市場はボラティリティが高い状態ながらも回復基調となり、足元で貿易を巡る緊張の緩和が見受けられるようになっている。しかし、この不確実な状況のなかで唯一確かなのは、何が起こるかわからないということだ。
当月はトランプ米大統領が貿易戦争の口火を切ると、そのニュースを受けてリスク資産をめぐるセンチメントが悪化し、ほとんどの金融資産においてボラティリティが大幅に高まった。それにもかかわらず、グローバル株式(MSCI All Country Worldインデックス)は当月の最初の8日間で10%程度下落したものの最終的に0.74%上昇した(米ドル・ベース)。
当月は、ドナルド・トランプ米大統領の経済政策を受けて債券市場に警戒感が広がり、米国債市場のボラティリティが高まった。月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.28%低下の3.61%、10年物の指標銘柄で同0.04%低下の4.16%となった。
世界貿易の先行きが依然不透明であることから、今後数ヵ月にわたり中国当局による消費や企業活動へのより積極的な政策支援が期待される。ボラティリティが高止まりしているとともに米中間の貿易政策を巡る先行き不透明感はあるものの、状況改善の可能性を示唆する明るい兆しもある。
大手格付け会社ムーディーズ・レーティングスは 5 月 16 日、米国の信用格付けを最高位の Aaa から Aa1 へ引き下げることを発表した。この引き下げの主因は根強く続く米国の財政赤字とされている。当社ではこのリスクについて(3 月に発行したグローバル投資委員会による中期展望などで)以前から何度も指摘してきたが、これこそ、米国経済の中期的先行きにかかわらず同国でターム・プレミアム(債券の残存期間の長さに伴う上乗せ利回り)が高止まりする、と当社が予想している大きな理由である。
自然関連のリスクと機会は、世界の投資テーマのなかで急速に浮上してきている。しかし、多くの投資家にとって依然課題なのは、生物多様性に資金を提供するスケーラブルで信頼できる方法を見出すことだ。ソブリン・グリーンボンドは、自然にとってプラスの成果をもたらす方向への資金誘導を、透明性を担保しながら大きな規模で行うことができる最も有効なチャネルの1つかもしれない。
当月は関税のニュースが市場の動きに大きな影響を与え、グローバル株式はMSCI All Country Worldインデックスで4.2%下落した(米ドル・ベース)。米国では、関税関連の発言を受けて、インフレ圧力の長期化と景気悪化への懸念が再燃した。市場の注目が貿易関連の動向に集まるなか、「解放の日」として4月2日に発表された相互関税は、世界の貿易システムと金融市場に衝撃をもたらしている。
4月10日、グローバル投資委員会(GIC)は臨時会合を開き、4月2日に米国が発表した関税措置がマクロ経済と市場に与える影響、そしてその後のアクションと市場の反応についてレビューを行った。会合の直前、関税の発表によって市場は大きく混乱し、米国経済と貿易相手国の経済の行方に対する不透明感が強まっていた。
中国不動産市場は厳しい状況に直面しているが、住宅セクターへの信頼感回復に向けた取り組みは順調に進んでいる。政府と国内不動産グループ各社にとって道のりは依然厳しいが、住宅セクターの見通し改善が期待されるなか、中国の不動産関連債券市場に対する投資家の関心が再び高まる兆しがみられている。
ドナルド・トランプ氏が米国大統領に返り咲いて以来、事態は波乱に満ちていると言っても過言ではないだろう。世界秩序を根底から覆しかねない「トランプ関税」の実施に加え、新政権は陣頭指揮を執ってサステナビリティの取り組みをリセットしており、それが政府レベルでも企業レベルでも展開されている。
米国政府との貿易戦争が激化するなか、中国は個人消費計画の概要を示すなど国内消費の押し上げを 2025年の最優先課題として重視しており、好ましい方向に進んでいる。米国の政策の不確実性がもたらす世界的な景気減速の悪影響を抑制するには、各国が国内で景気刺激策を実施していくことができるかどうかが重要になる。
2024年11月の米大統領選挙でドナルド・トランプが大勝したというニュースが流れると、多くの国や企業は貿易戦争の再発を覚悟した。しかし今回、この第47代アメリカ大統領は前の任期よりもさらに踏み込み、敵味方問わない全面的な関税を打ち出した。共和党が上下両院で過半数を占めたことで、トランプ大統領はほぼ歯止めの利かない権力を手にすることとなり、このような極端な政策につながった。
当月に入ると、米国の関税政策に起因する世界的なマクロ経済の先行き不透明感の強まりを受けて、米国債利回りのボラティリティが高まった。月の後半には、米FRB(連邦準備制度理事会)が金融政策の据え置きを決定した。月末時点の米国債利回りの水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.11%低下の3.89%、10年物の指標銘柄で同横ばいの4.21%となった。
何十年もの間にわたってS&P500指数構成企業の利益率は拡大してきているが、その原動力となってきた要因は複数存在する。そうした要因のうちの2つで、あらゆるセクター、産業、企業規模にわたって何十年間も持続したものとして、前世紀後半から今世紀初頭にかけて金利と税率が着実に低下傾向を辿ってきたことが挙げられる。
ドナルド・トランプ米大統領は4月2日に「解放の日」を宣言し、当社や市場の予想を大幅に上回る関税を発表した。こうした関税の影響は、対米貿易黒字国が大部分を占めるアジアで特に顕著だった。アセアン諸国の多くと中国は30%を超える相互関税に直面するなど、特に大きな影響を受けた。
市場のボラティリティの高い状況がニューノーマル(新常態)となる可能性がある。しかし、先行き不透明感の強まりや、企業や国・地域間における多様性の拡大を受けてチャンスが生まれてくるかもしれない。
4月2日、米国はすべての国からの輸入品に10%の共通基本関税を課し(4月5日開始)、約60ヵ国に対してはより厳しい関税(貿易黒字が大幅な国に対しては最大50%)を課すという相互関税政策を発表した。例えば、日本に対して発表された基本関税率は24%、対中国は(従来の20%に加えて)34%、対台湾は32%、対EU(欧州連合)は20%で、対ベトナムでは46%にも上った。
我々はこの1週間、ホーチミン市で企業やアナリスト、政府関係者と対話したが、投資家のあいだでは慎重ながらも楽観的なムードが漂っていた。ベトナムは、輸出の低迷や債券市場の危機、重大な政変から持ち直して1年が経過し、転機を迎えている。目先の見通しは際立ったものには見えないかもしれないが、現在進められているより深い構造的シフトが、ベトナムを持続的かつ長期的な成長へと導く可能性がある。
2月の資産市場は両悪入り混じったパフォーマンスを見せ、株式が売り込まれる一方で債券は上昇した。グローバル株式の月間リターンはマイナスに転じ、MSCI Worldインデックスで-0.81%となった。地域別のパフォーマンスはまちまちで、米国ではS&P500種指数が1.42%下落する一方、欧州ではユーロ・ストックス50指数が3.34%上昇した。
緩やかながらも着実に金融緩和の脱却を進めている日銀は、1 月に短期金利を 17 年ぶりの高水準となる 0.5%に引き上げた。日本経済が数十年にわたる停滞から回復の兆しを見せるなか、金利ある世界に戻ることが日本の家計や企業、政府にどのような影響をもたらすのかを分析してみる。