【第20回】3時間目:株・債券・リートの必要十分知識
具体的な「覚悟」を持っておくのは意味がある

具体的な「覚悟」を持っておくのは意味がある

  • 2019年06月07日

「どれくらい動くか、特に下の方に」

さて、3つの投資資産については必要十分、というか、かなり深いところまで理解していただきました。原理原則的な大きな理解を持って、長期的な視野で付き合っていただきたいと思います。その際「とはいえ、どれくらい動くか、特に下の方に」というのは、長期保有で成功するための「前向きな覚悟」として持っておいてもいいかもしれません。

ここでご参考までに、株・債券・リートの過去のデータを見ていただきます。ちなみに過去のデータというのは、その時々の経済環境が違うので、それぞれの上昇率や下落率を平均化したところで大した意味を持ちません。過去20年の世界株式の年間のリターンが仮に平均で5%だとしても、+50%の年もあれば-50%の年があったかもしれませんよね。それを算数的に平均化しても、預貯金の利率のような「今年5%」を意味しないことは、ここまで読んでくださった皆さんならお分かりのはずです。

ですので、平均ではなく大きさの推移を見ていくことが有用です。まずは株式です。

株価指数の年間変化率


1年間で計測すれば、日本株は2001年の年初から年末までで20%値下がりした、2002年も18%値下がりした、でも2003年には24%も値上がりした、ということが分かります。ここ16年間では2013年が年間で51%上昇と一番大きかったですね。2008年の42%の下落はリーマン・ショックの年だからという面が大きいですかね。とまぁ、そんな感じで読み取れます。海外の株式については為替レートの動きも反映しています。もし海外の株価が下がったのに加え、為替が円高になったとしたら、日本人の私達から見るとダブルパンチでマイナスになったという具合です。

主に先進国からなる「海外株式」より「新興国株式」の方が値動きが大きいのが分かりますね。成長期待が大きい新興国の方が上昇も下落も大きくなりがちというのは、皆さんもイメージ通りではないでしょうか。

債券とリートも同じように計算しました。


債券・リート指数の年間変化率


こうして見ると、債券はやはり株に比べてマイルドですね。同時に「債券も結構動くもんなんだな」という印象も受けます。リートはというと、1年で30%とか40%など、時に株式並みに上がっていますね。2008年の下げがマイナス55%と大きかった背景は、先ほどお話した通りです。

債券とリートについても、海外の資産なので為替レートの変動分が含まれています。日本人である私達が海外に投資する場合、どうしてもこの為替変動リスクが発生しますが、私は「為替は原則分散で」という考え方をお勧めします。為替、つまりその国の通貨自体は利子も生みませんし、長く持てば上がるという性質もありません。なのに、どこかひとつの国の通貨だけで投資するのは結構大胆な賭けになってしまう可能性があります。ですから、海外に魅力的な投資資産があったとしても、ひとつの国・地域だけに投資するのはできれば避けたい。できれば複数の国・通貨に分散しておくのが望ましいと思います。

 セミナー実況中継 ~前を向く人の、投資信託~

※本記事は日興アセットマネジメントが「セミナー実況中継 ~前を向く人の、投資信託~」として出版した内容より抜粋したものです。

講師 今福 啓之

講師
今福 啓之(いまふく ひろゆき)

日興アセットマネジメント マーケティンググローバルヘッド
2008年2月に「日興AMファンドアカデミー」を開校、金融商品やサービスについてわかりやすくご説明することの重要性を深く認識し、長年にわたり投資に関する正しい知識を学んでいただけるようなプログラムを推進している。



●当資料は、日興アセットマネジメントが投資信託についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。
●掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。また記載内容の正確性を保証するものでもありません。
●投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。