マーケット・ビュー

 

グローバル債券市場 2022年の見通し

さて、結論から言うと、「一過性」という言葉は存在せず、唯一一過性なのは「一過性」という言葉そのものなのかもしれない。米FRB(連邦準備制度理事会)は、膨張するインフレへの対応として今やテーパリング(量的緩和の漸進的縮小)のペースを倍増させると予想されており、これを受けて債券市場は少なくとも売り込まれるだろうと思われた。 しかし、オミクロン株の登場により話は変わった。

Balancing Act 2021年12月

世界の見通しは依然ポジティブだが、新型コロナウイルスの最新の変異株であるオミクロン株の潜在的影響については、特に政府が海外渡航や一部では国内の移動に制限を加えるなど迅速に対応しているなか、あまりよく分かっていないのが現状だ。また、米FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が最近のコメントで、新変異株への懸念から期待されたハト派的傾向ではなくインフレ圧力への対応として敢えてよりタカ派的な姿勢を示したことも、市場センチメントへのさらなる重石となっている。

アジアの信用スプレッドは、マクロ環境と企業の堅調な信用ファンダメンタルズが引き続き追い風となっている。2022年にかけては、アジアの多くの国で経済成長が再び勢いを増すと考える。アジア企業は、収益の伸びが2021年比では若干ペースが落ちるとしても好調さを維持するとみられ、全体として堅調な信用ファンダメンタルズが続くと予想される。

On the ground in Asia 2021年11月

11月の米国債市場は利回りが低下し、月末の米国債利回りは10年物で前月末比0.108%低下の1.45%となった。アジアでは、10月のインフレ圧力がフィリピンを除くほとんどの国で高まった。域内諸国の第3四半期のGDP(国内総生産)は、当該期間における新型コロナウイルス感染者数の増加を受けて前年同期比の成長率が鈍化した。

進むデジタル化と米国株式の行方

米国を代表する株価指数の一つであるS&P500は、2020年末から約26%(12月10日現在)、最先端技術を有する企業を多く含む NASDAQ100は約 27%(同)上昇した。米国の株価指数は、新型コロナウイルス感染者数の増加にも拘わらず(医療提供体制が維持されたことなどから)、財政政策などによる支援継続で上昇した。NASDAQ100がS&P500を上回ったことでわかるように、総じてグロース株優位の相場が続いた。

フューチャー・クオリティー・インサイト 2021年12月

つい数週間前、筆者は2019年以来初めてとなる対面式のカンファレンスに出席した。世界最大級のテクノロジー・カンファレンスの1つ「ウェブサミット」のためにリスボンに押し寄せた人の数は4万人を超えた。

Harvesting Growth, Harnessing Change 2021年10月

当月のアジア株式市場(日本を除く)は上昇し、月間リターンが米ドル・ベースで1.4%となった。投資家の注目は引き続き、インフレ圧力の高まりや米FRB(連邦準備制度理事会)によるテーパリング(量的緩和の漸進的縮小)計画に集まった。

アジア債券 On the ground in Asia 2021年10月

10月の米国債市場は前月に続いて利回りが上昇した。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.222%上昇の0.499%、10年物で同0.067%上昇の1.555%となった。中国、韓国、シンガポールでは、2021年第3四半期の経済成長が鈍化を示した。一方、MAS(シンガポール金融通貨庁)は為替政策における自国通貨高誘導の「傾き」(上昇ペース)を引き上げ、またRBI(インド準備銀行)は金融システムから過剰流動性を吸収した。

インフレは悪いことなのか?

日本は2000年ごろから、米国でもリーマン・ショック後の2010〜11年ごろから、経済はデフレ(継続的な物価下落)を懸念する状態に陥っていた(日本は一時的にデフレを経験)。現時点、メディアなどでインフレ懸念が話題になっているが、デフレが「懸念」されていたのだから、インフレも「期待」されて良さそうなものだ。ここでインフレが懸念されている理由は、インフレが「供給ショック」から起きているからだろう。

Balancing Act 2021年11月

各国中央銀行の直近の政策決定会合は投資家に心待ちにされていた。それまでの市場は、従来の中央銀行のガイダンスが示すよりも早期の利上げを織り込み、インフレが一過性ではなくより厄介で長く続くものになるリスクの高まりを示唆していた。ここ数週間のグローバル債券市場では、短期ゾーンの利回りが上昇する一方で長期ゾーンの利回りが横這いにとどまるか低下しているが、このようなイールドカーブの大幅なフラット化も「政策ミス」の可能性を暗示しているように思われた。

日本の衆院選:信任得た岸田政権の政策に期待

10月31日の衆院選で、自民党は改選前から議席を減らしたものの、単独で261議席を獲得し、「絶対安定多数」を維持した。公明党との連立与党では293議席、改憲勢力の日本維新の会と合わせれば定数の3分の2を上回り、安倍政権以来の政治情勢を継続することになる。

アジア株式 Monthly Outlook 2021年9月

当月のアジア株式市場(日本を除く)は下落し、月間リターンが米ドル・ベースで-4.2%となった。中国の経済成長見通しに対する懸念や米FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和の漸進的縮小)計画が、市場センチメントの主な悪化要因となった。

米金利上昇が新興国に悪影響を及ぼすとはいえない

米国金利の上昇が新興国に悪影響を及ぼすのではないか、という懸念がある。しかし、そもそも「新興国」を一括りに分析することは不適切で、米国との貿易や金融の関係性が弱い国ではあまり影響を受けない。一方、関係性が強い国では、例えば米国への製品輸出が多いブラジル企業が米ドル建て社債を発行している場合、米国金利の上昇で米ドル建て債務の金利負担が増大するようにみえる。

アジア債券 Monthly Outlook 2021年9月

9月の米国債市場は、米FOMC(連邦公開市場委員会)で資産購入の緩やかな縮小がついに11月にも開始されると示唆されたことを受けて、利回りが上昇した。エネルギー価格が急騰している最中に欧州や中国で電力不足がエスカレートしインフレ懸念を駆り立てたことも、利回り上昇を一層促した。一方、中国における停電の発生や恒大集団(Evergrande Group)破綻の可能性に脅かされて同国の経済成長見通しに対する不安が強まったため、リスク・センチメントが悪化した。最終的に、月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.067%上昇の0.28%、10年物で同0.178%上昇の1.49%となった。

マルチアセット 2021年10月

ボラティリティは、当社がいずれそうなるだろうと予想していた通り高まっている。9月はリスクが再認識されやすい月だが、市場参加者が夏季休暇から戻ったら株式市場が史上最高値になっていたという状況は、近い将来に重大なリスク・イベントが数多く控えている現実とは相容れない。米FRB(連邦準備制度理事会)が遅かれ早かれ実施する予定のテーパリング(量的緩和の漸進的縮小)や、政局からもたらされる債務上限問題のストレス、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を受けた経済成長の鈍化など、一部のイベントは予想済みであったが、世界同時に近い形で発生したエネルギー不足はやや予想外であったと言える。

グリーンボンドを通じて影響度の高い気候対策に投資

過去5年間の平均気温は観測史上最も高いものとなった。2020年までの10年間で、地球の地表温度は産業革命前の時代(1850~1900年)と比べて1.09℃上昇した。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、気温上昇が2℃のレベルになると生態系や人間の健康への極めて深刻な影響が想定され、これを回避するためには地球温暖化を1.5℃未満のレベルで安定させることが非常に重要であると警告している。

中南米:コモディティ需要の旺盛な国々へのサプライヤー

誰もがインフレを気にしている。中央銀行の高官からパン屋の店主まで、インフレは最も大きな話題のひとつとなっている。多くのコモディティの価格が急上昇しているからだが、上昇の理由は様々で、供給の制約や需要の急増、悪天候などよりどりみどりだ。

景気回復の展開に適応し続ける

世界が落ち着こうとしている「ニュー・ノーマル」は、コロナ前の標準とはかなり異なるものになるとみられる。これに含まれるのは、「ウィズコロナ」の生活様式によって形作られる異なる需要パターンや、確固たる政策目的を伴う財政出動の継続などだ。かつてない規模の金融緩和政策はまもなく縮小される見込みで、その過程では、経済と市場が時とともに徐々に顕在化するであろうニュー・ノーマルに順応していくなかで、ボラティリティが高まるとみられる。

中国が抱える問題と改革の意思

中国の不動産開発大手、恒大集団のクレジット・リスクが市場に認識されたことで、日本や米国の株式市場が揺れ動いた。この問題は、大都市やその近郊など一部地域での不動産投資の行き過ぎによる価格高騰を抑えるため、2016年ごろからの中国政府による投資制限に端を発している。

人口減と株価は直結しない

「世界人口は2064年の97億人をピークに減少する――。米ワシントン大は20年7月、衝撃的な予測を発表した」(日本経済新聞8月23日付)。国連が2100年に109億人となるまで増え続ける、と試算してることは良く知られているが、今回の発表内容は、中国をはじめとする新興国の少子高齢化が想定以上に進むという警鐘だ。

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* 運用資産総額(投資助言を含みます。)とその内訳比率は、日興アセットマネジメント株式会社、および海外子会社を合計したものです。

** 2024年9月末現在。

*** 2024年9月末現在。日興アセットマネジメント株式会社、および連結子会社の役社員を含む。