【第19回】3時間目:株・債券・リートの必要十分知識
リートは、株と債券の両方の側面がある

リートは、株と債券の両方の側面がある

  • 2019年05月30日

株式と債券に次ぐ第3の選択肢として出てきたニューフェースがリート

次はリートです。英語でREITと書かれる場合があるのは、Real Estate Investment Trustの頭文字だからでして、日本語では「不動産投信」と言われます。「投信」という訳になるので誤解されがち。少し丁寧に話しますね。

日本の投資信託の投資対象には、長いこと主に株式と債券の2種類しかありませんでした。そこに第3の選択肢として出てきたニューフェースがリートです。つまり、投信にとってのリートは、株と債券と同じ有価証券というわけです。日本語訳が「不動産投信」なので混乱しますが、あくまでも株と債券と同じく市場で取引されている証券で、日々投資家に売買され、価格が上がったり下がったりしています。

誤解されがちと言ったのは、リートという言葉が、株や債券と同じ有価証券の名前でありながら、それを発行している主体(法人)の総称でもあるからです。つまり「リート法人」が資金を集めるために発行した「リート証券」のうち上場しているものを、日興アセットなどが作る「リートファンド」が買ったり売ったりしている、という関係性になります。

「リート法人」とは、非常に大ざっぱに言えば、賃貸業に特化した不動産会社みたいなものでして、賃貸物件を保有して賃料を収入としている会社です。オフィスビルに特化したリートもあれば、ショッピングセンターを保有して入居するブティックを入れ替えたりして賃料を稼ぐリートもあります。

その「リート法人」が発行する「リート証券」はどんな性質があるのでしょう。株式はシンプルで長期ではその企業の利益にリンクしていると考えられる、債券は価格が上下するものの定期的な利払いがコツコツ入ってくる安心感がある、と説明しましたよね。リートはその両方の側面を持っています。債券の利払いにあたる定期的な利払いは結構高めの水準です。しかも比較的安定しています。それは、「リート法人」の収益源泉である賃貸物件の賃料というものが、そんなにコロコロと変わるものではないからです。そして「リート証券」の価格自体も、株と同じように「リート法人」の収益動向に長期的にはリンクしていきます。保有している物件の立地条件が良くて、あるいは景気が良くなって賃料の値上げができたような「リート法人」の「リート証券」は人気を集めて価格が上がりがちですし、逆の場合は価格が下がりがちです。

日興アセットなどが作る「リートファンド」は、株式や債券のファンドと同じように、その価格の上下を見ながら組み入れるべき「リート証券」を選別して買い付けたり、価格が高すぎるなと思ったら売却したりするわけです。

リートとの付き合い方は、「これから」の面も

先ほど「株と債券の両方の側面がある」と言いましたが、リートの価格はこれまでのところ意外と大きく変動してきたということを知っておいてください。リーマン・ショックまでの数年間で大きく上がったのはリートで、リーマン・ショックによって大きく下がったのもリートだったんです。

不動産賃貸という比較的安定的なビジネスをやっているがゆえに魅力的な投資資産であるリート。株式とも債券とも違う動きをすることによる「分散効果」が期待できる投資資産であるリート。しかし、比較的歴史が浅い投資資産でもあったため、リーマン・ショック前まではいわば人気先行で買い上げられ、価格が上がり過ぎていた面があったかもしれません。だからこそリーマン・ショックでは結構大きく下がってしまった。それから10年経った今、リートはこなれてきた感じがします。株式と債券の両方のいい面を持つ新しい投資資産として冷静に評価し、上手に活用していきたいといった感じでしょうか。

 セミナー実況中継 ~前を向く人の、投資信託~

※本記事は日興アセットマネジメントが「セミナー実況中継 ~前を向く人の、投資信託~」として出版した内容より抜粋したものです。

講師 今福 啓之

講師
今福 啓之(いまふく ひろゆき)

日興アセットマネジメント マーケティンググローバルヘッド
2008年2月に「日興AMファンドアカデミー」を開校、金融商品やサービスについてわかりやすくご説明することの重要性を深く認識し、長年にわたり投資に関する正しい知識を学んでいただけるようなプログラムを推進している。



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