【第13回】2時間目:大切なのは「大ざっぱで楽観的」でいる努力
基本コンセプト「土台と柱と器」
- 2019年04月08日
気にしなくて済むための分散
前回は、「市場は突然上がるもの。だから出たり入ったりを繰り返すのでなく、概ね大丈夫だと思うならずっと居続ける方が賢明」というくらいの感覚を、私達はお勧めしたいとお話ししました。
とはいえ値動きは気になるもの。できるだけ気にしないで済むようにするためにもお勧めしたいのは、複数の投資資産への分散です。買い時とか売り時とかを気にしなくていいような状態にするためには、色んなものを混ぜて複数を買う、あるいは最初から混ざったものをひとつ買う、というのが具体的な解決策です。
ところで、現在日本には6,000本くらいのたくさんの投信があります。そんなにあったら、何が何だか分からなくなりそうですが、実はどんな投信もこの絵のように「3×3」の箱で分類できます。
投資対象の証券、私達はつい「アセットクラス(投資資産)」などと英語で言ってしまいますが、これは大きく3種類しかありません。株と債券とリート(REIT)です。それぞれが何かは後でご説明しますが、今は3種類の投資対象があり、それぞれに国内と海外があると押さえておいてください。この絵では、海外は先進国と新興国に分けています。
この3×3=9の「マス」のどれか、または組み合わせでしかないと考えれば、投信選びも少しは気が楽になりませんか。もし既に何かお持ちの方だったら、改めて自分はどことどこに投資しているのかな、とマスに丸をしてみるといいと思います。最初から複数がパッケージされているバランスファンドをお持ちなら、その投信の中身はこのマスのどことどこをカバーしているのかを、確認してみてください。
値動きを気にならなくするための究極は、このマスを全部カバーしておくことでしょうかね。そうしたら、上がるものもあれば下がるものもあって、いちいち気にしていられなくなりそうですね。まぁそれは極端だとしても、できるだけ複数のマスを埋めて持っておく方がよさそうです。もちろん、全て等しい金額である必要はありません。金額の濃淡に唯一の正解はなく、その人の考えによって変わるべきです。
例えば、10年先、20年先の老後資金をできるだけ増やすための投資をしたいなら、やはりお金を増やす「エンジン役」としての株式のマスは埋めていることが必須でしょう。値動きが大きいのはちょっと、という方や、そこまで大きく増えなくてもいいんだという人は、エンジン役は少なめにして、「クッション役」である債券を多めにした方がいいという考え方もあり得ます。
土台と柱と器
そうした基本方針を具体的に考える助けになるかな、と思うコンセプトをここで紹介します。この絵です。
これはここ数年日興アセットがご提案している「土台と柱と器」というコンセプトで、金融資産の設計を家の建築設計にたとえたものです。世の中でよく目にするのは「投信をいかに効率的に組み合わせるか」という、ポートフォリオとか資産配分(アセットアロケーション)の話ですが、一般個人にとって大事なのは、投信や投資資産の適切な組み合わせといった難しい話ではなく、もっと大きな「預貯金も含めた全体設計」をザックリとでも行なうことではないでしょうか。
この絵で考えると、具体的に「どんな投信を、どんな目的で、どんな順番で」買っていったらいいかを自分なりに考えられるようになります。さっきの3×3=9のマスの絵は、投信の中身を整理するのに便利でしたが、いざ何かを買おうとした場合、どこから踏み出せばいいかはクリアではありません。具体的なアクションについてはこちらの絵を使って考えてみることをお勧めします。
さて、家の建築と同じように、預貯金を含めた全体設計の場合も「下から順に上に」組み上げて行きます。次回以降、ひとつずつ説明していきます。
セミナー実況中継 ~前を向く人の、投資信託~
- 【第1回】はじめに
- 1時間目 「投資が必要」は本当に本当なのか?
- 2時間目 大切なのは「大ざっぱで楽観的」でいる努力
- 3時間目 株・債券・リートの必要十分知識
- おまけ 少し当社のことを聞いてくださいますか
※本記事は日興アセットマネジメントが「セミナー実況中継 ~前を向く人の、投資信託~」として出版した内容より抜粋したものです。
講師
今福 啓之(いまふく ひろゆき)
日興アセットマネジメント マーケティンググローバルヘッド
2008年2月に「日興AMファンドアカデミー」を開校、金融商品やサービスについてわかりやすくご説明することの重要性を深く認識し、長年にわたり投資に関する正しい知識を学んでいただけるようなプログラムを推進している。
●当資料は、日興アセットマネジメントが投資信託についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。
●掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。また記載内容の正確性を保証するものでもありません。
●投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。