変化は、アジア市場においてより一般的かつ際立っている。その理解に努めることは、持続的リターンをもたらすために不可欠である。
当月のアジア株式市場(日本を除く)は、インフレや米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ幅が従来の予想を上回る可能性をめぐり投資家のあいだで懸念が広がるなか、下落して米ドル・ベースの月間リターンが-5.2%となった。
4月の米国債市場はイールドカーブ全体で利回りが上昇した。月初に公表された3月のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録がタカ派的な内容だったことをきっかけに、続いて総合CPI(消費者物価指数)上昇率が加速したことや米FRB(連邦準備制度理事会)のガイダンスがタカ派色を強めたことも、利回りの上昇を促した。
米FRB(連邦準備制度理事会)がインフレを抑制するために「必要なことは何でもやる」可能性を市場が織り込むなか、先行きにはますます暗雲が立ち込めてきている。現在のインフレ圧力は供給サイドの制約とエネルギー価格の上昇が主因となっている様相であることを考えると、FRBはその使命を果たすために経済をリセッション(景気後退)に陥らせることも厭わない姿勢を余儀なくされるだろうということになる。
海外移住者のなかには自らの出身国とのつながりをめぐるジレンマに直面する者もいるかもしれないが、シンガポール在住中国人の筆者は、母国とのつながりがなくなったと感じたことが一度もない。その一因は、進化しているインターネット技術によってタイムリーなニュースが配信されてくることや、中国最大のSNSである微博(ウェイボー)を使い続けていることにあるが、したがって、「中国の特色ある社会主義」は依然として筆者に影響を及ぼしており、筆者の存在意義の支えとなり続けている。
当月のアジア株式市場(日本を除く)は、ロシア・ウクライナ紛争が嫌気されたのに加え根強いインフレ懸念も重石となって下落し、月間リターンが米ドル・ベースで-2.8%となった。
3月の米国債市場は、米FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ抑制への決意を示したことを受け、イールドカーブ全体にわたって利回りが上昇するとともに短期債が長期債をアンダーパフォームした。月末の米国債利回りは、10年物が前月末比0.514%上昇の2.341%となったのに対し、2年物が同0.902%上昇の2.337%となった。
中国経済について、目先の勢いの低下が懸念されている。まず、ウクライナ情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰が、原材料価格上昇による企業の利益率悪化と、ガソリン価格上昇などによる消費への悪影響を及ぼしている。しかし、石油・石炭は自国生産もあり、日本などと比べれば影響は小さいだろう。
安堵感からの相場上昇は常に心強いものだが、必ずしも暗雲が去って「正常な」市場環境に戻ることを示しているわけではない。市場は、①インフレを抑制するための中央銀行による一層の引き締め積極化、②コモディティ分野全体の供給ショックがもたらしているインフレ圧力の高まり、③ロシア・ウクライナ戦争そのものと大規模な対ロシア制裁措置による未知の波及効果など、先四半期に急速な展開を見せたかなり目まぐるしい一連の困難な材料を、まだ消化しきれていない。
3月22日、円が対米ドルで120円台に下落し、2016年2月以来約6年1ヵ月ぶりの円安水準となった。トランプ前政権時に105〜115円程度の幅で推移していた米ドル円がそのレンジ上限を超えるのは、「黒田バズーカ」影響下の市場環境以来であり、さらには、リーマン・ショック(2008年)以前のサブプライム・バブル時代を思い起こさせる水準である。
当月のアジア株式市場(日本を除く)は下落した。ロシア・ウクライナ間の緊張激化の結果、ついにロシアがウクライナ侵攻に踏み切ったことが嫌気されたのに加え、根強いインフレ懸念も株式市場の重石となり、月間リターンが米ドル・ベースで-2.3%となった。
価格上昇は、原油や天然ガスだけではない。日本経済新聞3月4日付「希少資源に調達危機ロシア・ウクライナ産7割依存も」によれば、ロシアやウクライナの依存度が高い自動車の排ガス触媒に使うパラジウム、半導体製造で必要なネオンなどの供給不足・価格上昇が予想されている。
ロシアのウクライナ侵攻とそれに続く世界的な軍事大国を巻き込んだ戦争は、投資家に大きな不透明感をもたらしている。世界各国は協調して非難を示しており、それを裏打ちする懲罰的制裁措置は、ほぼ間違いなくロシア経済に打撃を与えるとともに、世界の需要の大きな重石となる一方でインフレ圧力を高める可能性がある。
2月の米国債市場は利回りが上昇し、月末の水準は2年物で前月末比0.255%上昇の1.43%、10年物で同0.048%上昇の1.83%となった。
紛争と制裁、報復により、貿易面では「ロシアのいない世界」がやってくる。その転換期をスムーズにするためには、財政支出や銀行支援を行う必要がある。足元、株式市場の下げは総じて「政策を催促する」相場と呼んでよい。
帰省できなかった2年間を経てインドに帰り1ヵ月を過ごした私は、そこでの新常態に良い意味で驚かされた。コロナ禍は大きな苦難となってきたが、テクノロジーの普及などを中心にポジティブな変化も引き起こしている。
世界各国の中央銀行が10年で25兆米ドルもの流動性を経済に注入(うち6割超が創出されたのはここ2年)したらどうなるか、立ち止まって想像してみたことはあるだろうか?圧倒的多数の人が「いいえ」と回答するのは、間違いないだろう。
北京での冬季五輪(パラリンピックは3/13まで)が終わり、これからゼロコロナ対策の緩和期待が高まる。ここまでの中国経済は、特に消費面での回復が限定的であった。背景には、コロナ感染防止としての強い行動制限で消費が制約されたことや、不動産業界の不安定さへの懸念から不動産市場にもけん引力がなかったことなどがあった。
米FRBが引き締めサイクルをより積極化させるとの見方の強まりを受けて、米国債は売り込まれた。このことは投資家にとって2022年のこの先何を意味するかという点について当チームの見解を紹介するとともに、アジア債券市場の見通しについて議論していく。
年初のアジア株式市場(日本を除く)は、根強いインフレを受けて米FRB(連邦準備制度理事会)の引き締めサイクルが予想されたよりも積極化するかもしれないとの懸念から、厳しい展開を迎え月間リターンが米ドル・ベースで-3.10%となった。