・バレー銀行(SVB)が突然破綻したことで、投資家はこの破綻が世界中の銀行に波及する兆候の有無を固唾を呑んで見守った。このことは、クレディ・スイス(CS)など、世界の大手銀行の株式、債券の売却を誘発した。CSの問題は、同行の年次報告書の公表直前に米国の規制当局が過年度の財務諸表に関する照会を行い公表延期になったことを契機に一気に深刻化した。
2月の米国債市場はイールドカーブ全体にわたって利回りが大幅に上昇し、月末の利回り水準が2年物の指標銘柄で前月末比0.62%上昇の4.82%、10年物の指標銘柄で同0.41%上昇の3.92%となった。
1月の米国債市場は利回りが低下し、月末の利回り水準が2年物の指標銘柄で前月末比約0.226%低下の4.203%、10年物の指標銘柄で同0.366%低下の3.511%となった。
12月の米国債市場は利回りが上昇し、月末の利回り水準が2年物の指標銘柄で前月末比約0.12%上昇の4.43%、10年物の指標銘柄で同0.27%上昇の3.87%となった。
11月の米国債市場は利回りが概して低下し、月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.173%低下の4.312%、10年物の指標銘柄で同0.443%低下の3.607%となった。アジア諸国の10月のインフレ圧力はまちまちとなった。マレーシア、インドネシア、韓国、フィリピンの中央銀行は11月に政策金利を引き上げた。
10月の米国債市場は利回りが上昇し、月末の利回り水準が2年物の指標銘柄で前月末比0.205%上昇の4.485%、10年物の指標銘柄で同0.218%上昇の4.050%となった。アジア諸国の9月のインフレ圧力は概して高止まりした。当月は、MAS(シンガポール金融通貨庁)が為替政策の引き締めを実施するとともに、インドネシアと韓国の中央銀行が主要政策金利を引き上げた。
9月の米国債市場は利回りが上昇した。月末の利回り水準は2年物で前月末比0.786%上昇の4.281%、10年物で同0.637%上昇の3.832%となった。アジア諸国のインフレ圧力は8月も総じて高止まりした。当月は、マレーシア、タイ、インド、インドネシア、フィリピンの中央銀行が主要政策金利を引き上げた。また、フィリピンやインドネシア、タイの金融当局はインフレ予想を引き上げた。
8月の米国債市場は、利回りが上昇するとともに短・中期債がアンダーパフォームした。利回り上昇の要因には、失業率が小幅に低下するなど米国の雇用統計が良好な内容となったことや、ドイツ国債の利回りが上昇したことが挙げられる。米FRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長からは、インフレ抑制に向けて「金融政策手段を強力に行使する」との公言を含め、タカ派的な発言がみられた。月末の利回り水準は2年物で前月末比0.608%上昇の3.495%、10年物で同0.543%上昇の3.195%となった。
2022年6月までの12ヶ月間、アジアのクレジット市場は、信用スプレッドの拡大と米国債利回りの大幅上昇を受けて、トータルリターンが-12.8%となった。 同期間におけるアジアのハイイールド社債は、信用スプレッドの拡大が約2.91%に及んでトータルリターンのマイナス幅が30.4%に至った。
7月の米国債市場はイールドカーブがフラット化して長短金利が逆転した。米FRB(連邦準備制度理事会)は0.75%の利上げを行い、ECB(欧州中央銀行)も月半ばに市場予想を上回る0.5%の利上げを実施した。その後、ジェローム・パウエルFRB議長の発言と米国経済のマイナス成長を示したGDP(国内総生産)を受けて、米国債利回りは低下した。
6月の米国債市場は利回りが上昇した。米FRB(連邦準備制度理事会)が0.75%の利上げを実施する一方、ECB(欧州中央銀行)は7月に資産購入プログラムを終了し利上げを開始すると発表した。米国ほか先進国の経済指標が発表されると、リセッション(景気後退)に陥るのではとの懸念が浮上した。
5月の米国債市場は、米国におけるCPI(消費者物価指数)インフレの鈍化、国内株式市場の下落、経済成長懸念の再燃を受けて利回りが低下した。月末の利回り水準は2年物で前月末比0.159%低下の2.559%、10年物で同0.091%低下の2.847%となった。
4月の米国債市場はイールドカーブ全体で利回りが上昇した。月初に公表された3月のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録がタカ派的な内容だったことをきっかけに、続いて総合CPI(消費者物価指数)上昇率が加速したことや米FRB(連邦準備制度理事会)のガイダンスがタカ派色を強めたことも、利回りの上昇を促した。
3月の米国債市場は、米FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ抑制への決意を示したことを受け、イールドカーブ全体にわたって利回りが上昇するとともに短期債が長期債をアンダーパフォームした。月末の米国債利回りは、10年物が前月末比0.514%上昇の2.341%となったのに対し、2年物が同0.902%上昇の2.337%となった。
2月の米国債市場は利回りが上昇し、月末の水準は2年物で前月末比0.255%上昇の1.43%、10年物で同0.048%上昇の1.83%となった。
米FRBが引き締めサイクルをより積極化させるとの見方の強まりを受けて、米国債は売り込まれた。このことは投資家にとって2022年のこの先何を意味するかという点について当チームの見解を紹介するとともに、アジア債券市場の見通しについて議論していく。
1月の米国債市場は、米FRB(連邦準備制度理事会)が引き締めサイクルを積極化するとの見方が強まったことを主因に利回りが上昇し、月末の水準は2年物で前月末比0.445%上昇の1.18%、10年物で同0.267%上昇の1.78%となった。
12月の米国債市場は利回りが上昇し、月末の水準は10年物で前月末比0.066%上昇の1.51%となった。アジアの大半の国では、供給の不足を受けて11月のインフレ圧力が引き続き高まりを見せた。当月、アセアン諸国の中央銀行とインド準備銀行は政策金利を据え置き、自国景気の回復を持続させるべく緩和的環境を維持することとした。中国人民銀行は、RRR(預金準備率)と1年物LPR(「ローンプライムレート」、最優遇貸出金利)を引き下げ、一方で外貨RRRを2.00%引き上げた。その他、中国共産党の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会は、2022年の経済における最重要課題として「安定」を強調した。
11月の米国債市場は利回りが低下し、月末の米国債利回りは10年物で前月末比0.108%低下の1.45%となった。アジアでは、10月のインフレ圧力がフィリピンを除くほとんどの国で高まった。域内諸国の第3四半期のGDP(国内総生産)は、当該期間における新型コロナウイルス感染者数の増加を受けて前年同期比の成長率が鈍化した。
10月の米国債市場は前月に続いて利回りが上昇した。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.222%上昇の0.499%、10年物で同0.067%上昇の1.555%となった。中国、韓国、シンガポールでは、2021年第3四半期の経済成長が鈍化を示した。一方、MAS(シンガポール金融通貨庁)は為替政策における自国通貨高誘導の「傾き」(上昇ペース)を引き上げ、またRBI(インド準備銀行)は金融システムから過剰流動性を吸収した。
9月の米国債市場は、米FOMC(連邦公開市場委員会)で資産購入の緩やかな縮小がついに11月にも開始されると示唆されたことを受けて、利回りが上昇した。エネルギー価格が急騰している最中に欧州や中国で電力不足がエスカレートしインフレ懸念を駆り立てたことも、利回り上昇を一層促した。一方、中国における停電の発生や恒大集団(Evergrande Group)破綻の可能性に脅かされて同国の経済成長見通しに対する不安が強まったため、リスク・センチメントが悪化した。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.067%上昇の0.28%、10年物で同0.178%上昇の1.49%となった。
8月の米国債市場は、米国の雇用統計が市場予想を上回る雇用の伸びを見せたことを受けて、利回りが上昇した。米FRB(連邦準備制度理事会)の一部高官によるタカ派的発言も利回りの上昇を促した。ジャクソンホール会議にかけても利回りは再び上昇したが、同会議ではジェローム・パウエルFRB議長が同中銀による利上げ時期が先送りされる可能性を示唆した。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.024%上昇の0.21%、10年物で同0.087%上昇の1.31%となった。
7月の米国債市場ではイールドカーブがブル・フラット化した。FOMC(連邦公開市場委員会)の会合は大した材料とはならなかったが、資産買入れに関するフォワード・ガイダンスが若干変更され、同委員会の目標に向けて進展がみられたとの見方が示された。ただし、テーパリング(量的緩和の漸進的縮小)の開始に必要な「一段の大幅な進展」には依然至っていない。月末の米国債利回りは5年物指標銘柄で前月末比0.20%の低下、10年物指標銘柄で同0.25%低下の1.22%となった。
6月の米国債市場では短期債がアンダーパフォームし、イールドカーブがフラット化した。米FRB(連邦準備制度理事会)がよりタカ派寄りのスタンスに転換したことを受けて、米国債のイールドカーブは月半ばに大きくフラット化した。とりわけ、FOMC(連邦公開市場委員会)メンバーの金利予測の分布をチャート化した「ドット・プロット」の中央値によると、前回3月分で利上げが予測されていなかった2023年において、足元では2回の利上げが示唆されている。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.107%上昇の0.25%、10年物で同0.127%低下の1.47%となった。
5月の米国債利回りは比較的狭いレンジでの動きとなった。コモディティ価格の上昇や米国の総合CPI(消費者物価指数)およびPPI(生産者物価指数)上昇率の大幅加速を受けて、インフレ懸念が再燃した。4月のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録では、FRB(連邦準備制度理事会)が資産購入の縮小について間もなく協議を開始する可能性があることが示唆された。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.019%低下の0.143%、10年物で同0.032%低下の1.596%となった。
4月の米国債利回りは安定化した。米国の国内経済指標が景気加速を確認する内容となりインフレ指標も市場予想を上回ったにもかかわらず、債券利回りは低下基調に転じた。米FOMC(連邦公開市場委員会)の声明では、金融政策の方向性に関する新たな変更は発表されなかったが、経済見通しについてはより明るいトーンが示された。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.001%低下の0.161%、10年物で同0.115%低下の1.628%となった。
3月の米国債市場ではイールドカーブのスティープ化が一層進んだ。米国で国内の経済指標が予想を上回る好調さを見せたこと、1.9兆米ドルの景気対策パッケージが議会で可決されたこと、新型コロナウイルスの日次感染率が低下するなかでワクチン接種率が上昇したことを受けて、市場では向こう数四半期における経済成長の加速の織り込みが進んだ。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.032%上昇の0.162%、10年物で同0.335%上昇の1.742%となった。
長らく低迷してきたインフレが再加速する可能性を受けて、2月の米国債利回りは大幅に上昇した。米国の好調な経済指標、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンに関するポジティブな動向、米国の財政支出拡大見込みが重なり、インフレ懸念の高まりを招いた。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.019%上昇の0.13%、10年物で同0.34%上昇の1.41%となった。
1月の米国債市場はイールドカーブがスティープ化した。米国の財政支出拡大見込みを受けて、米国債利回りは年初に急上昇した。月後半には、米国株式市場のバリュエーションが高水準にあることやCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のワクチン接種が一様には進んでいないことに対する懸念から、市場でリスク回避志向がある程度強まった。
12月の米国債市場では、イールドカーブがややスティープ化した。月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.027%低下の0.122%、10年物で同0.075%上昇の0.915%となった。当月は、欧州(特に英国)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染者数の増加や米国の財政出動に関する不透明感をめぐって、投資家の懸念が強まった。